穂高神社資料館 御船会館
信濃国三宮・交通安全の神として名高い穂高神社に行きましたが、その横に資料館があります。左手の建物ですね。奥に見えるのは百均なので違います。
この神社では9月末に「御船祭り」という派手な祭りを行っており、資料館ではそれをメインに扱っているのだ。
神社の記事は ↓これ
入館料は300円。最初の展示室に得体のしれない巨大なブツが置かれてますが、これが「御船祭り」で使われる船です(たぶんレプリカか、昔使ってたもの)。左右に2艘ならんでます。
(穂高神社 - Wikipediaより)
分かりづらい写真になってしまったので、本来の船の姿をWikipediaから。
木組みで、高さ6m・長さ12mにもなる巨大なものです。画像のはまだ船を組んだところなので、このあと装飾をして、人やモノが乗れるようにし、ド派手にしていきます
装飾後の写真がこれ。人も乗れるのだ。
祭りは2日間あって、その2日目(9/27)に船を担いで町内を回り、最後は神社に戻ってくる。大きな船が2艘、小さい船が3艘。
んで神社に戻ったら何やるかというと、2艘の大きな船はそれぞれ境内の両端に行って相手と向かい合い、そこから相手の船めがけて全力で突撃していき、正面からドシンとぶつけ合うのだ。なにしてんのいったい。
船の上にはお囃子隊の人々とか人形とか乗せられているのですが、そんなんお構いなしにドシドシ。
船こわれるんじゃないか心配になるが、うまい具合にしなって崩壊の気配は無い。プロの船づくりマンが居るのであろう。
船上の人形も祭りの見どころの一つで、かなり気合を入れて作られている。これら人形を作る専門の職業が、穂高周辺に居たそうだ。
写真のは「司馬温公の甕割り」という中国の話で、巨大な水がめの中に友達が落ちて溺死しかけているんだけれど、甕がたいへん高価なものなので壊しづらい。
でも主人公の司馬温公は構わずこれを壊し、友達を助けました。パチパチパチ~。
舞台道具や素材はなんだか学芸会レベルだが、人形の困り果てたような顔つきは良い表現だと思う。私も職場でよくああいう表情をする。
船にのっていない人形も館内あちこちに居るのだが、彼らは「式年遷宮」のときに飾られていたもの。
20年ごとに本殿を建て変える「大遷宮」と、7年ごとに修理を行う「小遷宮」があり、そのときに御船祭りと同様、有名な場面をモチーフにした人形セットを境内に設ける。
「人形には神が宿る」と古来から考えられており、平安時代の宮廷でも人形を用いた神事は行われていたらしい。
お船祭り&式年遷宮と人形イベントが毎年あるので、確かにこれだと穂高は人形師の町になるな。
この人形は、日光泉小太郎くん。日光の人ではなくて、安曇野が凄まじい湿地帯だったのを農耕地に変貌させたお兄さんです。母親はドラゴンです。
歴史ある神社なのでイベントというか神事はいっぱいあるのです。
巨大な弓の的は、3月に行われる奉射祭(おびしゃさい)で用いられるもので、弓矢を射て邪鬼を祓ったり、その年の豊作を占ったりする。
的はずしたら多くの檀家を1年間絶望させることになるので、弓の腕前は重要である。
神事で弓矢を放つ宮司さんの写真。
境内に弓道場があるので、そこで特訓しているのかもしれない。
ところで僧侶はよくRPGで見かけるが、神官は見たことが無いな。弓矢で攻撃する神官は新鮮なのでテイルズあたりで出してほしい。
式年遷宮の写真は館内で売られているのですが、5枚で1000円になります。
ちょっと高くないか?
凄まじく画質が良いのか、もしくは凄まじくデカい写真で1枚が大判A0サイズくらいあるのだろうか。5枚飾ったら部屋の壁全部うもれてしまうがな。
2Fに上がってきたんですけれど、祭事の人形やら写真やらで華々しい(?)1Fと比べて、とつぜん無機質なパネルになった。すごい落差。
江戸時代に奉納された百人一首ネタの絵馬とのことだ。
・・にしても保存状態が、ねぇ。
呪いをかけられたみたいに服や体が裂かれてしまってますけれど。この上で宝くじのスクラッチでもやったのか。
これに至ってはこすれ過ぎてしまって、もう何が書いてあるのかすらわかんないよ。
夜の暗い廊下で見たら絶対に怖いと思う。
しかし奥のゾーンに行くともっとホラーであった。
祭事で使われた人形たちなのだが、1Fのは全身あったのにこちらは首だけである。分けるなよ、怖いから!
なお式年遷宮で出展された人形は壊すのがお決まりだそうだ。1回神様が乗り移った人形だから、もう俗世では使えなくなってしまうのかな?
また製作に当たっては他の地域の人間の指図を受けてはならず、この地域の人の手およびアイデアだけで作らねばならない。それが村のおきてなのじゃよ。
長野県って地域ごとにすごい仲悪いイメージがあるんですけど、こういうところにも垣間見える気がしますね。
掟を破ったら人形の首があなたを噛み付きに飛んできます(大嘘)
今更ですが、記事を書くにあたって下記の本を参考にしました。
穂高神社の歴史と神事を写真付きで概略まとめているので、分かりやすい。
100ページ程度なのであっさり読めるところも良いです。
おしまい
【交通手段】穂高駅から徒歩5分
【入館料】300円
【混雑度】★(誰もいない)
【滞在時間】40分
【URL】