C級スポット探索日記

C級スポット探索日記

各地の資料館・博物館・珍スポを回り倒すのが趣味です。転勤族(神奈川→埼玉→長野)

フォッサマグナミュージアム

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新潟県糸魚川~静岡まではフォッサマグナの西端にあたる「糸魚川-静岡構造線」が走っています。地理の時間で習うフォッサマグナ、もはや何のことだか記憶喪失してしまった方のために学びなおすことが出来るのです。

また糸魚川は日本の“国石”ヒスイの産地であり、全国各地で見つかっている縄文時代の勾玉の故郷となっています。

 

 

アクセス・入館料

アクセス

糸魚川駅のアルプス口から路線バス「美山公園・博物館線」で10分、終点がフォッサマグナミュージアムです。時刻表は博物館HPのアクセスページから見られます。平日は4本しか無いですが、休日はお昼を除いて1時間に1本。

入館料

500円です。

 

展示1 日本の国石ヒスイを知ろう

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館内は大まかに、ヒスイゾーンとフォッサマグナゾーン、鉱石ゾーンに分類できます。

けっこうボリュームがあり、じっくり見てると1時間以上はかかるのでバスの時間に気を付けましょう。

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ヒスイは縄文時代に全国各地で勾玉にされているのが有名ですね。他に用途あるのか?現代では宝飾品・パワーストーンとして用いられているようです。

国内には数か所の産地がありますが、量・質ともに糸魚川が圧倒的に優っているらしい。博物館の公式HPでは「鳥取や長崎のヒスイは宝石にはならないまでも、なかなかキレイ」と、小馬鹿にしてるの隠しきれてなくて面白いです。

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(画像は公式HPより。博物館の近くの遺跡で発掘されたヒスイ大珠)

中国では金よりも重宝されており、わが国でも古代には各地で見られたヒスイですが、奈良時代を最後にぱったり出土しなくなったそうです。みんな飽きたのだろうか。

そのため「日本にはヒスイの産地は無くて、大陸から輸入してた」説が主流になっていました。

しかし1930年代にここ糸魚川での発掘調査でおよそ1200年ぶりに出現。調査開始から2日目で見つかったらしい。早いよ。

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ヒスイは地下30km~80kmの地中深くで出来るのでそのままだと地表に上がってこないのですが、この蛇紋岩が運んできたのです。蛇紋岩は他の岩石より軽いので地表に上がりやすく、その際にヒスイや他の岩石を乗っけてくるそうな。なのでヒスイが世間デビューした恩人であります。

ただ蛇紋岩、セメントや石材の材料として使われるんですが、アスベスト含んでいるらしい。扱っていた造園業者が肺癌を起こして労災認定される案件が起こっております。ヒスイにとっては恩人でも人類にとっては敵ですな、訴訟不可避。

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ヒスイは素人目には判別が難しい。色は基本的に緑なんですが、色んな鉱物を含んでいるために黒になったり青くなったり白くなったりと、カラーバリエーション豊富すぎます。上に貼った3枚は全部ヒスイです。

 

展示2 フォッサマグナを思い出そう

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地理の授業で絶対やってるんですが全く思い出せませんね(鼻ほじ)。

まぁ日本列島の成り立ち映像とか説明展示を見て思い出すと良いです。

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(画像は公式HPより フォッサマグナと日本列島 | フォッサマグナミュージアム

しかしミュージアム内の説明パネルよりも公式HPの説明ページの方が分かりやすい図を使ってるんですよね。なのでこれを用います。博物館の意義ェ、、

日本列島成り立ちの四コマです。大陸から分離した後、モナカみたいな割れ方して東日本と西日本に分かれちゃったんですね。隙間となった海に土砂が入ったり隆起して埋め立てる形になりました。この埋立地フォッサマグナ

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(画像は公式HPより フォッサマグナと日本列島 | フォッサマグナミュージアム

なのでフォッサマグナは1本の線ではなくて、埋立地一帯です。その西端が「糸魚川ー静岡構造線」で、東西日本を地質学的に分かつ断層になっているそうな。

地学がサッパリな方(=私)への重要ポイントは、フォッサマグナの地層が隆起したとき、ここに南北を貫く火山帯が出来たということです。富士山や浅間山、焼岳など。中部日本の山岳環境を作り出した原因の一つと考えてよいのかな。

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(若い時と晩年のナウマンさん)

このフォッサマグナを見出したのが、明治のお抱え外人ナウマンです。若干20歳で来日、10年弱かけて日本全体の地形と地質を調査したパイオニア的存在とのこと。当時の日本には伊能忠敬が作った地図しか無かったので、そこから科学的な研究を進めるには気の遠くなる労力がかかったに違いない。髪にも影響するわけですわ。

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そんなナウマンの功績をたたえて、彼の書斎をなんとなくイメージしたコーナーを設けてあります(自宅の再現では無いらしい)。

本人の所持品も展示されているのですが、なぜか「ナウマンの先妻ゾフィーの使用したコップ」まである。要る、これ?

 

展示3 化石に鉱石

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あとはヒスイにちなんで、鉱石や化石の展示ですね。海外のものも含まれています。

模型みたいに保存状態が良いのはアメリカでペルム紀に生きたシームリア。体長50cm程の小さいワニだそうな。

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1枚目は三葉虫。ぞろぞろと行列しており、人にとっては可愛らしく、また人によってはウギャーとなることでしょう。2枚目はムールロニアという巻貝ですが、どうみてもカタツムリです。この子は糸魚川で採れました。

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あとはヒスイ以外に、世界の面白い石を大量に展示しています。全部で数百点くらいあったと思う。

石や地学に興味のある人なら数時間吹き飛ぶレベルの、濃度が高い博物館でした。

おしまい

 

【滞在時間】2時間

【混雑度】★★★(ちらほら)

【URL】

fmm.geo-itoigawa.com