C級スポット探索日記

C級スポット探索日記

各地の資料館・博物館・珍スポを回り倒すのが趣味です。車が無いので公共交通機関利用で粘っております。転勤族(神奈川→埼玉→長野)

エビスビール記念館

アサヒスーパードライ 198円
キリン一番搾り 205円
プレミアムモルツ245円
エビス 245円
近所のコンビニで売られているビール1缶の値段です。「エビスとプレモルは高級酒」と職場の同僚が言っていたが、50円の差はビール界、、というよりお小遣い制の家庭では生き死にを争う問題らしい。第3のビールしか許されない家ではマッチを擦ると炎の中に恵比寿様が浮かんで見えるとか(翌朝冷たくなって発見される)

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緊縮財政のご家庭でも、エビスビール記念館に来た時くらいは許してもらえるでしょう。有料だけれど試飲バーがあるのです。
展示室でエビスの歴史を概観し、ビール製造者の奮闘とこだわりを知った後は誰だって1杯飲みたくなるはずであり、奥様もその時くらいは慈悲深い弁財天に。

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入館料は無料。コロナのため入場者制限があり、土日だと少し待つかもしれませぬ。
受付を抜けると、高級ホテルのロビーのような、洗練された優雅な空間。アルコール目的でホイホイ入館した不心得な精神を叩き直すのです。

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では展示室でエビスビールの歩みを見ますか。
横浜に醸造所が誕生した1869年から日本ビール史が始まるわけですが、エビスの発端は1887年日本麦酒醸造会社の設立。
畑や山林だらけの現 目黒区に近代的な醸造所を立ち上げたのだ。突如こんな建物できて近隣住民ビビったろうな。西部開拓時代のアメリカみたいな絵面である。

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記念すべき最初のエビスは1890年販売。
ただ当時のビール1本の値段は20銭で、かけ蕎麦が2銭だった。10倍の差。今で言うと、駅そば1杯400円として、ビール1本4,000円となる。「とりあえずビール」なんて言ったら反感を食らい、口一杯に大麦を詰め込まれてしまうだろう。

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そこでエビスが銀座に開設したのがビアホール。工場から作りたての生ビールを直送してキンキンに冷やしたジョッキで提供したのだ。大評判になり連日満席。ビールの普及が進みましたと。
それでも500mlで10銭したらしい。さっきの計算だと2,000円。口に詰め込まれるのが大麦から小麦に変わったくらいかもしれん。

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ビアホールではおつまみも提供されましたが、人気商品はおでんとか大根スライス。和風ゥ!これはビールより日本酒では。
まぁソーセージなど肉製品はまだ広まってなさそうだからね仕方ないね。

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売上好調のエビスさんは、ビール輸送専用の貨物線まで工場に引いてしまったようです。これが後の恵比寿駅に繋がります。
すると周辺の地名も恵比寿に改称されたのだ。企業名が地名に影響を与えるケースは時折ありますね(川崎に“東芝”が付く地名がある)。

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好調そうなエビスさん(日本麦酒)ですが、1906年に札幌麦酒(サッポロ)、大阪麦酒(アサヒ)と合併して大日本麦酒(株)を誕生させます。これで市場シェアはなんと7割に。独禁法違反では。
wikiによると、仕掛け人はエビスのボス馬越恭平。「国内ビール市場は過当競争であり、また輸出を促進するために必要だ」と政府を説いて実現させたとのこと。
国益を持ち出しつつ大資本同士で提携。自分は安全な立ち位置を築いておきながら、対立していた中規模ビール会社を何社も吸収していき、市場は大日本麦酒とキリンの2強状態、、というか他に居ない感じになります。せこい、さすが資本家せこい。

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そんな大手ビール会社も強制イベント「第二次世界大戦」で大打撃。物資不足の深刻化、また贅沢品と見なされたのでしょうか、製品規格が統一化され、オリジナルブランド製造が出来なくなりました。
エビスのラベルは剥がされ、代わりに用いられたのがこちら。ま、、まずそう(まずそう)。消毒用アルコールが入ってそう。

 

戦後になると大企業解体の流れで、大日本麦酒(株)も2社に分割。現在のアサヒとサッポロになります。。。。あれ?
・合併時:エビス+アサヒ+サッポロ⇒大日本麦酒
・解体時:大日本麦酒⇒アサヒ+サッポロ
エビスはどこに行ったのかしら。。

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なんとエビスビールは消えてしまいました。残念!
ちなみにサッポロビールのHPを見ると、「日本麦酒(エビス)はサッポロの前身です」とある。いや君らの前身は札幌麦酒醸造所だからそれは経歴詐称では。
むむ、これは戦後のどさくさに紛れて旧サッポロ勢がエビス乗っ取りを企てたに違いない。あるいは、合併時に旧エビス社員は全員殺されており、サッポロ社員が成りすましているとか。つまり犯人は・・!(このあと小学生に背後から麻酔針を撃たれる)

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というわけでエビスビールという商品は無くなってしまったのですが、戦前の人気銘柄なので支持層も多数おり、1971年にサッポロビールより再販売されるのです。
戦前でも本場ドイツの味を表現できていると外国人からも好評でしたが、ドイツ産のホップ使用・長期熟成で円熟した味わいを造りだし、高品質でお客さんの期待に応えましたとさ。めでたしめでたし。

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というエビスの紆余曲折を見終わった後で、お楽しみの試飲バーへ。客席キャパが少なめなので並びます。私が行ったときは館内自体は混んでいなかったけれど、バーは30分待ちでした。

1杯400円で6種類のビール、1種類のビアカクテルから選べます。

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来たのがこれ。試飲というか完全に乾杯するボリュームじゃないか。
普段ビール飲まないので相場わからないのですが、観光施設で400円でこれならだいぶお得では。
おつまみも売ってまして、展示室で見たおでんセットもメニューにあります。なので完全に飲み会モードに入ってしまったお客様も。30分待ちになった理由がよく分かったよ(30分の利用制限があるので、永遠に並びっぱなしは無いです)

 

おしまい

 

【滞在時間】120分(バーで50分)

【混雑度】★★★(そこそこ)

【URL】

www.sapporobeer.jp