恵林寺、信玄公宝物館
「心頭滅却すれば火もまた涼し」。この有名なセリフ発祥の地、山梨県の塩山にある乾徳山 恵林寺です。境内の庭が有名なのですが、世界遺産になっている京都 西芳寺の庭園を造ったのと同じ人の手によるものです。
武田信玄の菩提寺になっている関係で、武田グッズを展示する宝物館もあります。
アクセス・入館料
アクセス
最寄りは塩山駅です。南口からバス「窪平・西沢渓谷入口」行き、15分ほどで「恵林寺」停留所です。本数は1~2時間に1本ってとこですね。
タクシーだと1,200円ほど。駅から歩くと40分強かかります。
入館料
恵林寺は300円。宝物館は500円。セット券は700円です。
予備知識 恵林寺について
開山は鎌倉末期の1330年。甲斐国の守護 二階堂氏が夢窓疎石という高僧を招いたのが始まりです。この僧侶は世界遺産になっている京都の西芳寺と天龍寺の庭園を造っております。世界遺産職人による庭園が、この恵林寺にはあるのです。有料ゾーンです。
山梨県民が一万円札に載せたくて仕方ない武田信玄が、菩提寺として信仰したお寺でもあります。境内には信玄のお墓もあります(公開日は限定)。
ただ武田が織田に滅ぼされた後、武田側の武将が恵林寺に逃げ込み、追ってきた織田勢が引き渡しを要求。恵林寺が拒んだため、キレた織田勢により焼き討ちにされてしまいました。
そのあと織田も本能寺の変でやられ、空白地帯になった甲斐は徳川家康が進出した際、武田遺臣を味方につけるため再興させましたとさ。
恵林寺その1 前庭と心頭滅却涼しの門
前庭って表現が正しいか分かりませんが、まずは恵林寺の無料ゾーンから見て行きます。
バス停で降りると、境内に繋がる大きな門が見えますので進んでいきませう。
無料ゾーンの時点でけっこう良い雰囲気の庭園が整備されています。時期が冬ですので色が地味ですが、春や秋ごろにはもっと鮮やかな光景が広がっていると思います。
このゾーンで見ておきたいのは、「三門」という大きな門です。3つの門があるわけじゃないです。1つです。仏教用語に由来しています。
門の両側に何か書いてありますね。
右側には「安禅必ずしも山水を須いず」、左側には「心頭を滅却すれば火も自ら涼し」と記されています。まさに「心頭滅却~」の元ととなった言葉です。
織田勢による焼き討ちの際、快川紹喜という住職が燃え盛る火に囲まれ、辞世の句としてこれを詠んで焼死したそうな。逃げることも出来たはずですが、自分が受け継いだ寺を守る気持ちと織田への抵抗心がそうさせたのでしょうか。中国政府の抑圧に抗議して焼身自殺をしたチベットの僧侶が思い起こされますね、、
この門が建っているのは、快川紹喜が亡くなった場所だそうです。
なお「心頭滅却~」は快川紹喜のオリジナルではなく、中国の詩人による作だそうな。ただ今日でも諺として使われているのは、この事件が大きいかもしれませんね。
あとこの諺、「心頭滅却すれば何にでも耐えられる」っていう根性論で使われている気がしますが、詠んだ当人は死んでますからね。火は涼しく感じるかもしれませんが、体が灰になるのは別の話です。
石灯篭が12個ならんでいるのですが、よく見るとそれぞれに干支の動物たちが刻まれて可愛らしい装飾になっています。
恵林寺その2 有料ゾーンの中へ
さてこの建物の中から本堂を経由して庭園の方に向かいます。券売機があるのでそこで支払いましょう。宝物館とのセット券は、受付にいる巫女さんに頼むと良いです。
内部は撮影可能ですが一部ダメなところもあります。
入場するとさっそく風林火山。力強い字体です。心頭滅却してそう(適当)
本堂の前まで来ると、左手に見えるのは枯山水の庭園。メインの庭園では無いですが厳かな雰囲気を出しています。写真のアングル悪すぎて全く伝わらなさそうですが。
次に進むと太鼓橋がかかっており、この先に「うぐいす廊下」が繋がっています。歩くと床がきしんで音が鳴り、うぐいすの鳴き声に聞こえるという乙なものです。敵の侵入を察知する目的だそうな。
この廊下では撮影禁止になっています。ダッシュも、うぐいすが声帯死んでしまうのでダメです。
(画像はwikiより 恵林寺 - Wikipedia)
廊下の先には武田不動尊という、信玄をモデルにした不動明王が祀られています。
像を作るにあたって信玄は京都から仏師を招聘し、自らの毛髪を剃って漆に混ぜ込み、それを像の胸部に刷り込ませたそうです。なんか呪われそう。
(画像はwikiより 恵林寺 - Wikipedia)
その先には信玄公の墓所があるのですが、毎月12日しか公開していないのだ。私7年ほど前に恵林寺に1度来ていて、その際は普通に公開していた記憶があるのですが、なんか問題でも起こされたんですかねぇ。
信玄公の墓所は甲府の武田神社の近くにもあります。信玄は自分の死で混乱が起きないよう、死後3年は秘匿するよう遺言を残しました。武田家はそれに従い、武田神社の近くにまず信玄をひっそり埋葬し、3年経過後に恵林寺に移って葬儀を行っているんですね。
そしてクライマックスが、夢窓疎石の庭園です。世界遺産では無いですが、国の名勝に指定されている素晴らしい庭園です。・・冬なので、色彩がすさまじく地味なのが残念。
だがしかし春や秋に訪れればその美しい彩りに魅了されること間違いないので、勝沼でワイン飲んで酔っ払っている暇があるのなら是非こちらに立ち寄ってもらいたいですね(自戒)
信玄公宝物館
最後に宝物館ですが内部撮影禁止なので、書けることが無いです。終わり!
展示品は武田関連の文化財ですね。信玄の書状とか、仏像とか錦絵。2F建てなので、ボリュームはそこそこあります。所要30分ほど。
ガチの歴史好きでないと難しいものが多いので、庭園インスタ勢には向いてないです。
『武田二十四将図』が様々なバリエーション置かれてました。武田軍団の登場キャラを描いたもので、江戸時代に浮世絵テーマになっていたそうです。武田の話は講談とかで人気だったんでしょうね。
なお「24将」と言っておきながら30人くらい描かれているものや、武将の名前が付記されていないので誰を描いたものか全くわからない等の脱力系作品も揃えております。
おしまい
【滞在時間】2時間
【混雑度】★★★(ちらほら)
【URL】乾徳山 恵林寺