安曇野ちひろ美術館
最寄り駅は信濃松川駅だけれど徒歩30分かかる。穂高駅から観光地を回るあづみ野周遊バス(詳細はリンク)で来ることもできます。ただし本数は察し。
穂高駅にはレンタサイクル屋もあるので、電動チャリ借りて30分程度漕いで来るのも、運動不足の現代社会人には良いんじゃないですかね。
ちなみにここは松川村だけれど、長野県には松川”町”という自治体もあるので混同しないよう気を付けよう。あちらは伊那の方なので全く違います。
ややこしくならないようどちらか別の名前にしなさいよという話だが、長野県は神聖ローマ帝国並みに各自治体がいがみ合っているので、調整は血を見ると思います。
この美術館一帯は「ちひろ公園」として緑地が広がっており、花壇・長野電鉄の古い車両・ちひろが所有していた別荘など様々な施設が点在している。美術館みたあとで回ることにしよう。
とにかく広い。一周するだけで30分は掛かる。
いわさきちひろの両親は松本に住んでいたのだが、戦後直後から松川村の開拓に加わり、耕した土地が美術館の敷地となっているのだ。ちょっと耕しすぎですよ。
いわさきちひろ(1918-1974)は終戦後から挿絵・絵本作家として活動し、9,500点以上の作品を残した、日本絵本界のパイオニアみたいな人ですよね。
水彩画で少し滲んだような朦朧体・背景あまり描かずに人物の心境表現を目立たせる作風。特徴的なので一度見ればだいたい覚えられる。
可愛らしい画風だが、いわさきちひろの本名は「岩崎知弘」なのだ。野郎じゃないか。(念のために言うと、いわさきちひろは女性です)
本人も「ともひろ君」と誤読されてイヤになったのか、画家としてデビューしたころは「チヒロ」とカタカナ表記、そののち「ちひろ」と平仮名で名乗るようになった。
あと画家になる前は共産党の新聞記者として働いてたってエピソードが、はえ~って感じですね。戦争体験により反戦主義な思想が強くて、ベトナム戦争の時も『戦火の中の子どもたち』という絵本を制作している。夫は共産党の衆議院議員。
入館料は800円なり。
5つの展示室、カフェ、お土産ショップ、子供の遊び場が備わっていて規模が大きい。
この辺りだと大王わさび農場と並んで人気観光地なので、客数は多いですな。
展示室1はちひろの作品、2はちひろの半生や持ち物を扱っている。
部屋への扉は真っ黒で中が見えないようになっているのだ、なぜだ。
展示品の中には初期のものもあって、個人的にはちひろが画壇デビューするための大きな功績となった『赤いくつ』が最も好きです。墓場の重苦しい闇の中で白いドレス来た女の子が赤いくつ履いて踊ってるのだ。
アンデルセン童話を題材にしたもので、「その靴を履いたら最後、足を切り落とされるまで踊り続けなければならない」のだが女の子は誘惑に勝てずに綺麗なその赤いくつを履いてしまいましたという話。
「赤いくつ履いてた女の子」とは関係ありません。その子は異人さんに連れられていってしまいました。
「赤いくつ」の絵は↓のページに載ってます。
展示室3~5は企画展になっている。
美術館ではちひろ作品だけでなく国内外の絵本を27,000点以上収集しているため、その一部を展示しているのだ。すべて展示し終わるまでに何十年かかるんでしょうね。
絵本の歴史も説明されており、これもエジプトの壁画から始まっているので膨大なことになっております。
館内はこんなところ。
つづいて広大な館外を見たいと思います。
美術館だけで1~2時間かかるけれど、公園まで含めると更に1時間ってところ。
公園内は無料で散策できます。
これは黒姫高原にちひろが所有していた別荘。「湖の見えるところで絵を描きたい」と仰せになり、野尻湖の湖畔に建てたのだ。なお自宅は東京で、跡地は今の東京ちひろ美術館となっている。
別荘と言いつつ仕事するときは殆どこちらに来て作業しているので、編集担当者もその度にわざわざ長野まで駆けつけて別室でハラハラ待機したり、ちひろの子供が作業部屋に入って仕事が中断されないようその子と遊んでやらねばならなかったのだ。大変やねサラリーマン。
内部は綺麗に整理されているお家です。中には入れないので、外から覗き見することになります。
1926年製のデハニという車両が置かれている。別にちひろが持ってたんじゃなくて、長野電鉄から松川村が譲り受けたもの。
もとは小布施駅にある「ながでん電車の広場」でしばらく展示されていたのだが、2012年に2000系という車両が引退して展示されることになり、居場所を奪われてしまったので引っ越してきた。
長野電鉄と松川村ってたぶん何の関係も無いのだが、車両を貰ったのは『窓ぎわのトットちゃん』のシーンを再現するため。
黒柳徹子が幼少期の体験を書いた物語で、いわさきちひろが表紙の作画を担当しており、本の中に「電車の校舎」が登場するそうな。なので車両の中には黒板や机が並んでいて教室となっています。
信濃毎日が関係記事を書いてました。
黒柳徹子はちひろ美術館の館長なのよね。その関係で「徹子の建物」もあり、それがこれ。徹子が通っていたトモエ学園の講堂の再現。
小学校の頃、黒柳徹子は勉強があまりできず落ちこぼれ扱いをされていたが、私立のトモエ学園では生徒一人一人に密着指導・個性を尊重し豊かに伸ばしますという親身な校風で、徹子も立ち直りました、ってことだそうな。
最後は体験交流館で、予約制でピザやパン作りが出来るそうです。
休憩スペースにもなっていて、広い公園を歩いてへばり疲れたお客さんの憩いの場になっております。
近隣の農家が栽培した野菜を売っているんだけれど、なんとキュウリが無料で配られていたのだ。たぶん形が変で売り物にならないから、特別にやっていたのだろう。
この辺は玉ネギも有名なので、地元のレストランで見つけたら食べてみてどうぞ。
建物にめっちゃ吊るしあげられてますが、こうすると味が良くなるのかな?
おしまい。
【入館料】美術館は800円
【滞在時間】2時間半
【混雑度】美術館は ★★★★(すぐ横に人)
【URL】