レトロでんしゃ館
愛知県の日進市に市営電車の博物館があるのだ。かつて名古屋を走っていた路面電車などの車両、運転シミュレーター、ジオラマがあります。
展示1 路面電車と地下鉄の保存車両
展示車両4台のうち3台は、1898年~1974年まで存在した名古屋市電です。町中を走る路面電車でしたが、名古屋が車大国になると道路上に居場所が無くなってしまい廃止。代わりに地下鉄が整備されましたとさ。
こちらの市電2000型は名古屋市電の最終形で、騒音と振動を最小限に抑えたのですが、あまりに走行音が静かすぎて近隣住民から「近づいてきているのに気づかなくて危ないじゃないか」とクレームもあった模様。今の自動車もそんな感じですね。
1957年に開業した市営地下鉄の100形です。「暗い地下でも明るく見えるように」との考えで黄色になりましたが、迷列車ファンには国鉄広島を思い起こさせて草不可避、という意見もあるようです。
この車両シリーズは2000年まで使用されていたのですが、なんと冷房が付いていなかったそうです。真夏の銀座線や大江戸線で冷房なしのラッシュアワーを想像してほしい。そら死ぬわ。
(海へ沈められる路面電車)
ところで路面電車が廃止されたとき、大量の車両の処分に困ったそうです。その対応策が、車両を海に沈める。・・どこの途上国ですかね。
ちゃんと理由はあって、「魚が集まりやすいところに沈めれば、彼らの隠れ場所になり、住みつくのではないか」とのこと。住み着いたところで一括漁獲なわけですね。上手く行ったのかは知らん。
展示2 シミュレーターやジオラマ
肝心の写真を撮っていなかった・・無能ですみません。
ジオラマはNゲージが走ってますが、自分で運転もできます(無課金で)。
シミュレーターは数台しかないので埋まっている時間帯もあるかもしれません。
シミュレーターのコントローラーはこれ。オモチャ感が半端ない。シミュレーター自体は『電車でGO』お子様版みたいな難易度。
(名古屋市の市営交通資料センター)
ちなみに名古屋市にある交通資料センターでは本格的シミュレーターで遊べます。小さなお友達も大きなお友達も楽しめるでしょう。
隣接する地下鉄工場の見学もやってます
レトロでんしゃ館は、市営地下鉄の日進工場敷地内にあり、工場のほうも見学できるのです。
ただ前日までに事前予約が必要で、月曜と金曜日のみ、時間帯も10:30~と13:30~の2回に限られています(所要1時間)。
私は行けませんでしたが、上のリンクに申し込み方法が書かれていますので、確認してどうぞ。
施設概要(アクセス・料金・所要時間など)
アクセス
地下鉄鶴舞線の赤池駅から徒歩10分です(名古屋駅から30分)
駐車場
いちおうありますが、10台程度くらいのキャパ。土日だと結構うまってます。赤池駅前にも時間制の駐車場が幾つかあります。
料金
無料!
所要時間
1時間あれば十分足ります。シミュレーターにお子様がドはまりすると一気に時間を食うかもしれませんが。
混雑度
土日は人がまぁまぁ居ますが、シミュレーターやジオラマで並ぶか並ばないか程度です。リニア館とは比較になりませんね。
URL
地図
市営交通資料センター
ここは名古屋の交通資料館。市営地下鉄の運転シミュレーターやジオラマ、市バス関係を展示しているのです。わりと空いているので、お子様連れのお父さんには穴場なのではないか。
概要
このビルの6Fです。名古屋市交通局の施設なので、モロ役所である。市の財政局や労働組合も同居してますからね。電車で遊ぶついでに、組合活動できるじゃない!
アクセス
最寄り駅は3つあります。いずれも徒歩10分。
駐車場
無いでござる
料金
無料です
展示1 ジオラマ
鉄道資料館らしい大きなジオラマです。走っているのは地下鉄の鶴舞線かな?
この車両は運転も出来るのだ。名城線の車両で実際に使われていたコントロールです。追加料金は掛かりません。名古屋の街をかっ飛ばしましょうね。
1974年まで走っていた路面電車のジオラマも。この市電の鉄道網が地下鉄に引き継がれたんだっけか。
車両は赤池にあるレトロでんしゃ館でお目見えできます。こちらも充実の資料館なのでぜひ。
展示2 本格的な運転シミュレーター
名古屋市営地下鉄は『電車でGO』も『train simulator』もゲーム化してませんから、貴重ですね。運転台もあって本格的である。
路線は鶴舞線です。難易度はめちゃめちゃ高いです。運転ゲームならお馴染みの「あと何m」って表示が無いのだもの。完全目視での運行なので、リアルな運転手育成用。
鶴舞線全線を走行できます。後ろにお客さんが並んでいたら2駅で交代しないといけませんが、あまり人いないので、上手く行けば独占してコンプリートできるかもしれない。大きなお友達は自重しましょう。
展示3 クイズに市バスに行政資料
パソコンを使った地下鉄・市バスのクイズコーナーもあります・・が、クイズがガチすぎる。。市バス1台の1日の軽油消費量なんて分かるか!
地下鉄に比べると市バスのコーナーは限定的です。次の停留所をお知らせする電光板ですね。手元のボタンを押すと、次の停留所に切り替わります。
こういうの触れる場所はあまり無いので、面白い。
あとは資料置き場もありまして、名古屋市交通局のかつての資料がずらーっと並んでいる。情報公開も完璧だね!研究者や学生はここに調べに来る傍ら、さっきのシミュレーターで遊んでいけますね。館員さんの視線がヤバそうですが。
これでおしまい。私は土曜の昼に行ったけれど、他のお客さん2組しか居なかったから、電車好きなお子様をだいぶ伸び伸び遊ばせられるかもしれません。まぁ夏休みとかは分かりませんが。
【混雑度】★★(他に2~3人)
【滞在時間】45分
【URL】
中山道みたけ館、商家竹屋
可児郡の御嵩町は、中山道49番目の宿場町がありましたとさ。戦国武将 可児才蔵の出身地でもあります。その郷土資料館がこちら。
概要
アクセス・駐車場
名鉄広見線の終点 御嵩駅から徒歩5分です。1Fは図書館で、2Fが資料館になっています。駐車場も図書館なので、20台は停められそう。埋まることは滅多にないかと。
営業日
図書館なので月曜休みですが、第3火曜や最終金曜と、他にも数日やってない日があるので気を付けたい。
入館料
図書館なので無料です。やったね。
展示1 宿場町の暮らしぶりと、ちょっとアブないライフハック
町があるので、それだけ人や文化もあるわけですね。屋敷の模型とか旅籠の道具とか。
江戸時代のみならず古代の土器に始まり、近代の炭鉱業まで幅広く扱っております。
1861年に14代将軍 徳川家茂に嫁いだ皇女和宮も、中山道を通って江戸に向かいました。御嵩で休息した際に和宮が下賜した京人形だそうな。
今で言うと眞子様が街道にむらがる庶民にお渡しするイメージである。まぁ現代の和宮降嫁は当面実現しなさそうですが。
旅の道中でのライフハック用心集。困ったときの拠り所だが、割ととんでもないコトが書かれている。
船に酔ってしまったら、なんと「子供の便を飲む」か「大人の尿を飲む」のだそうだ。なぜなら「川の水を飲むと即死する」。
便とか尿を飲んだ方が即死すると思いますが・・当時の人はコアラかウサギだったのだろうか。
足が痛むとき→「足の裏に塩を塗った後に火で炙る」
土踏まずが痛い→「ミミズをすり潰して塗る」
いやー明日お友達に教えてあげたい豆知識ですね!
展示2 天下最強の武将 可児才蔵
これは企画展なので普段おいてないのかもしれませんが、郷土の有名人枠で可児才蔵が特集されていました。戦国好きの皆さんならご存じでしょうか。
資料館サイドによると「戦国最強の武将」です。あれ、本多忠勝じゃなかったの?(戦国無双並感)
関ケ原の合戦に福島正則の配下として出陣、17人もの敵を討ち取って武勇をはせたそうな。
すごい武将ですが、頭に草はやしてるんですよね。なにしてんの。
関ケ原のとき、倒した17人分の首を一度には持って帰れないので、その辺の竹の枝を差して目印にしたそうです。それを見た家康が「笹の才蔵やな」とコメントしたので、笹が頭から生えるようになりました。
銅像が広島に残っているのですが、その像が高さ182㎝であり、可児才蔵の身長と同じではないかと言われています。当時の平均身長は157㎝であり+25㎝なので、現代の男性平均身長を170㎝として+25すると195㎝になる。デカい。
なお戦国時代で最も高身長だったのはなんと豊臣秀頼で195㎝だったそうな。意外過ぎる。大坂の陣が合戦ではなくバスケでの勝負だったら豊臣方が勝っていたかもしれない。
展示3 商家竹屋という古民家
資料館から歩いて1分のところに分館として、宿場町の商人の家が保存されており、こちらも入れます。明治初期の建築だそうです。
竹屋というから竹でも売ってたのか(安直)と思ったら、投資家だそうな。電気やガスやら鉄道やら、様々な事業に出資してたくさんの有価証券を保有していたらしい。
これが大正時代の有価証券。品目の少ない蕎麦屋のメニューみたいな書きぶりで全然証券にみえませんな。間違えて捨てそうである。
ただ竹屋さん結構お金持っていたようで、屋敷の裏には蔵が2つに茶室まであります。意外と広い。名鉄広見線は1時間に2本なので、遅れないよう時間配分に気を付けよう。
おしまい
【所要時間】60分
【混雑度】★★(他に2~3人)
【URL】中山道みたけ館
イルフ童画館
大正~昭和前半、子供むけの絵「童画」は美術界では軽視され、テキトーな扱いを受けていました。その風潮を覆すために若き画家が立ち上がり、芸術としての領域にまで昇華させるのですが、主要人物の一人、武井武雄の美術館です。
概要
武井武雄について
武井武雄(1894~1983)。岡谷の出身です。今の東京芸大に進学して西洋画を修めるエリートなんですが、当時評価されていなかった子供向け絵画の世界に突入、ハイクオリティな作品を生み出し、「童画」というジャンルを確立させました。
(『6番おばけ』)
「子供向け絵画」と言いつつ、武井の作品はヘンテコで訳の分らんキャラだらけです。・・どういうことやねん(困惑)
(『神様とお化け』)
しかしこうした大胆なアイデアや構図は正統派画壇にも驚きをもたらし、その新鮮さは古びず、童画界のパイオニアとして地位を確立している・・らしいです。
子供向けの絵だからといって可愛らしい作風だけではいかんのですね。セサミストリートとか化け物の集まりだし。
さくらももこにも影響を与えているそうです。館内に置いてあった画集の巻末にコメントが寄せられていました。
そういやこの人の絵にも、ヘンテコな太陽とか出てくるなぁ。上に貼った『6番おばけ』って絵は似ているかもしれない。
アクセス・入館料・駐車場
岡谷駅から徒歩10分です。駅前から「童画館通り」って道路が続いているので、辿ってくればよし。
駐車場は、無料の「岡谷市中央町駐車場」が裏にあって、400台くらい停められるそうです。その台数はオーバースペックでは・・
入場料は510円。
展示内容
武井武雄の作品展と半生紹介
まず館内にあるのは武井武雄の作品ですね。ただこの人は絵画だけでなく、版画に著書やオモチャまで手掛けており、様々なジャンルの作品が眺められます。
ちなみに彼は「ラムラム王」くんです。武井武雄の代表キャラで、「私はラムラム王の生まれ変わり」と言っております。ムラムラ王ではありません。
武井武雄の生涯や一部の作品についてはビデオで見ることができます。PCで操作してね。
・・私Windowsユーザーなのでapple知らんのですけど、appleのマウスって未だにこんな感じなんでしょうか?左右のクリックが使い分けられなさそうですが。
ただappleは常に最先端を行っているので、頭の中で「右!」と念じれば指の筋肉が微妙に右寄りに動いて、それをマウスが感じ取り右クリックになるのかもしれません。
面白いエピソードも幾つかあるんですけど、「学生時代に一人暮らしをするから、親に家を建ててもらった」ってのが地方のボンボン感あって最高だった。どういう実家なのか。学生らしく下宿したまえ。
こだわりの刊本
武井は本の中身だけでなく、装丁にもこだわるようになったそうです。知り合いの伝手で特注品を頼んだり、自分で作ってみたり。本そのものを芸術作品とする試みで、「刊本」と呼ばれています。
これは本を入れる箱で、木彫りの暖かみと力強い装飾がありますね。
友禅染職人の知り合いに頼んだもので、和紙に柿渋を何重にも塗り込んで強度をつけ、染料をひとつひとつ塗り込んで丹精に作られている。めちゃめちゃ時間かかるらしいです。鼻たれのお子様に触らせるにはちょっと早いかな。
企画展
個性ある画家による企画展も常に開催されており、追加料金なしで見ることができます。
このときは、加藤休ミによるクレヨン絵画展でした。これクレヨンだけで描いてるそうです。そんなに繊細に描けるものだったっけ、クレヨンって。驚愕の作品である。
というわけでした。おしまい
【近くの施設】
【滞在時間】60分
【混雑度】★★★(周囲に他の客がちらほら)
【URL】武井武雄の世界 イルフ童画館 岡谷市
長野市立博物館、川中島古戦場
武田信玄と上杉謙信による歴史的合戦「川中島の戦い」、その跡地は公園として整備され、市立博物館がそこにあるのです。戦国好きで武田推し・上杉推しには訪問不可避な場所となっております。
概要
アクセス
長野駅からバスが出ています。善光寺口3番乗り場「古戦場経由 松代行」で30分弱、「川中島古戦場」で下車すると目の前です。バスの本数は1時間に2本。
時刻表は ↓ 。片道480円。Suica等ICカードはダメでござる。
車だと長野駅から20分程度ですかね。長野ICの近くです。
ちなみにJRに川中島駅がありますが5km離れていて最寄りでもなんでもありませぬ。
入館料
博物館の入館料は300円です。プラネタリウムもあって土日祝日に上映しています。別料金で250円。
ところで建物は日本建築学会の作品賞受賞という名誉あるものだそうです。たしかに、横に、ながいなーって感じがしますね()
内容1 川中島古戦場跡
武田vs上杉のバトルとして有名な「川中島の戦い」は5回開催されましたが、ガチバトルしたのは1561年第四次の戦いだけだそうですね。
武田軍が陣を置いていたのがこの場所で、八幡社という神社が建ってます。
冒頭にも貼ったこの像が名物になっています。上杉謙信が武田信玄を斬りつけ、信玄が手に持つ軍配団扇で刀を受けるシーン。どう考えてもフィクションですが軍記物語として語り継がれているし、まぁ面白いから良いと思う(適当)
境内には「執念の石」があります。謙信が信玄に斬りかかったとき、傍らにいた信玄配下の原大隅が応戦したのだが、謙信を討てなかったので、悔しさのあまり槍をこの石に突き刺したのだ。
大石に穴を開ける位なので彼はよほどの怪力だったと思われるが、貫通してはいないので、槍を突き刺した手への反動はヤバかったのではないか。2重のショックにより原大隅くんは憤死したという(新説)
あと古戦場内に蕎麦屋があります。「横綱」って店名のとおり大盛り蕎麦で有名です。価格はサラリーマン向け。地酒も数種類置いています(重要)
内容2 博物館の展示
川中島合戦の関係はあまりない
続いて館内です。川中島の戦い関係が多いのかと思いきや、この屏風1つでおしまいです。戦いの模様を予習して来たんだけど、なんも役に立たなかったでござる(終)
合戦の模様を描いたものなので中に謙信や信玄が紛れているんですけど、屏風がデカすぎて人が枝豆サイズだから全然みつからない。もはや「ウォーリーを探せ」のような別ゲームになっている。
いちおうビデオが流れていて、合戦の概要・屏風の説明を聞くことができます。
展示内容が少ないのは、そもそも合戦に関する資料が殆ど無いからだそうです。具体的な記録は武田側の軍記書物『甲陽軍鑑』くらい。物語モノは結構あるそうですが、博物館としては史実扱いするわけにはいかんのでカットしてるんでしょうね。
しかしせっかく古戦場跡に建っているのだから、面白おかしく扱っても良いのではないかと思います。
長野市全般としての紹介
市立博物館なので、長野市の歴史や風土・文化を概略的に扱ってます。
風土関係だと台風19号でド派手に氾濫した千曲川は最重要ですね。写真は氾濫のたびに近隣の寺が「ここまで浸水しました」ってのを柱に記していたもの。1番高いところで1896年氾濫時の1m47㎝。たぶん床上浸水の数値だから、1Fほぼ全滅である。
長野市ハザードマップ(リンク)を見てみました。赤い箇所は陸上10mほどまで水が来るそうです。川のまわり真っ赤じゃないか!普通に住宅街や学校のある地域です。
歴史ネタは縄文から揃えております。古墳時代の勾玉はイルカのキーホルダーのような形をしている。古墳時代の豪族はイルカが見たかったのでしょうか。内陸だし。
善光寺のほか、修験道で有名な戸隠・飯綱もあるので、仏教関係者が多い街だったそうです。江戸時代のものとされる、善光寺への道標です。
指で方角を示している。凝った装飾ですねぇ。ただ中指~小指の形おかしく無いですかね。自分の手で再現してみようとトライしたけど、指の骨を抜かない限り、ちょっと難しいということがわかった。
最後に、長野市を構成する村々の文化の紹介。芦之尻という山間の集落では、しめ縄で人の顔を作り道祖神の横に置いておく不思議な風習がある。こんなん置かれるとか道祖神困惑するだろうな。なんでこんなん飾るのか、理由は不明だそうです。祀るときには酒も供えるそうなので、酔っ払ってノリで作ったものだと思われます(大学生並感)
おしまい
【滞在時間】90分
【混雑度】★★★(ちらほら)
【URL】長野市立博物館