石油の世界館
新潟市内で「石油が湧いて出た」ニュースが2021年秋ごろに出てましたね。数年前には住宅街で突然噴出したこともあったらしい。自宅に油田が湧くなんてロマンですねぇ、よーしパパ、オイルマネーで庭にブルジュ・ハリファ建てちゃうぞー(高さ828m)。
まぁ庭から出た原油なんて不純物混ざりまくりでろくな製品にもならなそうですが。実際なんの役にも立たないので、湧き出られた側の新潟市さんは処分費用であうあうしているそうです。
現地は旧 新津市にあたるところで、明治~昭和終盤頃まで実際に原油発掘が行われていた新津油田。廃田?済ですが、地中に残った油が何かの拍子に出てきてしまってるんでしょうか。油田の跡地は「石油の里公園」となり、石油の世界館はメイン資料館として立っているわけです。
新津駅からコミュニティバスが出てるんですが壊滅的に本数が無いので、往路は最寄りの矢代田駅・帰路は新津駅までタクシー使いました。矢代田駅は閑散としているのであらかじめタクシー呼んどかないと冬は凍死します。新津駅は何台かいる。矢代田からは1,000円、新津だと3,000円くらい。たぶん(記憶喪失)
入館料は無料でした。
ただ受付の館員さんから「展示、開館当初から全然変えてないんだよねぇ。開館30年前なんだけど」。つまり”1990年代の日本国における石油知識”がこの空間に保管されてるということでしょうか、貴重ですねぇ!(巨大あくびをしながら)
でもwikiを見たら「サウジの国営石油会社サウジアラムコが資金援助をし、2000年に改修リニューアルオープン」って書かれてるんですが、そのオイルマネーはいずこへ・・。和式トイレを洋式に変えたりして全額使いきってしまったのだろうか。
それでは石油のお勉強をしていきましょう。最初は地球の歴史です・・さかのぼり過ぎてませんか?そんな壮大なものから始めてたら、人類誕生前にこの博物館の展示室使いきるんじゃなかろうか。
石油ってのは太古の昔に存在した植物プランクトンや藻類が死んで海底に積もり積もり、固まって岩になるんですって。それが右の写真「根源岩」。
その岩が地下3,000~5,000mまで沈んでくと、地熱で温度が高まるので溶けていき、ドロドロの原油となって地底に貯まるんだとさ。ここまでざっと数万年。日本だと旧石器時代だから、意外と最近ですね!やはり地球の歴史から始めるのは過激であり、来館者が石油にたどり着く前に眠気で死んでしまう恐れがある。数万年後に石油になってお会いしましょう。
地下数千メートルに埋まっている石油まで地面を掘っていくわけですが、これら「ビット」をドリルの先端に付けて、ごりごり地中を進むわけです。みるからにゴツゴツいかつくて大変良い。
地中の圧力はすごい高いので、石油にたどり着くと一気に噴射してきます。ドバーっと。櫓の最上階にいた人は死んだでしょう(確信)。彼もまた石油の一部となったのだ。
なお石油の採取を続けると、地層の石油在庫数が少なくなる=圧力が低下して噴出してこなくなります。だからガスや水を地層に注入して圧力を維持し、石油が噴出し続けるようにしますが、それでも地層にある石油のうち半分程度しか採取できず、残り半分は地中にとどまったまま「採取不能」となり、油田閉鎖となるそうです。
さっきから石油石油言ってますが、石油ってのは石油製品全般を示す言葉で、灯油・重油・軽油・アスファルト・天然ガス、これらぜんぶ含まれるそうです。
地中に埋まっているやつは「原油」。様々な成分を含んでいるので、採取後は成分ごとにわけたり余計な物質を除去したりして、それぞれに製品化していきます。
左の写真は灯油。白灯油とも言いますが、名前のとおり白っぽい透明です。逆に重油はドス黒。
産地ごとに原油の違いがあるそうです。粘っこかったり、サラッとしていたり。
この筒の左にはドロドロ系・右にはさらっと系が入っており、揺らして違いを見てみようというコーナーですが、筒の内側がそもそも真っ黒すぎて中身が見通せず、何の成果も得られませんでした。
隣の展示室で映像が始まるよ!と館員さんに教えてもらったので見に行ったよ。新津油田の歴史映像です。
採掘自体は江戸時代からやっていたそうですが本格化したのは19世紀末になってから。国内髄一の産油地帯となり、石油産業に関係しない人は居ないほど、新津は石油の町になりました。朝はタンクを運ぶ荷車がガラガラと道を通る音に始まり、町は石油臭と製油所から出る煙に包まれたそうです。それ住環境としてはだいぶ辛くないですかね。
新津油田開発のゲームチェンジャーとなったのが、博物館エントランスにでかでかと置かれているこの掘削機。千葉県で井戸掘削に使われていたのを、新津油田用に改良したら生産効率がものすごい上がったとさ。おめでとう。
それは良いけどスズメバチの巣なんてあったら石油掘ってる場合じゃないと思うんですが・・
部屋の中央に、当時の街並みを再現した模型があります。かなりのスケールあるし細かい作りで素晴らしい。しかしどの建物も土を被ったような茶色をしてるんですが、石油成分と煙害の影響か?
映像が終わったので、部屋が明るくなっています。あれ、他に観客が居たのか・・と思ってよくみると人形だった。後姿は結構リアルにできてるというか、君みたいなハンチング帽を被ったオッサン、よく博物館で見かける気がするよ。
昔はこの人形が解説セリフを読み上げていましたが、音声再生機能が壊れてしまったので、単なる置物になったそうです。サウジアラムコに直してもらえばよかったじゃないか。やはり中東は給与の遅配があるので、資金援助と言いつつアフリカの出稼ぎ労働者に和式トイレを改造させて終わったのかもしれない。人権侵害。
おしまい
【滞在時間】45分
【混雑度】★★(他に数人)
【URL】石油の世界館 新潟市