C級スポット探索日記

C級スポット探索日記

各地の資料館・博物館・珍スポを回り倒すのが趣味です。転勤族(神奈川→埼玉→長野)

谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館

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(画像はwiki 迎賓館赤坂離宮 から)

赤坂離宮ってあるじゃないですか。国賓級のお客様の接遇に使われる迎賓館で、東京オリンピックでも米国大統領夫人とかフランス大統領とかが来館した、日本外交の顔となる建築物。

西洋風の本館と、和風の別館からなるそうですが、和風のほうを設計したのが金沢出身の谷口吉郎さんということだ。時代を代表する設計士。国宝級。勇者ロトの末裔。

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その和風別館「游心亭」を再現した空間が、この金沢建築館にあるということです。赤坂まで行かなくとも迎賓されてしまうのだ。これであなたも私も国賓級。マクロン大統領やバイデン夫人、トルクメニスタン副首相やウズベキスタン共和国大統領とかと肩を並べたことになります。

(写真は、館内で流れていた赤坂離宮のビデオ)

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金沢駅からバス停「広小路」で降りればいいんですが、金沢は多くのバスがあるうえに、「広小路」停留所って交差点挟んで4か所くらいあるので、けっこう混乱します。

たぶん正解は、北鉄バスの「金沢周遊 左周りルート」の広小路バス停。これが1番近いのではないか。

あと北鉄バスは、観光周遊系だと1乗車200円で済むのですが、通常のも多数走っており、こちらは220円とか変な端数でる上にsuica使えないから難儀します。観光都市なんだから地元交通機関もアップデートされてくれよな、頼むよ。

なお博物館はクレカもアプリも使える先進的キャッシュレス対応であった。感涙。

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入館料310円を払うと、まずは谷口氏の生涯説明展示になります。

慶応との関りが深くて、幼稚舎校舎の設計依頼を受けたのを皮切りに、学生ホールとか日吉の寄宿舎など何棟も手掛けているようです。本人は東大卒ですけどね。

櫻井翔ファンの皆さんはLove so sweetに「慶応幼稚舎」「塾生にあらずんば人にあらず」って歌詞が出てくるからご存じでしょう。

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明治村の帝国ホテル中央玄関。画像はwikiから)

谷口さん、他にも帝国劇場・ホテルオークラ東京国立博物館と有名な建物いくつも手掛けているんですが、特に重要なのは明治村じゃないでしょうか。

谷口氏が、高校時代の知人である名鉄副社長に「各地で明治の建築物が取り壊されているので、そうした物件を移築保存したい」ことを相談したら、名鉄が所有していた犬山市の広大な土地を提供してもらえたそうな。明治村行かれたことある方は分かると思いますが、あんな凄まじく広い面積、副社長パワーとはいえよくポンと出せたもんだな。名鉄おそるべし。

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ちなみに館名にも入っている谷口吉生さんはお子さんですが、慶応の学部からハーバードの院を出て、父と同じく設計・建築士になっており、ニューヨーク近代美術館の設計やってたりする。親が日本の顔なら、子はアメリカの顔ともなる建築物かい。恐ろしい子

当博物館も、吉生さんの手掛けたものだそうです。

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事前学習を終えたので、そろそろ迎賓館再現ゾーンに行きましょう。

和風別館である「游心亭」は、来賓を和食料理でおもてなしする会食会場だそうです。公的でお堅い行事は本館で執り行い、そのあとこちらに移動して、もう少し落ち着いた空間で交流を深めるという感じでしょうか。まぁ外交の場であることは違いないですが。

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室内には入れないので外から眺めます。よく見ると掘りごたつになってるんですね。47畳あるそうで、ゆったり上品な雰囲気です。ドナルド・トランプやドゥテルテくらいなら普段の暴言奇行を控えておとなしくなるかもしれないが、プーチンだけは表情変えずに毒を先端に塗った刃で背後から首筋を斬りつけにきそう。

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広縁のガラス窓からは明るく日光が差し込み、また室内側からは庭が見渡せます。本物ではすぐ外に日本庭園が広がり、足元まで池が来ていて錦鯉が泳いでいるそうです。

当館ではさすがに庭園までは再現されていませんが、日本海へそそぐ犀川を挟んで金沢市街地の景色が飛び込んでくる情景です(枯れた枝が邪魔だとか言わないようにしながら)

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もう1部屋あります。見るからに茶室ですね。畳ゾーンの天井・部屋中央部の天井・一番奥側の傾斜天井と天井だけで数種類あり、空間に変化を持たせているのが特徴だそうです。

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端っこの方に駅のベンチみたいなのがあるんですが、観客席だそうです。

海外からの来客だから日本茶自体に馴染みがないので、お茶たてるところをここに座って鑑賞するそうな。茶席自体が舞台装置となっている。

座布団も編み笠っぽくて風流ですが痔持ちの来賓にはきついかもしれない。帰ったら母国のかかりつけ医に相談してほしい。

 

というわけでした。

展示量自体はあまり多くないけど、値段も安いし、雰囲気や視覚的に楽しめるから良いんじゃないでしょうか。おしまい。

 

【滞在時間】30分(常設展のみ)

【混雑度】★★(他に2~3人)

【URL】

www.kanazawa-museum.jp