黒姫童話館
黒姫高原はこういう風景が一面に広がっているところなので、旅行で訪れたり別荘を建てる著名人がいたりするわけです。C.W.ニコルのおっさんが荒れた里山一帯を買い取って自然保護活動やって有名になったのもこのあたり。
丘の上に見えるのが童話館。黒姫にゆかりのある児童文学者や絵本作家を扱っています。入館料は600円。
普通は車で来ると思いますが、公共交通機関ガチ勢はしなの鉄道黒姫駅まで来て、バスで黒姫高原に向かうことになります。
バスは7月~9月のみ運行なので、それ以外の時期はタクシーか、片道6㎞の山道を歩くか、そもそも来ないかのいずれかになります。
タクシーだと2,500円程度ですね。黒姫駅前の観光案内所で初乗り料金が無料になるカードを配っているので利用してどうぞ。
館内の要素は主に、松谷みよ子やミヒャエル・エンデに関する展示、近隣に伝わる民話の紙芝居アニメーション、あと夏休みだからかお話会イベント(図書館や公民館でやってる読み聞かせ)もやってましたね。
サイズは小さいですがカフェもあり、ルバーブジュースとか木いちごアイスとか、山村っぽさのあるおやつが売られています。
松谷みよ子さんは『モモちゃんとアカネちゃん』シリーズが有名だそうです。
4歳のモモちゃんのお家に、人語を解するネコやらネズミやらニンジンやらが集まるほのぼのファンタジー。なおニンジンはモモちゃんに「嫌い」と言われたショックで川に入水します。
安心安全の童話かと思いきや、3巻目でモモちゃんのパパとママが「おわかれ」してしまい、シングルマザーになりました。唐突に現実をぶっこんで来るから笑ってしまった。
そしてパパは6巻目で死んでしまうそうです。ママがパパに生命保険を掛けていたかは、定かではありません。
松谷みよ子さんと言えば「いないいないばあ」の作者でもあります。この本の表紙が怖いと思うのは私だけでしょうか。瞳孔見開いて、汗を垂らしながら、口を開けて半笑いでハァハァとこちらを見ているんですよ。背景を黒にして出版していたら、松谷さん間違いなく長野県警に連行されていると思う(イラストは松谷さんではありません)
館内には図書コーナーがあって、児童書や絵本を読めます。
私はモモちゃん読んだことなかったので、先ほど知った離婚シーンを見たくてしょうがなかったから、このコーナーを全力で探し回りました。汚い大人だなぁ。
1冊200ページくらいあるので、意外とボリュームあるんですね。ピーターラビットなんて1冊30秒で読み終わるのにね。
次はミヒャエル・エンデ。ドイツの作家ですが『モモ』『ネバーエンディングストーリー』などが日本でも人気を博しています。ここ信濃町とは縁もゆかりも無いはずなのに、なぜか所持していた資料の大半を寄贈しました。
なんでや?という疑問に対して童話館HPは「それはそれは童話的なご縁がありまして・・」とメルヘンチックな書き出して説明文を掲載してるのですが、肝心な寄贈理由がどこにも書いてないので、結局わからんのです。HP担当者は作成途中でファンタジーの世界に行ってしまったのだろうか。
『モモ』はさっきのモモちゃんとは別人です。
平日も休日もあくせくしていて「時間が足りない!」とぼやいている大人たちを、小さい女の子の目線を通して揶揄していく社会風刺的ファンタジー。映画を1.5倍速で見るような方々の胸に突き刺さり、そのまま殺してしまう感じ。
展示室にはエンデの半生説明のほか、遺品がおかれています。
愛煙家だが「比較的、健康にいいから」という理由でパイプを好んでいたそうです。「糖分0だから」と言ってハイボールをがぶ飲みする中年サラリーマンを思わせます。
最後は館外にある、絵本作家いわさきちひろの山荘。
安曇野とか松本の方にいた人ですが、途中で黒姫に浮気して山荘を建てて、こちらで仕事をしていたそうです。それを移築してきました。
アトリエやリビングが公開されていますが、夏の森の中だから虫がやばい。私は1分で逃げてきました。
おしまい
【滞在時間】90分
【混雑度】★★★(周りに人がちらほら)
【URL】