オルゴール記念館すわのね
日本電産サンキョーというオルゴール企業が下諏訪にあって、それが観光施設をやっているので行きました。
下諏訪駅から徒歩15分くらい。
見るからにお上品そうであり、入場料はなんと1000円!
すごい観光地価格だが、諏訪って言うほど観光地だったっけ(問題発言)
ぶーぶー言いながらも入館し、まずは2Fから。
ここではオルゴールの歴史説明と、アンティークな品を展示しています。
(カリヨンの仕組み。画像は「オルゴールの小さな博物館 解説 - カリヨンのしくみ -」より)
オルゴールの原型の話から始めますが、中世のベルギーやオランダの教会で登場した「カリヨン」という機具です。
シリンダーが回転し、ピンがキーを弾くと鐘がカンカンなって演奏する仕組み。
12時とか6時とか、一定の時間になるとこれが鳴らされて街の人々に時刻を伝えていたわけ。
(ワシントン公園のカリヨン。画像はwikiから カリヨン - Wikipedia)
鐘を4つ用いるのが通常なので、カリヨンって大抵デカいのね。
18世紀にスイスの時計職人が「カリヨンを置き時計や腕時計に入れたらヒットするやろな」と思ったが、時計にこんなバカでかい装置入るわけがない。
そんで試行錯誤した結果、鐘がダメなら金属板を用いればいいじゃない、ということを発見した。
1796年のこと。
こうして初期のシリンダーオルゴールが出来上がったわけです。
確かに、仕組みはカリヨンと同じである。
これを時計の中にセットして音が鳴るように。
たちまち巷で大ヒット。
スイスはオルゴールの名産地になりましたとさ。
(大きくなっちゃったシリンダー)
次第に人々も業が深くなるので、「もっと複雑な演奏が聴きたい」「色んな曲が聴きたい」と需要が発生。
前者のお悩みについては、シリンダーのサイズを大きくして音色の数を増やすことで完成。
後者は、カセットテープみたいにシリンダーの取り換えを可能にしたオルゴールが登場。ただし値段は高いけどな!
ずらりと並んだ大きなのっぽの古時計・・ではなくて、これら全部オルゴールです。
複雑な曲を様々に聴きたいという欲望が強まり過ぎて、シリンダーでは収まり切らず、ついにディスクになってしまったのです。
19世紀末にドイツで登場。
盤面の裏側(いま見ているのは表側)にトゲがいっぱい付いていて、それがキーを弾いて演奏します。
見た目レコードみたいね。
取り外せます。
けっこう曲がります。
オルゴールの端にコインを入れるところがあって、そこに投入すると回りだして演奏が始まります。
1周で1演奏ね。
下の棚は収納ゾーンになっていて、これで盤面を取り換えて違う曲を演奏できる。
見ての通りディスクオルゴールはサイズが大きいし値段も張るので、酒場やレストランに置かれていて、のちに登場するジュークボックスの先駆けの役割を果たした。
次のディスクオルゴール。
牧場の装飾が付いていて、演奏が始まると馬が走りだすギミックになっている。
なかなかファンシー。
ディスクの後ろにはチャイムが付いていて、オルゴールの音色と合わせてこちらもリンリン伴奏します。
この時計台オルゴールは3つのディスクを使って、三重奏が出来る。
ハイテクさが止まりませんねえ。
こちらはアメリカの製品で、オルゴールというよりオートマタなのだが、アコーディオンとドラム、あと後ろに隠れてるけど鉄琴(だと思う)が一緒に動き出して楽隊による演奏みたいになります。
これめちゃめちゃ音がデカくて凄まじかった。
早く終わらないかなって思うレベルだった。特にアコーディオン。
こちらはよく見かけるやつですが、手回しでオルゴールを動かします。
ガイドさんに演奏してもらいました。
言い忘れてたけど、1日に7回ガイドツアーがあって、そのツアーだとここまで紹介したオルゴールの演奏風景を見られるのね。
とてもお得・・というより1000円の元を取るためには絶対に参加しておいた方が良い。
ツアー以外だと、演奏しているところを多分みられないんじゃないかな。
ついでにこのオルゴール、私も手でレバーをぐるぐる回して演奏させてもらった。
意外と難しい。結構速いスピードで回さないと音が途切れてしまう。
力任せにやるとオルゴール自体が破損して、お布施が1000円どころじゃ済まなくなりそうな気がしたので、恐る恐るやりました。
アンティークオルゴールを演奏できるなど、なかなか無い経験じゃなかろうか。
このように多様なオルゴールが活躍したのだけれど、20世紀になると蓄音機やジュークボックスが登場して、オルゴールは下火になってしまい、ドイツやアメリカに沢山あった企業も殆ど廃業したり業種変更したりして、今日の欧米ではスイスに残っているくらいのようです。
そして欧米勢に取って代わってオルゴール市場を制覇したのが、なんと我が国なのだ。
つづきは1Fで。
1Fでは日本電産サンキョーのオルゴール史を展示しています。
ちなみに「サンキョー」で検索するとパチンコ会社が出てくるけど、あれとは無関係ですので。
蓄音機などの登場でめっきり冷え込んでしまったオルゴール業界だが、戦後GHQより日本へ「オルゴール産業やらない?」と声が掛かった。
なんでGHQがそんなこと言い出したか分からんが、時代的には朝鮮戦争が始まっており、米軍の方で需要があったのかもしれない。
んでサンキョー社でオルゴール試作を開始し、1948年に第一号完成。
ただ完成度は「バケツを叩いているような音」だったらしい。ジャイアンリサイタルかよ。
そんな音色でも米軍には人気で、この年には500台出荷したそうな。
米軍ってよほど耳がお察し状態だったのだろうか。
もしくは、オルゴールの箱には寄木細工など和風装飾がされていたようなので、人気だったのはこちらだった可能性が微レ存。
(電話オルゴール)
米軍兵がオルゴールを母国に持ち帰ったので、あちらでも和製オルゴールは人気になり、サンキョー社には注文がじゃんじゃん入ってウハウハ。
本家スイスを超えて世界シェアNo.1になっちゃった。
今現在のシェア率は分からんが、高級品では日本とスイスがトップで、安価な品だと中国らしい。
中国のって大丈夫?爆発したりしないよね。
1970年代に登場したカード式オルゴール。
カードをオルゴールに差し込んで、手でレバーを回せば演奏されるというもの。
カードにはイラスト付きで、あけられている穴が演奏に使われる。
だから自分で穴開ければ、自作の曲が出来るというわけ。
お子様には人気でそう。
現代仕様にもなっています。
アンティークなだけじゃないのよ。
次世代型オルゴール「プリモトーン」です。
SDカードに収録された300曲を演奏できるよ。
「SDカードの時点で次世代じゃ無い」とか言われそうですが、Bluetoothもそのうち搭載されるんじゃないですかね。
しかしオルゴール業界も需要の掘り起こしが大変ですな。
携帯の着メロとして参入できたので、それでしばらく食えそうですかね。
オルゴールで培った技術で他の分野でも強みを持っている模様。
オルゴールの弁数の違いを体験できます。
これは23弁。小さい。
音色もシンプル。
72弁だとこのサイズ。
音色も幅がでてドラマチックに演奏されます。
時代が前後しますが、これは江戸時代のオルゴール。
最初に持ち込んだのはかのザビエルで、「自鳴琴」と呼ばれた。
19世紀初頭にオランダ語でオルガンの意味である「オレゲル」が何故か用いられるようになり、これがオルゴールという名称の語源です。
動かせないので分かりませんが、たぶんゼンマイでシリンダーが動いて、一緒にこの人形も踊りだすんじゃないかな。
製品の試聴ルームもありますので、気に入った品があれば即買いしよう。
これで展示室おしまい。
最後にお土産コーナーをみます。
棚に凄い数のオルゴールならんでるな。
曲目は古いやつから新しいものまで。
施設内ではオルゴール製作体験もできます。
ということでした。
あとオルゴール関係ないけど、サンキョー社ってスケートに力入れてて、過去にはスピードスケートの清水選手(長野オリンピック金メダル)とか、現在だと高木菜那。
がんばってますねぇ。
パチンコ会社は見習ってどうぞ。
以上
【交通手段】下諏訪駅から徒歩15分
【入館料】1000円
【滞在時間】80分
【混雑度】★★★★(すぐ横に人)
【URL】