白馬三枝美術館
白馬のバスターミナルやスキー場から少し離れた位置、閑静なペンション地帯にある美術館。
自然あふれる白馬や安曇野地域を描いた風景画をメインに展示しています。
「三枝」の読み方は「さえぐさ」です。桂三枝ではないのね。
白馬駅からは徒歩25分ほど。八方バスターミナルからも20分くらいですかね。
白馬の施設はどこもホームページがあまり充実してないかそもそも無かったりするので、開館しているかどうかは施設に問い合わせるか現地を見るまで確証がないというスリル仕様になっているが、ここのHPはちゃんとしている。
でも庭に草木がかなり生い茂っているせいで遠目からだと暗く陰って見え、「あれ・・閉鎖済み?」と一瞬慌てた。
おお、こわいこわい。冬場(12月~3月)はやってないようなので気を付けよう。
建物は2棟あって、別荘っぽく開放感ある方には入館受付やカフェが備わっている。
撮影禁止なので写真はないが、アンティーク家具がぞろぞろ並んでいたり、小さいワンコが寝そべっていたりとカジュアルに楽しめる要素が豊富。
ワンコは全く吠えなくて人懐っこい感じだったので、犬好きな人はそれだけで時間を忘れるでしょう。
中廊下をわたって、こちらの展示棟に入ることになります。
入館料は700円。
以下、絵画を幾らか貼りますが、それは展示されていた画家の代表作や私が気に入っている作品であり、必ずしもこの美術館にあるものではないのでご了承。
(山下大五郎『田植えの頃』)
安曇野の自然風景は様々で、水田・山岳・里山・渓流などパターンは幅広く、更にそれが季節ごとに違った趣を見せるので、ドはまりする画家が少なくないのだ。
その代表格として挙げられるのが山下大五郎。
日本各地を回りまくって風景画を描き残しているが、1977年に安曇野を訪れるとその風光明媚な光景を大絶賛して、以後10年ほど晩年にいたるまで毎年のように安曇野に通い続けた。
特に水田が気に入ったようで、それだけで何十点も作っている。
田んぼ一杯にたたえられた水は透明感に溢れ、北アルプスの山々が運んできた清らかさが表れており、大変すがすがしい。
見た目さらさらしているけれど、油絵なので実物を近くで見ると割とこってりしており、その光沢が水に輝きを与えている。
さすが北アルプス。南アルプスの天然水やいろはすでは、この色は出せないのだ(ドヤ)
(山下大五郎『安曇野冬近し』)
こちらは冬間近。11月くらいかな?
まだまだ緑は残っているけれど少し乾燥しているような黄色のパサつき具合で、山の上は霞んで雪も積もってきているから、乾いた冷たい風が山から吹きおろし始めているような感覚を覚えさせる。
10年も安曇野に通ってるだけあって、作品はその付近の美術館が所蔵しているようです。
北アルプス展望美術館がかなりの数もっていて、私が行った時も飾られていた気がする。ただそのときはモンスターマスクばかりが印象に残って、他のことは忘れてしまったが、それはゾンビのせいです。
(中村善策『信州は初雪』)
他に気になった画家は中村善策ですかね。
大戦中に安曇野に疎開してその虜になった風景画の巨匠。ただ山下大五郎ほどは安曇野沼にハマっておらず、信州全体や出身地の北海道を相手にしている。
みずみずしくて明るく、さわやかなタッチが見ていて楽しいと思います。
ただ初雪の時にこんなに花咲いてますかね?
まぁ雪国は「降らないと思ったタイミングで降る」「冬が開けたと思ってダウンジャケットをクリーニングに出したら雪が降る」のが常ですので(経験談)、そのやられた!感を再現しているのかもしれません。
(足立源一郎。作品名は分からん。 安曇野山岳美術館のHPから)
「山岳とはそんな明るく甘ったれたものではない」とでも言いだしそうなのは足立源一郎。登山派であり、頻繁に山に登っては絵をかいていたそうな。
館内の説明で「山中に絵の具の跡を見つけたら、それは足立の残したもの」とあった。ちょっと汚さないでもらえますかね。
北アルプスの山岳を真下から見上げ、急峻さや険しさ・ゴツゴツ感を荒々しく威厳を持って描きあげている。
上に貼った作品は安曇野山岳美術館の所蔵らしいのだが、殆ど同じようなのが展示されていた。版画かな?
という感じで安曇野大好きマン達の絵画を、別荘地の静かな環境でのんびり見られるのでしたとさ。
白馬といえども夏は暑いので、美術館にたどり着く前に溶けて無くならないよう気を付けて訪問しましょう。
おしまい
【交通手段】白馬駅から徒歩25分、八方バスターミナルから徒歩20分
【入館料】700円
【混雑度】★★★(ちらほら)
【滞在時間】45分
【URL】