C級スポット探索日記

C級スポット探索日記

各地の資料館・博物館・珍スポを回り倒すのが趣味です。転勤族(神奈川→埼玉→長野)

安曇野高橋節郎記念美術館

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安曇野市穂高に、漆芸家である高橋節郎(1914-2007)の美術館があります。工芸品として捉えられていた漆芸を絵画に用いて、芸術品にしてしまった先駆者だそうです。

ついでに江戸時代建築の生家も復元して、美術館とセットで見学できます。

 

〇 アクセス

穂高駅から2.5km。徒歩だと30分かかります。バスも無いです。タクシーか駅前でレンタサイクルですね。ついでに大王わさび農場でわさびアイスを食べてくると良いと思います。

〇入館料

410円です。

 

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(『星空円舞』美術館HPよりhttps://www.city.azumino.nagano.jp/site/setsuro-muse/1952.html

作品はこういう感じです。漆の漆黒を背景にして金色の紋様が天の川のように浮かび上がっております。

高橋節郎は安曇野出身で、この地域では綺麗な星空が見られるんですね。その幼少期の体験が作風に影響していると言われています。まぁアンモナイトとか四本足の獣っぽい星座までは見られないかもしれませんが。

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(『星空交響詩美術館HPより https://www.city.azumino.nagano.jp/site/setsuro-muse/1953.html

高橋節郎がこういう作風になったのは50歳頃だそうで、「黒と金が漆の中では一番効果的」とのこと。(『安曇野高橋節郎記念美術館』2003 を参照)

沈金とか蒔絵とか伝統的技法もあり、漆器といえば金ってイメージがありますね。高橋先生も長年いろいろ素材を試した結果、「高火力で殴るのが一番」と原点回帰したのかもしれません。

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(『北アルプスの見える町』美術館HPより https://www.city.azumino.nagano.jp/site/setsuro-muse/1957.html

館内の展示品は30点程度で漆芸品が一番多いんですが、墨彩画も何点か残しています。北アルプスの山々に面する安曇野の町を題材にしています。

上掲の美術館HPによると、実際にスケッチをするのではなく記憶の中の風景を描いているそうです。こんな重苦しい雰囲気の町だったか?山の上に見えるのは魔王が居るラストダンジョンでしょうか。安曇野を題材にした絵画ってだいたい新緑や紅葉の鮮やかさをメインにしているんですけどね。

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展示室は3つあるんですが、うち2つに高橋節郎作品が展示してあり、撮影禁止となっています。残る一部屋では高橋の弟子的な人たちの作品を扱っており、ここは写真OKです。弟子の扱いが軽くて笑ってしまう。撮影できるのは嬉しいです。

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(木下五郎『存謳』)

鍛金という金属工芸の一種で、簡単にいうと金属を金づちで打って形作っているそうです。つまり鍛冶。

「森羅万象あらゆる現象が互いに深く関わり合う様」が表現されています。物理攻撃力がとても強そうな森羅万象ですね。自然というより重工業っぽい。作者の意図するところは全然理解できていないんですが、質量の大きな金属が絡み合っている様は圧迫感が押し寄せて来ていて面白いです。

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(向山伊保江『つむぐ・杜』)

こちらは七宝で、金属に釉をかけて焼成させたものです。駅の通路に展示されてそう(適当)。高橋節郎さんの弟子は物理力高そうな人が多いですね。

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よくみると様々な素材をサンドイッチしています。金属というかタイルっぽくみえる。タイトルに『杜』と付いてるけどカモメが飛んでいるのであまり気にしなくてよさそうです。ゆりかもめの駅に展示すると、雰囲気が合うと思われます。

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そんなことを思っていたら、高橋節郎の作品が大江戸線汐留駅に展示されているという説明がありました。ゆりかもめ汐留駅ではなかった。惜しい。大江戸線汐留駅をご利用の方はぜひご覧ください。

なお写真は、中部国際空港の展示作品です。

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また高橋節郎は1998年長野オリンピックの公式記念メダルをデザインしたそうです。

記念メダルは、選手がもらうメダルとは違う、一般人向けの記念品です。

貴重な品ですねぇ、、と思いつつヤフオクを覗いてみたら2,000円で売られていた。記念品はもっと大事にしよう(提案)

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最後に屋外にでて、高橋の生家を見に行きます。江戸時代創建とのことですが、2003年にこの美術館が出来た際に復元したので、中身はかなり新しいです。土間だけでもだいぶ広々としており、奥に和室が数室ならんでいます。

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屋敷の中にも1作品。『鳥の詩 晏晏』というタイトルで、「大きな鳥に乗って山を越えるのが夢だった」と高橋のコメントが寄せられています。

鳥に乗って、というより頭掴まれて飛んでいるようですが・・。だからこの人は豆鉄砲くらった顔しているのだろうか。

 

というわけでシックで鮮やかな漆芸品のほか、物理力が高い金属作品なども見られるのでした。

おしまい

 

【滞在時間】40分

【混雑度】★★(他に数人)

【URL】安曇野高橋節郎記念美術館