納豆なんでも展示館(笹沼五郎商店)
水戸納豆の老舗 水戸天狗納豆(株)笹沼五郎商店。その本店に、納豆の展示館が備わっております。水戸駅から徒歩10分。
気を付けてほしいのは、「天狗納豆」を売っている店は他にもあるので、グーグルマップで検索すると複数の地点が表示されることです。笹沼五郎商店というワードを忘れずに。
展示室は建物の2Fにあり、自由に入ることができます。無料。
すぐ隣に納豆工場があるので匂いが漂ってくるよ。納豆アレルギーの方は死んでしまわないようガスマスク必須です。
最初に納豆誕生秘話が書いてあるのだが、これが面白い。
1083年、源義家が奥州を平定するため(後三年の役)、水戸の方までやってきました。その兵隊の一人が食料として、煮豆を藁に包んで持参していたのだが完全に食べるのを忘れており、気づいたときには2日間経っていた。藁を開いてみたところ、豆が発酵して糸を引いておりました。腐ってやがる、(食べるの)遅すぎたんだ。
普通の神経していれば、そんな糸ひいてる豆なんぞ捨てると思うんですが、あろうことかその兵隊は食べてみたんですね。案の定、菌が体内で大量発生して無事死亡。。ということはなく、意外と旨かった。
んでその兵隊、旨かった豆を義家にも勧めた。義家も旨いとして褒めましたとさ。これが納豆の起源です。
この兵士、「得体は知れないけれどとりあえず食ってみる」上にそれを上司にまで薦めるあたり、本能に忠実な感じがしてとても良いと思います。
皆さんも消費期限切れでヤバい臭いしている生鮮食品を「意外とイケますよ」って上司に勧めてみてはいかがでしょうか。そこで食べてくれる上司は義家と同じく大物です。
水戸の納豆が全国的に有名になったのは、明治時代に鉄道が通りだしてからのことです。駅のホームで駅弁みたいに売り子さんが営業していたそうな。偕楽園が観光地として定着すると鉄道でやってくる客も増え、納豆の知名度もさらに上昇し、偕楽園・納豆で2大名物になったのです。
しかし納豆を駅のホームで買ったら、たぶん車内で食べると思うんだけれど、匂いが充満しませんかね。乗客みんな納豆くさい。車掌が死ぬ。まぁ蒸気機関車の煙の方が半端なくて、それでごまかせてしまうのだろうか。
納豆の製造方法も展示されています。
藁に包まれているイメージが強いですが、あの藁は稲の茎を乾燥させたものなのね。これに天然の納豆菌が生息しているので、煮豆を入れて5日ほど放置するだけで勝手に発酵して納豆になるのです。
発酵のため5日間放置するときは、基本的に暗所へしまっておきます。地面に穴を掘ってそこに入れたり、むしろで包んだりするんだけれど、コタツの中に置いておくという手法があるらしい。
それコタツが納豆フレーバーになってしまうのでは(唖然)。納豆を食べずとも、冬の間はずっと納豆の匂いを楽しんでいられます。斬新なコタツですねぇ。香水で出せばよいと思う。
ここまで見た製造方法は昔のもの(農家が家庭で自作してたもの)ですが、今の製造工程も展示されています。
現代では藁についている納豆菌を使うのではなく、煮豆に直接納豆菌を振りかけるようです。さすがにその辺に生えている藁を使うわけにはいきませんわね。twitterで叩かれてしまう。
(藁に煮豆を詰め込んでます)
納豆菌を直接振りかけるのであれば藁を使う必要はもう無いんですけど、使うようです。なぜ?「納豆は藁に包まれているものである」というノスタルジーを受け継いでいくためなのだろうか。
そうして出来上がる納豆には様々な健康面のメリットがありまして、それを力説するコーナーです。効能としては「美肌効果がある」「骨が強くなる」「がんを防止」など。
しかし「ボケたくなければ納豆食え」はなかなかパワーワードではなかろうか。納豆食べなきゃアナタはボケます。ひえ~
そんな大活躍の納豆菌さんがこちら。なんだかめちゃくちゃ繁殖力が強いらしい。1個の菌が一晩で100万個になるとか。増えすぎだよ。FX教材の宣伝ですらそこまで増えるって言わないのでは。
日本酒の酒造見学の際に「納豆食べてこないでね」って言われるのは、これが原因ですね。納豆菌が1つでももろみの中に入ったら、日本酒が全部納豆になってしまうのです。なんとおそろしい・・!
最後にデータのコーナーです。一世帯あたりの納豆消費金額だそうな。
グラフは右肩上がりになっていて、「納豆の消費量は増え続けています」という説明が書かれていた。・・ん、納豆の消費量ってこんなに増えているの?コメの消費量が減っていると言われている時代なのにおかしくないか。
これ「全国一世帯当たりの納豆消費金額」だから、物価が上昇していれば、納豆の消費量が上がっていなくとも右肩上がりになるのでは。これはフェイクニュースですわ。
てな感じで、納豆の歴史や製造方法など、いろいろ詳しく知れる資料館でした。
おしまい
【交通手段】水戸駅から徒歩10分
【入館料】無料
【混雑度】★(だれもいない)
【滞在時間】40分