山梨近代人物館
突然ですが、山梨県出身の有名人といったら誰でしょうか?
あ、言い忘れましたが、明治~昭和でお願いします。
となると、なかなか思いつきませんね。
鉄道好きな人なら、根津嘉一郎(東武)、小林一三(阪急)あたりでピンとくるだろう。
なおサッカーファンはヴァンフォーレ甲府の選手を片っ端から挙げて行けば誰か当たるはずだが、それはダメだ。なぜならJ2の時点で有名人では無(県民により削除)
そんな山梨県初心者のため、ここ近代人物館では明治以降の山梨発展に尽くした人々を紹介している。
これだけ覚えておけば安心。
急な転勤で山梨県に引っ越した先で、隣の家の爺さんから「山梨県の初代県令を挙げよ」と問われても颯爽と即答できるであろう。予習は大事だね。
建物自体は1930年に山梨県庁の本館として建築されたもので、ぶっとい柱や大理石まみれの仕様で、行政のパワー感を県民に知らしめる見た目となっている。
1963年には新庁舎が建てられたので、こちらは別館として扱われることになった。
↓ そのへんの話
(館内見取り図)
だから現在でも県庁別館は、役所のオフィス。
近代人物館は2Fにあるのだが、観光部長室が2F階段ホールと人物館の中間に置かれている。
偉い人の部屋がそんな人通りのあるところで良いのでしょうか。足音のせいで部長、昼休み寝られなくて不眠症になっちゃうよ。
外観が荘厳な役所と言えば神奈川県庁であるが、あれは内部に入ると実はだいぶボロボロなのでオフィスとしては余り働きたくないところであるが、こちらはリフォームしたのか清潔。
意外と地方の方が、良い設備の役所ってあるもんだな。
群馬県庁なんて33F建てで、周囲の建物ほとんど平屋か2F建てだから、まるでバベルの塔である。
人物館の手前にこんな顔はめ看板もあった。
そういやアナタも山梨県の出身でしたね。
しかしどうして顔の部分を富士山にしてしまったのか。リボンが無かったら誰だか分からないレベルである。
(公式HPより 山梨近代人物館/展示室紹介)
館内は入場無料だけれど、撮影禁止なのだ。なんでやねん。
山梨県の有名人は門外不出なんだろうか。
有名人は多数いらっしゃって全て紹介しきれないため、期間を分けて展示入れ替えをしているようだ。
しかしこのとき展示されていたのは「池田村の村長」とか「県製糸場の建設者」とか「民俗学者」とか、逐一扱うには量が膨大すぎる肩書マンばかりであった。
私の卒業した中学校の校長とかも、この中に入れるのではなかろうか。
(野口正章さん)
いちおう気になったのはこの人。
「東日本で最初に国産ビールを醸造した日本人」だそうな。なんだか「高校野球の県予選準決勝で敗退」くらいの微妙な立ち位置だな。
開国後の横浜でビール醸造をしていたアメリカ人コープランドを甲府に招聘し、技術習得にチャレンジ。
大麦は甲府産のものを使用したので悪くはなかったが、ホップには笹子峠でそのへんに生えてたのを適当に使ったら、ビールが腐った。当たり前だ。
結局ホップはわざわざドイツからお高く輸入する羽目になり、1874年に「三つ鱗ビール」として発売にこぎつける。
ところが当時の日本人、苦い飲み物なんてお茶くらいしか知らんから、「え、なにこの新感覚!マズい!!」って売れなかったので事業を畳んだ。無念。
↓ これに載ってた
館内には当時の県知事室が復元されていて、こちらは撮影できるのであった。
品格高い部屋であるので、庶民である来館者は展示物にお触りできないようになっている。
県知事の机はあの奥にあるやつなのだが、部屋が広いせいか、手前のテーブルが大きいせいか、やけにポツンとしている。
あそこで仕事してたら、見た目スケール小さくなりそうだな、県知事。
威厳が足りないので、もっと虎の皮とか、腕にシルバーとか巻けばいいと思う。
絨毯には何気にブドウがあしらわれており、現在でも都道府県別生産量NO1であるこのフルーツを誇っている。
ちなみに桃も山梨県がトップなんですけど、山梨に次いでNO2である福島県のイメージの方が強いのは何故でしょうね(H30農水省統計)
隣の部屋は知事の応接室ですが少し規模が小さく、少人数でのヒソヒソ話に向いている。
部屋の中央にあるテーブルはビデオ再生機になっており、過去の白黒な映像資料を見ることが出来ます。
ビデオは30種類くらいあって、1本3~5分くらい掛かるので、全部見てると大変なことになりますが、山梨県移住初心者は近隣地元民との円滑に会話を進めるため、すべて見ておいた方がよいでしょう。
こちらの部屋のカーペットには、もうブドウが無く、普通の品になっています。
復元するときに手を抜いたな!
冷遇されている桃のカーペットを作りましょう(建白書)
あと3Fには公式イベント部屋である「正庁」。
特に展示物はなく、広い部屋って印象である。建築様式に詳しければ見るところはあるだろう。
以上
【交通手段】甲府駅から徒歩10分
【入館料】無料
【滞在時間】40分
【混雑度】★★★(ちらほら)
【URL】