C級スポット探索日記

C級スポット探索日記

各地の資料館・博物館・珍スポを回り倒すのが趣味です。転勤族(神奈川→埼玉→長野)

天領日田洋酒博物館

大分県の日田に洋酒専門の博物館があるらしい。
そのコレクション数は2万点とも5万点とも。。。メディアによって言うことが違いすぎるのです。ちゃんと取材しろ。まぁ実際に行けば分かるか(適当)
館内にはバーも併設されていて飲めるそう。楽しみ。

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場所は日田駅から徒歩10分。泥酔しても駅までは辿り着ける距離です(安堵)。

店構え、想像以上に大規模で面食らう。
駐車場は、右わきに2~3台停められるスペースが有りました。

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入館すると、、まずめちゃめちゃ広い。
目のやり場ことごとくに展示されているボトルやグッズ。ごたごたした雰囲気を出しつつも、よく見ると整然とした配列。中央奥の方には巨大なポットスチルまであるし。どういうことなの。。。
一瞬で分かる「が、、ガチのコレクターや(ガクブル)」感。ちょっとお酒好きな程度のトーシロが来てしまってスミマセンでした。

 

入館料の500円を払うと、最初は館長さんがおススメ展示を紹介してくれます。まぁおススメは大量にあるんでしょうが全部解説すると今世紀おわるかもしれないので、一般人でも分かるやつをチョイスしてくれてるのでしょう。

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エルビス・プレスリーマリリン・モンロー、、の姿をしたボトル。中にウイスキーが詰められているらしい。マリリン味のウイスキー、、とりあえず発明した奴は変態だと思う。
エルビスは首がキャップになっているそうな。つまり飲むには毎回首をもがないといけないのか。エルビスファンは葛藤しながらも、アルコール欲を抑えきれずに愛しのアイドルを手にかけることになります。ひどい話だ(ウイスキーを飲みながら)

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さっきから気になるポットスチル、ただのモニュメントかと思ったらまさかの本物。それもニッカ創業者の竹鶴政孝(朝ドラ『マッサン』のモデル)が自ら製造した初期の品。ウイスキー界だと国宝級だろう。
そんなのニッカが放出するわけないのだが、ここの館長ニッカの工場に通いまくり、これまでの収集品目録を手に「どうしても欲しいんじゃあああ(意訳)」と熱意を説いたので遂にニッカが折れて譲ってくれたと。

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館長の説明を一通り聞いた後は、館内を自由見学です。見たこともない洋酒のボトル、ファンシーなグッズ、当時限定のノベルティ、店舗に掲示するような大サイズの看板まで。個人で集められるレベルじゃねーぞ

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あと館長から「奥の方には男性が喜びそうなグッズが多いよ」とのこと。行ってみたら、、だいたい予想通りのブツがありました(苦笑)
残念ながら当サイトはFC2ブログでは無いので、過激なものを載せると即アカbanされてしまいますから、大丈夫そうなものだけ撮影しました。しかし昔はサントリーもヌードポスター作ってたんだね、今やったら大盛り上がり大炎上するでしょう。

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これだけコレクションが凄いとメディアにも取り上げられていて、『クッキングパパ』にも登場しているのだ(左下のコマ)。
ウイスキーが登場するコマではやっぱり「ウヰスキ~」という擬音語が出てくるのだろうか(この漫画では、例えばカレーは「カレー」という謎の擬音語とともに登場する)

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さて見学が終わると館内のバーでソフトドリンク1杯を頂けます。
渾身のコレクションと大好きな酒に囲まれての商売。男の趣味の極みである。
バーとしての営業は夜からですが、入館者はアルコールも頼めます。昼でも頼めます。飲みましょう(即断)

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メニューありますか?と館長に訊いたら、「酒の種類が多すぎてメニュー作れないレベルだから、無い」。カウンターに置いてある酒は在庫あるからそこから選んで、とのこと。
どれにしようかな・・って、あり過ぎて選べないんですが。右から順番に!とかやりたいけど私の中のリトル肝臓が「死ぬぞ」と言っているので止めておきます。
「飲みやすいやつ」とか「ヘビーなのを」と館長にお願いすれば、それに合ったのを出してくれるので聞いてみましょう。

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最後に、館長YouTube配信はじめたらしい。
コロナでお客さんも減ってしまったので「チャンネル登録だけが心の支え」とのこと。広告料収入でまた飲むつもりなのかしら。
ちょろっと見てみたけど、サントリー「白札」なんてもう考古品みたいなウイスキーまでコレクションしていて、飲んだりしていた。90年前の酒やぞ!ある意味、相当貴重な動画撮っております。

 

おしまい。

 

【滞在時間】60分

【混雑度】★★(他に数組)

【URL】天領日田洋酒博物館

浜田温泉資料館

別府の温泉です。。。と言っても「どれやねん!」って返されるでしょう。
なぜなら別府市内にある源泉は2,800箇所、入浴施設は300以上。1日1施設まわっても1年かかる。湧き出しすぎ。そのうち水没するのではないか。

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浜田温泉があるのは別府市の北東で、別府駅からは6kmです。路線バスか鉄道で亀川駅まで来て、徒歩3分。
温泉なのに入湯料は200円と激安。以前は50円だったらしい。あまりの価格破壊にわざわざ本州から訪れる人もいたそうな。
温泉界のドンキホーテと呼ぼうと思ったが、浜田温泉さんサイドにメリットが無さそうなのでやめておきます。

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んで、その温泉施設の対面に資料館があります。
1935年建築の旧浴場で、2002年に今の施設が出来たので、復元して保存しているのです。
入館料は無料。

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内部には、まず浜田温泉や市内の温泉を説明する展示室コーナー。昔の写真とか図面、当時を回想する新聞記事の切り抜きなど。
大正時代の記録では、階下が浴室、階上は料亭という造り。温泉で気分が良くなった浴客が2Fでどんちゃん騒ぎしてたと思われます。
あとこれは現地の人に聞いた話なのですが、別府は九州の中でも有数の風俗街であるらし(ここで手記は途絶えている)

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階下に降りると当時の浴室。ロッカーの脇がすぐ浴槽なので、服を脱いですぐダイブできる便利仕様です(怒られます)。
洗い場が無いんですが、湯舟のお湯を桶で運んで使え、ということなんですかね。地方の温泉地域にある共同浴場だとそういうの見ますけどね。
その場合、椅子は無いので床に直に座ることになります。地べたリアン(死語)

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この施設が珍しいのはサウナがあることです。奥に続く通路を行くと、その部屋に辿り着きます。暗い上に狭いので客用通路とは思えませんが、怖がらずに頑張ろう。
サウナ自体は江戸時代から日本各地に存在しており、熱した石に水をぶっかけて蒸気を発生させていたわけですが、本場 別府スタイルは違います。

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別府市HPより、別府の町の湯気っぷり)
このへん歩くと分かるんですが、温泉施設どころか民家など至る所から湯気が噴き出してるんですよね。町中めっちゃモクモクしてる。
なので、この蒸気をまんま利用してサウナ部屋に流したんだそうな。温泉成分を含んでいるガスを全身で浴びる。別府ではサウナすら温泉なのです。

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そんな昔のサウナがこちら!、、ただの部屋じゃないか。まぁ稼働当時は機具なり椅子なりあったんだよ、きっと(自分に言い聞かせる)
しかし天然の蒸気をそのまま用いるって、温度や濃度が強まりすぎると倒れて銭湯不能になる人が出そうですが。。
別府の民は毎日温泉成分を肺に取り込んでおり、各種の地獄温泉に浸かっているので鍛えられているのでしょう。他県民が同じことをすると、溶けて亡くなります。

 

※ 近代的なサウナ設備機具が普及するに伴い、天然蒸気は使われなくなったそうです。

 

そんな感じでした。

おしまい

 

【滞在時間】30分

【混雑度】★(誰も居ない)

【URL】浜田温泉資料館|別府市

 

伊那市創造館

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名前的に近未来な科学技術を扱っているのかと思いきや、縄文土器や郷土の文化人がメインの資料館です。“元祖ニュータンタンメン”くらいの歪みを感じる。新しいのか古いのか、どっちやねん!
重みと分厚さのある建物は1930年に図書館として開館したもので、台湾総督府や諏訪の片倉館を手掛けた建築家が担当したそうな。良い建築なのでリフォームして再利用しています。

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入館料は無料。
展示室は4部屋あって、企画展が2つ、常設展が2つ。ここは常設展の縄文土器の部屋です。
近隣の遺跡から国の重要文化財になるほどの土器が出土しており、それを展示しています。

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重文の1つが「顔面付釣手形土器」。顔面が付いている釣手(紐を通して吊るせる)土器ということ。名前が直球すぎないか。
釣手土器は、お腹に開いている穴に火をともし、ランプとして祭祀の場で用いるものです。
顔の角度的にこちらを少し見下しており、金持ちの坊ちゃんに小馬鹿にされている感じがするのが特徴です。「お前、ウィズリー家の子供だろ?」

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(画像はルイ15世です)

珍しいことに、背後から見ると髪の毛があるのです。
毛量が多くてカールしており、三つ編みを背中まで垂らしている。近代フランスの王侯貴族っぽい。ブルボン王朝の美容サロンは縄文時代の影響を受けていたようです。

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もう一つの重文は神子柴遺跡から出土した品々だそうですが、、、あぁ、こういうの近所の資料館にもあるよ。投げつけられたら痛そうだね(鼻ほじ)

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こっちは重文ではありませんが、「顔面把手付大深鉢」。大きな深鉢の上にちょこんと顔が乗っているのだ。(` 。´)
君、あまり機嫌よくなさそうね。

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お腹部分には突起がついていて、「赤ちゃんが生まれ出る瞬間だ」という説があれば、「ヘソでしょ」という意見も。体長に対してヘソの比率おかしくないか。押すと何か発動しそう。

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ドングリとクルミだそうですが炭化して全く区別がつきません、ありがとうございました。

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常設展のもう片方は、幕末の俳人 井上井月(いのうえ せいげつ)。芥川龍之介が絶賛していて、自身の小説にも登場させているらしい。
展示室ではその書画や解説資料が並んでいますが、品物は撮影禁止なので部屋の内装だけ撮りました。

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この井月さん結構な変人で、伊那にいた約40年ほぼずっと乞食として生活していた。土地家屋を与えられたこともあったそうだが定住せずその辺を放浪。ホームレスを福祉施設に連れて行っても数日で脱走されてしまうという市役所職員の苦労話を思い出しますね(遠い目)

 

晩年はクソまみれの状態で道端にぶっ倒れているのを村人に発見されて搬送され、数か月後に没したらしい。
クソまみれってどういうことなんだ。。倒れて全く動けなくなったけど、排泄物は勝手に流れ出てしまったのだろうか。孤独死って恐ろしいな。
当時の人、記録を細かく残しておくのは良いことだが、この部分は削除したほうが本人の名誉になったと思うぞ☆

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井月展示室の外に出るとドデカ爺さんの顔面が置いてあってビックリ。なおこれは井月さんでは無いようです。じゃあ誰よ?
土器も顔面系ばっかりだったし、顔面好きなんですかねこの資料館。「顔面創造館」に改称するとちょうど良いと思うよ。

 

おしまい

 

【滞在時間】40分
【混雑度】★(誰もいない)
【URL】伊那市創造館:伊那市公式ホームページ

 

伊那市民俗資料館(高遠なつかし館)

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よくある民俗資料館。民具とか農機具とか飾ってます。
館名「なつかし館」だが、これら道具をなつかしいと思う人はもう後期高齢者か、もしくはもう墓のなk【This Tweet violated the Twitter rules】

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高遠駅バス停から徒歩10分弱。入館料は200円。
展示室はさほど大きく無いですが、この隣に古民家があってそちらも入れます。
休憩スペースがあるから、バスの待ち時間によいかも。

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他の資料館でよく見かける展示物も多いので、気になったものだけ書きます。
玄関の正面に置かれている大きな鐙。花嫁が使うらしい。何のために?
結婚してみたけど、やっぱこの夫ビミョー!ってなったら流鏑馬の的にでもするのだろうか。もっと良い男を捕まえるための神事、みたいな。

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違った。この地方では白装束を着た花嫁が豪華に装飾したお馬さんに乗り、実家から嫁ぎ先に向かうそうです。なんかすごい大名行列になりそう。まぁ大正時代までの風習なので今はやってないようですが。
これ乗馬の練習も必要ではと思って近隣の乗馬クラブのHPのぞいてみたのですが、レッスン1時間で5,000円~10,000円と結構いい値段する。

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これは饅頭の蒸籠。薄皮でこしあんをたっぷり包んだ高遠まんじゅうは江戸時代に誕生。高遠藩主がたびたび将軍に献上するくらい品質が良かったらしい。
献上するなら伊那名物のイナゴやハチノコじゃないんですか?と言いたくなったが、献上した瞬間に首をハネられることを高遠藩の人々も分かっていたのだろう。
説明書きによると、饅頭は信州名物「おやき」の亜種として作られたそうな。おやきの方がむしろ亜種な気もするが。

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城下町には必ず酒があります。高遠では黒松仙醸。
目玉商品がなんと どぶろく所ジョージの番組で取り上げられたらしい。
バス停に行く途中に古い酒蔵があって以前は試飲ができたそうですが、コロナのせいか開いていませんでした。涙。オンラインショップで買うか。

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ティッシュみたいなノリで言われても困りますがな(お手玉です)

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石板。チョークではなくて石筆を使って文字を書きます。
チョークの字は水にぬれると消えてしまいますが、石筆で書いた字は消えないので、今でも建設現場でマーキングに使われています。

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実際に書いてみたんですが、けっこう力を込めないと字が薄くなり見えなくなってしまいます。3文字書くだけで指がだいぶ疲弊した。昔の子供たちはとんでもない指力を持っていたんだな
※ 太い石筆ならたやすく書けるそうです。

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展示室はおしまい。
となりに建っているのは高遠藩に代々仕えていた医師の屋敷。武家屋敷は日本全国たくさんありますが、医者の屋敷は希少だそうです。

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お医者さんは夜間救急もやらないといけないので、すぐ診察できるように玄関の土間のすぐ横を診察室にしてました。すごい!お医者様の鑑!!
・・っていうよりは土間が寒々しいので、病気よりも極寒による心臓発作で死ぬのではないかと思いました。たぶん診察室のさらに横に仏壇があるはず(迷推理)

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座敷はとても広いのでジャイアントスイングトリプルアクセルしても十分なスペースが有ります。

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最後にお茶の間。家族団らんの場所ですが、なんなんすかねこのドデカ提灯くんは。こんな縦長にしなくても明かり足りるでしょ。
油断して立ったまま入室すると無事に頭をぶつけることになる。
なにか家庭内ルールでもあったのだろうか。「もしぶつかったら今日の晩御飯は全部ざざ虫な!」とか。

おしまい。

 

【滞在時間】30分

【混雑度】★(誰も居ない)

【URL】伊那市民俗資料館 利用案内:伊那市公式ホームページ

 

高遠町歴史博物館

高遠と言えば武田氏の支配下にあった1582年。

大正義織田軍が伊那地方にどがどが進軍し、小さい城たちはあっさり蹴落とされ、最後に残ったのが高遠城

武田側1,000人vs織田6万人というオーバーキル状態で降伏勧告を浴びせられるも、城主 仁科盛信は主家への忠義を貫いてこれを拒否。織田の大軍にむかって玉砕突撃、高遠城は陥落。まもなく武田氏も滅びたのでした。

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・・という話をするのは戦国好きだけであり、普通は高遠さくら祭りに行き当たると思われます。城跡の公園に咲き乱れて、「さくら名所100選」にも入る。壮大な宴会場です。
私が行ったのは9月ですが、いやぁ桜の花びらが綺麗ですねぇ(幻覚)

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その桜公園の端っこに博物館があります。高遠駅バス停から徒歩20分ほど。

戦国の城は山城なので登りの傾斜がけっこうキツい。日ごろの運動不足を試されます。

入館料は400円。

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常設展示室と企画展示室が1つずつ。私は常設展はがっつり見るけど企画展は流し見なので、滞在1時間でした。
高遠が武田に支配されるまでの話、さっき書いた高遠城の戦い、高遠藩になってからの話について説明されています。
展示室内は撮影禁止なので、中の雰囲気が若干分かる程度で、室外から撮っています。

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保科正之さん)

高遠藩の歴史を概観します。

初代藩主は地元出身の保科氏。この保科氏を徳川家はかなり信頼していて、2代目将軍の秀忠が大奥の女性に産ませた子が高遠に預けられてくるほど(正室にブチ切れられるのが怖かったので、地方に逃がしたらしい)
この子がのちに「日本史でも名高い名君」と呼ばれる保科正之になるわけですが、有能すぎて藩主になってから5年で栄転してしまったので、高遠の民はあまり恩恵を受けられなかった模様。

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鳥居元忠さん)

1633年代わりに来たのが、家康の親友でおなじみ鳥居元忠の子孫である鳥居家。

残念ながら子孫は無能だったようで、家督相続でモメて山形の所領を没収され高遠に流されてきたのでした。

早く出世して昔に戻りたい当代 鳥居忠春は幕府のご機嫌を取るために城普請や軍役をいくつも受注したので藩の財政は見事な赤に染まりました。圧政に耐えかねて3,000人の領民が山を越えて木曽に逃げたらしい。幹部の歓心を得たいために部下にひどい目標を課す無能管理職の先駆け。出世できればヨシ!

しかし悲願叶う前に、パワハラに耐えかねた部下によって斬られてまさかの死亡エンド。大名として情けなさ過ぎる。幕府にも見切られて、鳥居家はさらに小規模な能登へ左遷。焼き鳥にされてしまいました。

 


このあと1691年~幕末までは内藤家の統治になりますが、この人たちはマトモだったようです。
とくに最後の藩主 内藤頼直は人格者で、明治の廃藩置県により大名たちは東京へ強制移住となったのですが、お別れに武具や酒など領民にたくさん振舞ったそうな。

感動した領民がお返しの品を上納したところ、内藤家はさらに返礼品を下賜し、全領民に涙させました。百姓を痛めつけてなんぼの江戸時代の大名としては、良い人過ぎるので減点です!

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内藤家時代に1つだけ大きな出来事がありました。大奥に仕えていた絵島という30代の女性が遠流されてきたのだ。江戸で悪事を犯したため、高遠の地で30年弱、61歳で死去するまで幽閉されていたのだと。

軟禁されていた屋敷が博物館内に再現されてまして、「絵島囲み屋敷」と名付けられています。

ちなみに罪状は・・門限までに帰宅しなかったから。は?

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(2006年映画『大奥』)

戸塚ヨットスクールもビックリな超絶処罰ですが、政争絡みだそうな。

18世紀初頭、将軍 家継はわずか6歳だったので新井白石一派が実権を握っていましたが、これに譜代大名が反発。大奥でも前将軍の正室vs現将軍の母という対立があり、前者が譜代連中、後者が新井派について激化。大奥に出入りしている商人も利益を引き出そうと争いに絡み、秩序はめっためた。

そんなときに絵島の門限遅刻事件が起こったので、両陣営これに油も火もそそぎまくって大問題。ついでに秩序を乱す連中も処罰だ!絵島の兄は妹の監督不行き届きで死罪、恋人の役者は三宅島に島流しというエクストリーム断罪の嵐。

 

政争に巻き込まれて華の江戸を追放され、死ぬまで30年軟禁されて暮らした女性の悲哀ということで、絵島事件はその後多くの創作のタネになったわけです。

2006年の映画『大奥』もその一つですが主演が仲間由紀恵なせいで、不良生徒や阿部寛をドヤしながら大奥を叩き潰す絵しか浮かばないのはキャストミスだと思います。

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絵島さんですが、大奥の華やかな生活とは打って変わり、ここでは木綿1枚、冬でも暖房器具は火鉢1個のみ。冬の信州でそれは辛すぎるだろう・・せめてハイアールの激安エアコンでも入れてあげてください。

 

おしまい

 

【滞在時間】1時間

【混雑度】★★(他に数人)

【URL】伊那市立高遠町歴史博物館:伊那市公式ホームページ