C級スポット探索日記

C級スポット探索日記

各地の資料館・博物館・珍スポを回り倒すのが趣味です。転勤族(神奈川→埼玉→長野)

掛川市ステンドグラス美術館

掛川には、英国のステンドグラス大好きお医者さんが居て、どれくらい好きかというと、現地キリスト教会の窓を飾っていた本物のガラスを買い取ってくるレベルだった。その数70以上。鉄オタでいうと海外の鉄道車両買い取ってくる位の物理攻撃力と言える。

 

しかしそのお医者さんも高齢になり、掛川市にコレクションを寄贈して、美術館としたそうです。その人の息子さんも相続財産をステンドグラスで渡されても、こういうときどんな顔すればいいかわからないのになってしまうし嫁がキレるから、掛川市は市民生活を救ったといえる(息子がいるかどうかは知りません)

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場所は掛川城の一角なので城とセットで回ると良いんじゃないでしょうか(セット券あり)。

まぁ天守閣や御殿を見た後にステンドグラスなので、お茶を飲んでるときにフィッシュアンドチップスを口に突っ込まれる程度の違和感はありますが、和洋折衷ということです。

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館内は撮影可能です。コレクションの大半は、英国ステンドグラス産業が大いに盛り上がっていた19世紀の製造で、実際に教会の窓として使われていました。

 

しかし20世紀後半になって移民が増え、キリスト教徒人口が減ったことで教会の数が多すぎる状態になり、荒廃・閉鎖するところも発生。そうした教会の備品は廃棄されるのもあれば、コレクターの手にわたって保存されるものもありましたとさ。

そんなガラスを日本人医師がどうやって入手したかは美術館ガイドさんも知らないようでしたが、コレクターは人脈ありそうだから現地に伝手があったんでしょうね。

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ガイドさんに聞いた話だとこのお医者さん、1960年代頃から収集してたそうですが、ググったところ当時は1ポンド=1,000円くらいなんですよね。2021年8月時点では150円。当時の超クソ高ポンドレートでAmazon prime送料無料もないのにバカスカ個人輸入してたんですか。鈴木政昭(お医者さん)、、恐ろしい子!本業の収入だけで出来るとは思えないから、実家が相当太い地主か、もしくは嫁の怒りを完全スルーするだけの強靭な精神力があったと察せられる。

 

19世紀のステンドグラスですが、このビクトリア王朝期の芸術品ってのはファンが根強いけどアンチも多いらしいんですね。なんでかは知らん。だから教会閉鎖に伴い廃棄された品も多くて、それが遠い異国の日本でこんだけ保存されているのは珍しいそうな。

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個人コレクションなのに保存状態もとても良いそうです(展示前に修復はしている)。

ひび割れや色褪せが無く、100年以上も前に製造された品だとは思えません。古さを感じないので、サイゼリア店内にはめ込まれてるステンドグラスとあんま変わらんなとまで思ってしま(銃声)

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サイゼリアのステンドグラスにはミラノ風ドリアでも描かれているのかもしれませんが、ここは教会なので聖書の1シーンが題材です。文字を読めない人でも神の言葉が分かるようにしているのだ。

しかし16世紀頃は金持ち貴族が、自分や家族をイエスヨハネの横に描いたガラスを作らせ、それを支配下の教会に飾らせ、一般人民参列者にそれを拝ませるという成金プレイをかましたため、宗教革命時にヘイトの対象となってばんばん壊された歴史があるそうです。だから19世紀より古い作品はレア度がSSSSSSSSSSSSSRくらいまで上がるという。

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(ガラス制作工程の展示もあったがよく分からんかったので写真もこれだけ)

ところでこうしたステンドグラスは教会がガラス工房に発注して製造されるわけですが、お幾ら万円なんでしょうね。1910年に製造された作品で支払記録の残っているものがあり、そこから推測すると当時の一般的な年収で8年分になるそうです。

単純に今の感覚に置き換えると、平均年収450万×8年=3,600万円か。家1軒建ちそう。ますます鈴木氏の財力が気になりますね(コナミ

 

という感じでした。美術的な観点には全く触れない記事になってしまいましたが、あとは現地に行って君自身の目で確認しよう(ファミ通

 

おしまい

 

【混雑度】★★(ほかに数人)

【滞在時間】30分

【URL】掛川市ステンドグラス美術館|静岡県掛川市