C級スポット探索日記

C級スポット探索日記

各地の資料館・博物館・珍スポを回り倒すのが趣味です。転勤族(神奈川→埼玉→長野)

能美ふるさとミュージアム

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能美市は石川県でも下の方・南西部にあり、メジャーリーガーの松井秀喜・総理大臣や東京オリンピック委員長だか何かをやってた森喜朗の出身地でありますが、それらは一切無視して郷土の自然や歴史を展示することに全振りしたミュージアムであります。

最近建て替えが行われたとかで、新しくきれいな内装です。

 

入館するだけなら無料で、企画展示室や子供用室内遊び場があります。
常設展示室は300円です。

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アクセスについて。

松井秀喜ミュージアム九谷焼の美術館があるので、周遊コミュニティバス「のみバス」が能美根上駅から発着しているんですが、1日5本くらいしかありません。1乗車100円なんで、タクシー呼ぶより圧倒的に安いですけどね。

ただ電車の発着時間と全然マッチさせてないんですよ。確か、金沢方面から来る電車が10:53に到着するんですが、このバス10:52に発車します。あと5分くらい待ちなさいよ。そんなに急いだところで、どうせ空気と虫以外に運ぶものもな(能美市迷惑防止条例により削除されました)

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なのでバス乗り場には早めに着きましょう。ローカル駅なので、駅前に期待することも無いですが、なんと暖房付き待合所がありました!少なくとも凍死しなくて済みそう。

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さて展示室ですが、大まかに自然ゾーンと歴史文化ゾーンに分かれるようです。自然ゾーンは大きな窓に日差しが注ぐサンルームチックで明るくて良いですね。市内各地の自然を精緻に再現したジオラマが並んでいます。

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しかし展示されている連中は・・もうちょっとかわいいやつ無かったですかね。このアメンボさんは手足が奇妙に長くて家に侵入してくるザトウムシを思わせるので、眺めていると鳥肌が立つからお帰りください。右の写真の方もさっさとお帰りください。

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ルリイトトンボです。標高1,000m以上の高地に生息する種ですが、そんな標高の無い能美市になぜかいます。高地の水辺環境に似ている地点があり、そこで見られるそうです。

奇怪なポーズをとってますが、これ交尾シーンです。ハートの形をして可愛いね★じゃないのよ。休日の家族生活を気まずくするのはお控えいただきたい。互いの首に尾をぶっ刺し合っているのも異界の生物っぽさがあり、サイコ感を禁じ得ない。

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もう1つ希少種としてハッチョウトンボとやらが居たんですが、これも交尾シーンであった。ここは群馬県「命と性ミュージアム」でも熱海秘宝館でも無いはずですが・・。これが、館内に「子供向け遊び場」が別に用意されている理由だったんですね(名推理)

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「トンボの複眼を見てみよう!」。

トンボの顔面ドアップと、けっこうデカい死骸がごろんと置かれており、女性の来場者の悲鳴を誘っています。いや死骸でなくて模型なのかもしれんけど・・虫嫌いにはその点あまり関係ないかもしれません。リアルさを追求してほしくない分野である。

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ホラーゾーンから一回離れて、滝でも見て落ち着きましょう。大小さまざまな滝があり、「七つ滝」と呼ばれています。これは確か「一の滝」の模型。

この滝に伝わる伝承で、恐ろしい巨大ウナギが住んでいるんだと。だから村の若者がウナギを捕まえに行こうと滝に向かっていったが、来た道を振り返ると、なんと村が大火事になっていた。慌てて引き返す若者。しかし村に着いてみると、そんな火事は全く起きていなかった。そして若者は重い病気にかかって倒れてしまったとさ。

滝に到着してすらない若者ボッコボコにするウナギさん、沸点低すぎて怖いです。

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七の滝にいたっては壊れてしまったので人工的に作り直していた。もう滝と言うよりスロープではないか。

この展示室には他にも、ドデカハサミムシの写真とかあったんですが字数が意外と増えてしまったので、もう次の部屋に行きましょう。

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歴史ゾーンになりました。はいはい縄文土器、いつもお疲れ様ですーって感じで流そうかと思ったんですが、放映されていたビデオが面白かったので見てしまった。

打製石器を現代の石職人が作るムービー。石器にする石を、別の石で叩いて削って形作っていくんですが、叩く強さ・角度・位置を細かく調整して、その辺に落ちてそうな石をナイフ・槍・掻器など様々な道具に変えていく様はTHE職人芸。ずっと見ていられます。

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縄文土器はなぜ底が厚かったり口の部分が広いのかという疑問を、調理面から探ってみる映像。直火で土器ごと温めるので底は厚いほうが良い、煮炊きするなら口の部分は広いほうが掻き混ぜたり材料を入れやすい、みたいな内容だったと思いますが、それよりも縄文時代クッキング映像なので、単純に見ていて美味しそうです。

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うまそう(うまそう)

しかし残念なのは、この映像制作したのは仙台市の博物館だそうです。能美市オリジナルだったらミシュラン★100個だったのに、悲しいなぁ。

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能美地域が平安時代に誕生した(能美郡が制定された)ことの展示ですが、宇宙創造みたいなスケール演出するのはさすがにやりすぎではないか。

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すごろくです。加賀一の宮である白山比咩神社が近くにあり、伝承を盛り込んだ「白山曼荼羅絵図」なる掛け軸があるそうですが、それをモチーフにしています。

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しかしねぇ、昔の伝承だから内容がなかなか酷いんですね。「性悪な美女が鬼2体に出くわし、両方から引っ張られて身体を引き裂かれた」。鬼滅でもそんなグロシーン無かったと思う。

ちなみに「瓶之平まで戻る」って指示にあるんですけど、瓶之平はたった4コマ前なんですね。残虐殺人されながら4コマで済む。この神社の世界観、修羅すぎやしないですか。

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最後は電車のお話。1980年廃線になった北陸鉄道能美線です。能美根上駅(当時は寺井駅)から、北鉄石川線鶴来駅まで。

wikiを見た感じだと、九谷焼の原料や完成品の輸送が主目的だったようです。あとは白山神社への詣で客・寺井方面への海水浴客など、要は地域に根差した交通機関と言うことですが、1960年代後半からマイカーブームで利用客は9割減。廃止されましたとさ。

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能美線グッズの展示。左は線路を文鎮にしたものです。

この博物館から4㎞ほど離れた場所にある「のみでん広場」に、当時の車両が屋外展示されているそうです。バス勢はさすがにそこへは行けませんが、マイカー勢は足を延ばしてはいかがでしょうか。能美線を滅ぼした、そのマイカーで・・(ホラー演出)

 

おしまい

 

【滞在時間】60分

【混雑度】★(だれもいない)

【URL】能美ふるさとミュージアム

 

東海大学海洋科学博物館

他人様のバズったツイートでブログを始めるのもなんだかって感じですが、この写真すごくよく撮れてるんですよね。綺麗で幻想的でおしゃれなアクアリウム。デートスポットに最適。

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私も同じところに行ったはずなのに、全然あんな写真撮れませんでした。おかしいなぁ。

1970年開館なので、地方都市の昭和レトロてんこ盛り!って感じがするよ。看板に書かれている笑顔が怖すぎるよ。サンシャインシティ水族館っぽいのを想像してやって来た付き合いたてカップルの、現地到着と同時に引き攣る顔が慮られてならない。過ちを繰り返す人生ゲーム、シーソーゲーム。

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いや「過ち」ってのも失礼ですが。中はちゃんとした水族館です。入館料は1,500円とまぁまぁしますが、水族館としてはむしろ安い方でしょう。

序盤は熱帯の海ゾーンのようです。沖縄に研究施設を持っているそうなので、そこから調達してくるのでしょう。しかし入館して開幕ウツボ登場ってのもあんま見たことありませんが。

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続いて出てくるのもシマウミヘビ(左)とかオニイソメ(右)とか、アップしたらインスタ女子の悲鳴が上がってきそうな方々が先陣を飾っております。オニイソメは水中版ムカデみたいな体していて、大きいと1m~3mにもなり、猛毒を持つそうな。

もうやめて!初デートカップルのライフはもうゼロだし、すでにTinderにログインしているかもしれない。

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こういうのでいいんだよ、こういうので(孤独のグルメ

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例のエリア。こうやってみると、ここだけ空気が違って現代的な感じが漂いますね(失礼だな)

推しはシロワニだそうです。ワニではないですが人を襲うサメってことで、オーストラリア周辺で人を襲うのでハンティングされまくった結果、個体数が激減したのでこうやって保護しているそうです。

ナショジオの記事で「子宮内で卵から孵化した個体は、まだ孵化していない他の卵や、まだ小さい幼体を捕食する」とあった。生まれる前から互いを殺しあう、共食いガチ勢の鑑。

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アオブダイって魚ですが、口が嘴みたいで鳥のようですね。なぜか彼だけはすごいカメラ目線でどや顔を披露してくれました。ちなみに食用だそうです。

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たしか「みつくりえながちょうちん」だったと思いますが、オスがかなりメスより小さいですね。オスはメスをみつけると付着して、そのうち互いの皮膚が接合してメスの血液がオスに入るようになり、それで栄養を得て生きるのだと。圧倒的ヒモ生活。深海会のキングofヒモと言えるだろう。

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と思ったら、似たようなことしてるやつが他にもいた。ビワアンコウ。こいつもメスの体に噛みついて、そのうち一体化するそうです。もう少しこう何というか、自分で生活しようという意思というか。

という感じで、1Fの展示はおしまい。

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あとは2Fの展示を見るのですが・・なんだんだ、こいつら。もう魚ですら無くなってしまいました。たぶん魚の動きを機械に置き換えてメカニズムを把握するみたいな感じでしょうが「お前を見に来たわけじゃない」感がすさまじい。

ここにきて初デートカップルの進退窮まれり。中国版ニモが見せる脱力感が、彼らの行く末を暗示しているようである。

 

おしまい

 

【滞在時間】60分

【混雑度】★★★(館内にちらほら)

【URL】東海大学海洋科学博物館|静岡 三保の水族館

 

高原郷土館(神岡町)

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「城」と「鉱山の資料館」と「昔の住居」という、「むかし神岡にあった」こと以外の共通点がなんも無さそうな3施設をセット販売している資料館です。「高原」という単語に一切イメージ結びつかないのもポイントが高い。これなら敷地内にインド料理屋とかタイ式マッサージがあっても違和感ないのではないか。

入館料は470円です。

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まずは城に入ります。神岡城だそうです。

公式HPには「武田信玄の命により築かれた」とあるんですが、現地の説明板には「武田信玄の配下である山県昌景が、現地を支配していた江馬氏に命じて築かせた」と書かれてました。公式、中間をはしょって話を大きくするんじゃない。

あとこの城は当然復元ですが、建築前に現地にあったのは櫓の跡で、その上に建てたらしい。城と言うより砦だったと思われる。

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館内の展示品は戦国っぽく鎧とかなんですが、説明書きが全然ないのね。いつの時代の誰のものなのか、解説一切なし。観客のイマジネーションにすべて委ねる。一種の前衛芸術なのかもしれない。

鎧の足元に緑色のケース置いてありますが、何も挟まってませんね。武田が滅亡したときに恵林寺の坊主とまとめて信長が全部焼いてしまったのかもしれません。

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こっちの鎧は説明書きがあったーと思ったら、着ていた人ではなく作った人についてだった。製作・著作 田口さん(終)。そうですか。あと3,000年もすれば戦国~昭和の400年差は誤差の範囲になるだろうから、未来人にとっては「戦国時代の鎧」という意味で置いてるのかもしれない。

それよりも後ろのエンブレムは何?まさかオリジナル家紋?だったら胸アツ過ぎる。苗字書かなければバレなかったのになんで書いちゃったの。

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城下町の地図かと思ったんですが、よく見ると「大坂夏の陣」と右上に書いてあった。神岡城どころか岐阜県すら関係なくて笑ってしまった。なんだか郷土資料館と言うより、個人の持ち物・作ったもの集めて飾っている感がありますね。フリーマーケットに近い。もしくはハードオフ神岡城店。

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最上階からの景色は、町を見渡せてなかなか良いものがありますね。めっちゃ靄がかかってますけどね。標高500m程度あるそうです。

すごく長い道のりを抜けてたどり着いた、ラスボス一歩手前の町並感があります。実際、神岡までの道のりはかなり遠いうえに、数年前に行こうと思ったら台風での土砂崩れで道路寸断されて行けなかったことがありました。「カミオカンデ新築のため地下掘ってたらワープの扉を見つけた」とかないと、災害時大変そうである。

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次に見るのが鉱山資料館。神岡は鉱山の町、でした。

主な生産物は亜鉛で、国内生産量の半分近くを占めた時期もあったそうです。2001年に閉山?したようで、もう掘っては無いようですが。鉱山全盛期は神岡町に3万人弱の人口が居ましたが、今は半分以下の1万人ちょっと。

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鉱山を掘り出して精製するプロセスの模型。文章での説明も結構あったんですが、細かい内容でそっちの知識が無いと全然分からん!系の展示でした。

 

ところで神岡鉱山といえば、イタイイタイ病の原因地ですね。亜鉛精製の副産物?か何かで出来るカドミウムが廃水として河川に流され、神通川を通って下流富山県へ。農作物や飲み水をつうじて摂取・体内に蓄積されると発病。体を少し動かす、酷いと寝返りを打ったり笑ったりするだけで骨折し凄まじい痛みが走るって、コミカルな病名のくせに冗談じゃないレベルの重篤である。

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工場稼働時の神岡町の様子。建物がひしめき合ってますね。

なお資料館の中にはイタイイタイ病の文字は一切ありませんでした。この郷土館一帯を公園として整備したのが、神岡鉱山の運営企業 三井金属鉱業ですからね。1970年整備って書いてあったので、ちょうどイタイイタイ病の裁判やってる時です。訴訟は三井側の全面敗訴で、「イタイイタイ病はお前らの神岡鉱山のせいだから!」って誓約書まで書かされたんですが、企業HPにも言及はありませんでした。単純に黒歴史だからね、ノーカン!ノーカン!ってやりたくなる気持ちも大槻班長ならわかるでしょう。

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ちなみに、ここで生産していた亜鉛は合金やメッキに用いるものです。サプリメントでは無いです。相当サイズと厚さがあり、凶器としても使えます。朝ちょろっと舐めるだけで1日分の亜鉛が取れそうです。

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んで最後に残ったのは「松葉家住宅」。明治自体の建築ですが、要はよくある古民家ってことで、もう外観だけでいいでしょう(雑)

中もざっと見ましたが、民具の類が2Fまでぎっしり置いてありました。

おしまい。

 

【滞在時間】60分

【混雑度】★(誰もいない)

【URL】高原郷土館(神岡城)|観光・体験|飛騨市公式観光サイト「飛騨の旅」

 

フェルケール博物館

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清水港の歴史博物館です。清水駅からバス10分ちょっとで、1つ前の記事のラムネ博物館とかから徒歩5分程度。

博物館HP見ただけだと、いったい何の施設なのか分からないんですよね。絵画とか工作品の企画展情報ばかり載っているので、これは美術館なのか。フランスの印象派画家トーマス・D・フェルケールに特化したミュージアムとか、そんな感じかと現地に着くまで思ってました。真珠の耳飾りとかミルク注ぐ人の絵がありそうですね。

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しかし館内に並んでいたのは絵画では無くて船でした。フェルケールVerkehr はドイツ語で「交通」だそうです。じゃあ交通資料館かぁ・・と思ったらそうでも無いです。正解は、港湾を扱う博物館でした。残念!不正解の野々村さんには1年間マグロ漁船に乗っていただきます。

そもそも私が勘違いしていたのはフェルケールじゃなくてフェルメールだったし、フェルメールはフランス人でも印象派でも無かった。なに1つ合ってない。

入館料は400円です。

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というわけで清水港の歴史でも見てってください。
古くは日本書紀にも登場するそうですが、戦国時代には今川家・武田家・徳川家が代々、水軍拠点として使用。江戸時代には大阪~江戸の中継地として、さらに甲信地方から富士川を下ってくる物資の集積地帯として一大拠点を築いたそうな。

なおこのときの清水港は巴川の西岸つまり川の中に居る感じですが、明治になって外海と接する地点に移転したそうです。写真にお絵描きしましたが、イメージとしてはこんな感じですかね。

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(左の写真は茶の都ミュージアムにあったもの。右は輸送用の茶箱)

流通拠点として栄えていたわけですが、1899年に東海道線が開通。鉄道輸送が可能になると全国各地で舟運が衰退しましたが、清水港でも横浜港へ輸送する貨物量が激減。はなわ君もこれには真っ青だろうし、玉ねぎ君(名前忘れた)と一緒にいる何とか君(名前忘れた)は胃腸が弱いので静かに息を引き取ってそう。

 

国内がダメなら海外を目指そうベイビー!当時の輸出品と言えば絹と茶、というかこれくらいしか無いわけですが、静岡は茶の名産地。このとき海外貿易は横浜港が担っていて、しかも商社を通さないといけなかったから仲介料が掛かる掛かる。これを清水港からの直接輸出を可能にして、かつ仲介を通さなくても済むよう、清水政財界の人々が10年がかりで中央政府や船舶企業に交渉を続けてついに実現。清水港の貿易量は増えに増え、茶の輸出量では国内トップのシェア77%を記録という大勝利。ベイビー!

大勝利すぎて、清水港の輸出量のうち99%が日本茶になったらしい。もう少しこう何というか、多角化というか・・。「茶を作るべきか死ぬべきか」「茶にあらずんば人にあらず」の態勢でお送りします。

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茶の単騎地獄待ちでは危ないと思ったのか、缶詰の輸出が始まりました。北海道で鮭の缶詰が開発されてましたが、清水ではツナ缶とミカン。1929年に開発され、茶に次ぐ輸出品量を誇ったそうです。

 

なので明治期~戦前の清水港は、茶と缶詰が輸出のメインだったようですが、現代ではどうでしょうか。館内に2013年時点の資料がありましたが、オートバイ・缶詰・楽器・プラモデルが主要品目とのことです・・プラモデル?

asahi.gakujo.ne.jp

朝日新聞によると、静岡はプラモ生産の国内シェア9割。バンダイタミヤの生産施設があり、クールジャパンの潮流で人気が出ているガンプラや、ミニ四駆の製造が行われています。

実はお茶の生産量は鹿児島県に抜かれつつあるので、もう静岡はプラモデル県に路線変更した方が良いかもしれない。

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清水港には貨物鉄道も乗り入れていたようです。既に廃止されていますが、左の写真は国鉄の清水港駅。日本髄一の貿易港だけあって駅の規模も大きめ。

右の写真は静岡鉄道の波止場駅。茶の集積地がある静岡市北番地から港を結んだ路線で、この駅はもう無いですが、路線自体は現在の静岡鉄道になっています。なんか道の真ん中に勝手に止まっているように見えますが、汽車の背後をよく見るとちゃんとした駅舎っぽいのがあります。

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文化財にもなっている「テルファー」。船の荷物を釣り上げて鉄道の荷台へ直接おろしていました。普通に移し替えると1日かかる作業が1時間足らずで済むようになったイノベーションものだが、上空作業員が命綱つけてるように見えないところも革命的である。

国内では清水港にしか残っておらず、博物館近くのエスパルスドリームプラザに展示されているそうです。

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さて、博物館にはもう1つ、別の博物館があります。「缶詰記念館」です。缶詰は清水港の主要品ということで県内には缶詰製造会社も多数あるわけです。

この建物は、そうした缶詰会社の1つ(株)清水食品の本社だったもの。

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館内には静岡における缶詰開発の解説があります。建物自体小さめなので、あまり展示数はありません。

巨大な魚(何かは知らない)を捌いて、小骨や臓器など余計なものを取り除く「クリーニング」作業の様子。魚釣りは男・工場は女、という時代でしょうか。

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缶にはアルファベット2文字記されていて、原材料を示しているそうです。マグロはAC、ミカンはMO。英語の略称では無いようですね。何なのか気になった私は夜も眠れず、ついにネットで3分ほど検索したのですが、日本缶詰びん詰レトルト食品協会によると「特に意味は無い」そうです。

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最後に、缶詰博物館の外に石碑がありました。「最低賃金全国第1号記念碑」だそうです。

最低賃金が法制化されたのは1959年ですが、静岡の缶詰業界ではこれに先駆けて1956年に初任給に最低賃金を設定したそうな。全労働者ってわけではないようですが、全国で初めて導入した事例ということで、われわれ全労働者は清水の缶詰に足を向けて眠れませんね。あなたの賃金の数だけツナ缶を買って差し上げてください。

 

おしまい

 

【滞在時間】45分

【混雑度】★★(館内に数人)

【URL】

www.suzuyo.co.jp

 

清水ラムネ博物館・すしミュージアム

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清水駅からバスで10分の商業施設エスパルス・ドリームプラザには、海鮮市場にフードコートに観覧車、映画館・寿司屋、ちびまる子ちゃんランドがあり、地元客のみならず観光バスも立ち寄ります。怒涛の集客要素っぷり。「清水のファミリー客層ぜんぶ抜く」強い意志が感じられる。

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館内には更に2つ、ラムネ博物館とすしミュージアムなる施設があります。寿司とちびまる子は分かりますが、ラムネはどっから湧いて出たのか。

近隣の島田市にラムネ製造の木村飲料(株)があり、その企業ミュージアムというのが答えのようです。博物館と言うより、物販スペースにラムネ解説展示を併設したもの。ここで買ったラムネやサイダーは、室内で飲むことができます。

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商品棚から取ってレジで精算するシステムですが、種類の多さが凄まじい。サイダーってこんなに需要あるんか。ぜんぶで55品目あるそうです。

普通のラムネやサイダーから、お茶サイダー・ちびまる子サイダーなどご当地品も様々。

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しかしこの辺は誰が飲むんでしょうね。メロンパンサイダー、カレーパンサイダー。一発芸か罰ゲーム専用アイテムにしか見えないんですが。大学生の新歓に配慮する木村飲料さん。ESG。

地味にヤバいと思われるのがトマトサイダー。完熟濃厚な味わいが炭酸の泡とともに猛スピードで喉へ流れ込んだ時の悲劇を僕たちはまだ知らない。

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展示を見ましょう。ふざけているのはサイダーだけで、あとの内容は真面目です。
炭酸飲料を日本に持ち込んだのはペリーとされているようです(諸説あり)。持ち込まれた瓶を見て日本人は「きゅうり」と呼んだそうですが、似てるか?まぁ瓜っぽくはありますが。致命的なのは自立できない形状なので、変に転がったら炭酸が暴れて泡まつりになりそう。

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工場見学ビデオが無限ループ再生されているので、席に座ってサイダーを飲みながら鑑賞できます。時間も10分程度なのでちょうどよい。
ラムネの栓にされてたビー玉って、飲み終わった後みんなどうしてたんでしょうね。瓶と一緒に捨てるか、コレクション兄貴になるとか、鼻の穴に入れてみて取れなくなり病院送りになるとか(居そう)。

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ご当地サイダーは各地で見られますが、静岡県には11種類あるそうです。名前が変なやつは、味は普通だと思われます。なお私の知人に全国各地のキテレツ炭酸飲料を探し求める「クソサイダーハンター」が居るんですが、その人から「浜名湖の鰻コーラは単なる鰻のたれ」という情報が得られましたので、塩分濃度と血圧が気にならない方は挑戦ください。

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次は、すしミュージアムです。階段(左の写真)から2Fへ進み、入場受付へ行くんですが、入口がすごい狭い。右の写真のうち、右側の狭い通路がそれです。左側の通路はレストランです。搬入路を強引にアミューズメント化したのだろうか。

入場料は500円。館内の寿司屋さんで食事したレシートを見せれば半額になりますが、展示を見て寿司欲を高めてから食べに行くべきであると考え、さきにミュージアムに入りました。なお、ここは観光施設なので寿司屋も観光価格であり、空腹MAX状態だと思ったより財布に負荷がかかることをご報告します。

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んで寿司ミュージアムですが、全体の2/3くらいは寿司関係ないんですよね。昭和っぽい街並みとか謎の神社が出てきて、むしろ「清水レトロ博物館ですか?」という立ち振る舞いであった。私の中のリトル シブがき隊が躍るトーンを下げていく。スッシッ食い・・食える?(焦)

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突き進んでいくと、1番最後にようやく展示コーナーがありました。これまで何も無かった分を取り返すかのように寿司情報が細かく解説されていますが、細かすぎて逆に読める体力が残っていませんでした(終)。前菜~メインまで玉子と海苔巻きしか無かったのにデザートでマグロ1尾テーブルに乗っけられた気分である。

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まぁ内容はなかなか面白くて、寿司の起源から派生、現在主流である握りずしが江戸時代に誕生したことが説明されていました。

もともと寿司は東南アジア発祥の「なれずし」。米に魚を漬け、米が発酵して乳酸を出し、その酸で魚を長期保存する。冷蔵保存手段の無い時代に生み出された技術だそうです。米は発酵するのでドロドロになります。

私は滋賀で鮒ずし食べたことありますが、匂いが凄まじい。食事の話なのに申し訳ないですが、フランスの皇帝ナポレオンが寝ているところへ熟成したチーズを鼻元へ持ってったところ、ナポレオンが「ジョゼフィーヌよ、今夜は勘弁してくれ」と呻いたというネタ話を思い出しました。つまり、そういうことです。

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そんなクサクサ寿司も時代を経て様々に派生しますが、現代の握りずし形態が出現したのは19世紀初頭と、かなり最近。華屋与兵衛という寿司屋が考案したとされています。この時代だともう米を発酵させず、お酢で酸味を出し、米と魚を1つの箱に入れて押すことで味を馴染ませていたようですが手間がかかるので、握るだけで同じクオリティを出す手法を発明したそうです。

なお華屋与兵衛というファミレスがありますが、与兵衛さんと関係ないようです。

 

というわけでした。もうお腹減ったので寿司食べに行きます。

おしまい

 

【滞在時間】2つ合わせて1時間

【混雑度】★★(他に数人)

【URL】

www.dream-plaza.co.jp