田河水泡・のらくろ館
漫画『のらくろ』の作者 田河水泡が江東区出身なので、記念館が建てられています。様々なところで見かけるキャラですが、いったい何者なのか。館内には漫画図書館もあります。
概要(アクセス・入館料)
のらくろ館は、森下文化センターの一角に入居しています。
アクセス
最寄り駅は幾つかありますが、都営大江戸線&新宿線の森下駅が1番近いです。徒歩10分。あとは大江戸線&半蔵門線の清澄白河駅。
駐車場
森下文化センターの駐車場があります。最初の30分は無料だけれど、そこから20分おきに100円。
入館料
無料です。
展示 のらくろを知ろう
文化センター1Fの端っこに記念館があります。あまりサイズは大きく無いです。内部は撮影禁止箇所がところどころあります。
最初の展示内容は、作者である田河水泡(たがわ すいほう)の紹介。1899年生まれ。
本名は高見澤仲太郎。ペンネームは苗字をもじって「TAKAMIZAWA(たかみざわ) → TAKAMIZ AWA(たかみず あわ)」とし、漢字は「田河水 泡」としたんですが、誰もそう読んでくれなくて「たがわ すいほう」と読むので、本人も諦めたそうな。さっそく可哀そうなエピソードである(唖然)
のらくろ君のデビューは1931年で、『少年倶楽部』という雑誌に連載されました。当時は漫画黎明期で本自体が貴重なものだったそうですが、のらくろは大ヒットして連載期間は10年にも及んだのだ。
おそらくもっと続けられたのだが、時代は戦争に突入してしまい、国の役人が「戦時下で漫画とかふざけているのか」とキレてしまったので、やむなく終了となりました。
戦後になると連載再開し、1981年に完結しました。アニメにも2回なっていて、館内で見ることが出来るのだ。
「のらくろ」には多くの犬が登場しますが、殆どは白い犬で、のらくろだけが黒いんですね。ノラの黒い犬だから「のらくろ」。
作者の田河水泡は1歳の時に母を亡くし、伯母夫婦に預けられて育ったので、その寂しさをのらくろに重ねていると言われています。ただストーリーは子供を楽しませるため明るいギャグ漫画です。1930~40年代は日本がどんどん暗くなっていった時代なので、「子供たちを励ましたい」と本人は語っていたそうな。
のらくろは大変な人気が出たので、文房具に描かれたりと二次的利用が盛んに行われました。ただ著作権とかろくに整っていない時代なので、無断利用ばかりだったそうです。
現代なら訴訟まみれになりそうですが、田河水泡は「みんな喜んでいるんだから良いんじゃない」と寛大極まりない姿勢だった模様。モノマネされただけで3000万円の損害賠償請求した矢沢永吉とかは見習ったほうが良い。
しかし江東区で日本酒は絶対に出来ないと思うんですけどね(確信)
図書館で「のらくろ」を読もう
記念館の横に図書館があるんですけど、漫画がずらーっと並んでいるのだ。田河水泡だけでなく手塚治虫らによる名作もぞろぞろ。名探偵バーローもあった。
※ 貸し出しはしていないかもしれません。
時間が無かったので図書館では読まなかったのですが、意外にも近所の図書館に『のらくろ全集』なるものがあったので借りてみました。長野の田舎の図書館にあったので都会にはもっとあるかもしれませんね。
(『のらくろ二等卒』より)
(おそらく)のらくろデビュー作がこちら。彼は単なるノラ犬から「猛犬連隊」という軍隊に加入し、とんだポカと偉業を繰り返しつつ、出世していくのです。
初期のらくろはノラ犬だけあって体型が痩せてますね。ふっくらしてくるのはもっと彼が上官になった頃です。また戦前の漫画なので、軍を舞台にして戦う犬という設定や言葉遣い、コマに番号がいちいち振ってあるところに時代を感じます。
戦闘描写も普通にあります。えぐいシーンは無いですが、死者は出てますね。ただしのらくろや猛犬連隊の固有キャラはどんだけ銃撃されたり爆撃されても死にません。主人公補正です。
この首ちょんぱシーンも今だったらCERO C指定になるんでしょうか。のらくろが相手陣営を爆撃して火の海にするシーンもあります。
というわけで、「見かけたことはあるけどよく分らんキャラ」ランクで上位に入りそうなのらくろ君について知り、作品も読める記念館なのでした。おしまい。
【滞在時間】60分
【混雑度】★★★(館内にちらほら)
【URL】田河水泡・のらくろ館