C級スポット探索日記

C級スポット探索日記

各地の資料館・博物館・珍スポを回り倒すのが趣味です。転勤族(神奈川→埼玉→長野)

志賀高原歴史記念館

三島由紀夫に『盗賊』という小説があって、志賀高原のホテルが舞台の1つなのね。主人公の男性がホテル内で会った女性に一目ぼれ。2人は楽しい時間を過ごし婚約までしたんだが、女性は完全に遊びのつもりで結婚する気は無かった。

絶望した主人公は、男に弄ばれた後こっぴどくフラれるという同じような経験をした別の女性と遭遇。2人は元恋人たちに復讐すべく、“幸福なカップルを装って結婚し、結婚式当日に心中する”。ホント、三島ってろくでもないな(呆れ)

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んで、この建物が恐らくその(旧)志賀高原ホテルです。志賀高原は、日本政府が外国人観光客を呼び込んで外貨獲得しようとした国策リゾートの1つ。その中枢を担うホテルだったのだ。変態作家養成所ではありません。
1937年~1999年まで営業。現在は記念館として無料開放されています。11月~4月は冬季閉鎖らしいのでご注意ください。

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(営業当時のお写真)
営業当時は56部屋、収容170名程度と山中にしては規模が大きかった。そのうち現存しているのはエントランス棟の一部だけ。三島がネタに使うくらいだからかなりの高級ホテルと思われる。
戦後は米軍駐留地にされた期間もありますが、1960年代後半以降のスキーブームにより相当賑わっていた。最盛期には19ものスキー場があった程ですからね。
なんで廃業したかって、そりゃバブルがはじけてスキーしてる場合では無くなったからです。

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エントランス部分です。行ったの10月なんですが、普通に寒いですね。暖炉には火がくべてありました。
フロントには誰もいません。ただちょっと覗き込んだら小型ガスコンロ置いてあって、鍋と食べ終わったカップ麺が置いてあった。管理人、高級ホテルを実家のように扱うんじゃない。

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フロントに、タイ宮廷料理レストランの案内が。でも朝食は中華なのか。宮廷料理人、もっと自国にプライドを持ちなさいよ。そんなんだから軍にクーデターを起さr(銃声)。
ググってみたんですが現在この店は存在しないようです。ホテル館内のレストランとして営業していたのかな。タクシン派だったので軍に消されたのかもしれません。当時の雰囲気をお楽しみください。

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3F建になってまして、最上階まで上がれます。上に行くほど暖炉から遠ざかるので寒くなります。あと客室には入れません。
通路は広々としているし、ふんだんに置いてある剥製でホテルの風格を示しています。GoTo使っても良い値段しそうだな。一般庶民日本人は宿泊をためらい、そのぶん中国人が大挙するんですね。

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猪谷千春と父)

館内展示は、日本人初の冬季メダリスト猪谷千春ネタが多かったですね。
両親ともにスキー選手なので2歳からスキー教育開始。より良い練習環境を求めて一家で各地を渡り歩き、最終的に志賀高原に落ち着いた。

特に父親が厳しい人で「直径30㎝の大木を切り倒す」「丸太に乗って山の斜面を滑走する」練習をしていたらしい。『巨人の星』の読み過ぎではと思ったが、猪谷家の方が20年ほど先だったのでこちらが本家です。

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あと館内にカフェもあります。
記念館のHPは無いんですが、カフェのHPはあるんですよね。普通逆では。
メニューの「カリッふわトースト」、HPの写真みたら食パン1斤の上にバターが乗せられていた。豪快過ぎる。猪谷家では朝食にこれを食べきらないと罰として熊と戦闘だったのかもしれない。

 

おしまい

 

【滞在時間】30分
【混雑度】★★(他に数人)
【URL】志賀高原カフェ Shiga kogen cafe