根津記念館
東武をはじめ24社もの鉄道会社の経営にかかわった根津財閥の主は山梨市出身。昭和初期に建てられた邸宅が保存され、庭園や蔵、展示室があります。
中央線の春日居町駅から徒歩20分。入館料は300円です。
(初代 根津嘉一郎)
根津家は息子も嘉一郎を名乗っているのでややこしいですが、ここで扱うのは初代の人です。
10代の時、江戸遊学を親に志願するも断られたので家から脱走して上京(2年後に居場所がバレて連れ戻される)。
30代で村会議員、村長に就任。政治家キャリアを積み上げるかと思いきや、株式投資家へのまさかの転向。イケハヤ大学にでも感化されたのかな?
購入したのは電力会社の株でしたが、どんどん買い進めていくうちに経営権まで握ってしまいました。買い過ぎです。経営陣を刷新して自らも役員に就任。ここでの手腕が買われて東武鉄道をふくむ鉄道会社にも呼ばれるようになり、鉄道王への道が始まります。
(根津家にあった蔵を再現した常設展示室)
そんな根津っちの半生を説明するのがこちらの展示室。経営者としての実績だけでなく、慈善事業にも興味を持ち、山梨県内の小学校にかたっぱしから(当時高価な)ピアノを寄贈しまくったこと。
美術品の鑑識眼に優れ、専門家が贋作と言い切った作品をあえて購入し、あとで本物と判明したことなど、様々な面を知ることができます。
7,000点ものコレクションを所有していたそうですが、「子供には相続させんわ」と言い切って死去したので、それで建てたのが南青山の根津美術館だったりします。
展示室は撮影禁止でしたが、主屋はOKです。1930年代に建築され、国の文化財。
根津さん本人は東京で多忙の身なので、甥の啓吉さんが建てました。山梨の家を仕切っていたのはこの甥だったようです。
中身は大規模な和風建築。2Fにも上がれます。根津家から寄付を受けて再整備し、開館したのが2008年なので、内装は綺麗にされています。
建築に当たっては根津嘉一郎氏も指示を出しており、「大谷石を使うと見栄えが良くなるから送るよ」 → 車1台分ドカッと届いた。そんな金銭感覚の違いを見せつけるエピソードも残されております。
中庭の風景です。
なお1930年代に建てられたにもかかわらず現代的な仕様になっていて、たとえば屋内消火栓が導入されている、電気配線が埋め込み型、コンクリート布基礎など。
確かに先進的ではあるのだが実用的な話すぎて建築マニアだけが感動しそうである。
東武鉄道の社長時代に使用していた机と椅子。背後の丸窓から光がさしていて「王の玉座」感がハンパないです。
展示室では触れられてませんが、鉄道”王”というだけあって、ねづっちは相当好戦的な性格をしていたようです。
東京電灯という電力会社に居たとき、財閥系銀行から来た役員達が幅を利かせていたので「雇われ役員が何を言うか」と一喝。怒った役員達を株主総会の場でボコボコに論破してしまい、みんな役職を投げてしまいました。あのー銀行からの融資がー。
主屋に隣接する形で建っているのは「青山荘」。根津氏が山梨に帰郷した際は、来客をこの建物で迎えていたそうです。当時の建物は残っておらず、建築図面を見て再現しました。なのでかなり新しめな内装。
レンタルできるそうなので、談合や株価操作の打ち合わせなど、金の匂いがする会合に良いかと思います。
最後に庭園です。富士山を借景に、市内を流れる笛吹川をイメージした水流を配置(写真に写ってませんが)。
左の画像の松の木は、別荘があった大磯からわざわざ連れてきました。
たいへん雰囲気が良く、眺めながらお茶でもしたい感じですが、この日はすさまじい猛暑のため身体が溶けかけていましたので、これでおしまいです。
【滞在時間】60分
【混雑度】★★(他に数人)
【URL】※ 記念館HPと山梨市HPの2つあるんですが、前者は2017年で更新が止まっており、山梨市の方が最新です。
www.city.yamanashi.yamanashi.jp