地底の森ミュージアム(仙台市富沢遺跡保存館)
仙台市にある地底の森ミュージアムは、2万年前の遺跡をまんま保存している博物館である。
仙台駅から長町南駅まで10分、駅から徒歩で10分。
入口は文字通りに地底にあるので、階段を下りていきます。
まるで駐車場のようだ(台無し)
入口のドアをあければ受付。
入館料は460円。
入館して突然、得体のしれない景色が目の前に広がります。
これが2万年前の遺跡。
模造品ではなく、発掘された状態そのままを薬品処理をして残してあります。
おどろおどろしく地面に張り付いているのは、2万年前にこの地に存在していた針葉樹林の根っこ。
普通であればあっさり風化してチリも残らないはずなのだが、この場所は湿地帯であり、水分や泥がお肌を守ってくれるミラクルにより、1988年に発掘されるまで姿を留めていた。
森林帯から少し離れた位置にあるのは、焚き火のあと。
2万年前に人類がここでキャンプをしたと推測されている。
燃やした木の灰・食べ物の残り・石器の欠片が焚き火の周辺で見つかっている。
石器はおそらく不要になったのでこの地に捨てられたと思われるが、ご丁寧に地面の中に埋められており、埋葬チックな思想を感じさせる。
室内が暗くなったぞ。
映像コーナーの開始時刻だった。
2万年前、ここで行われた旧石器時代人のキャンプの再現ビデオが流れる。
みんな、恐怖新聞の字体すきなんすねぇ。
旧石器時代人は縄文人と異なり、一か所に定住せずに住みかを毎日変えて狩猟生活を送っていたとされている。
焚き火のまわりの地面の焦げ具合を調べても、この場所が繰り返し使われた気配は無いそうな。
定住地が無いので、遺跡発掘は苦労しそうである。
森林という自然環境と、人類の一晩の住居の跡が一か所に見つかったこの遺跡は世界的にも珍しい。
だから遺跡ごと保存して展示室にしてしまったのである。
他の部屋にあったが、建物の模型。
この地下展示室は遺跡そのままなので、その下にコンクリ床が入っていない。
地下水が入り込んでしまわないように、両サイドに止水壁を打ち込んでいます。
発掘された2万年前の木を、お触りすることができる。
なぜか暗いままですが。
薬品処理のせいか、地中に眠っていたせいか、しっとりした触感であった。
あとヒノキのような香りがしたな。
スロープを登ります。
くらいねぇ。
道中ところどころに展示が。
縄文土器だった。
あれ、旧石器時代の遺跡じゃなかったの?
さらに進むと、弥生時代のもの。
一緒に発掘されたものをとりあえず飾っているんですかね。
スロープの上まできた。
上から遺跡を眺めることができる。
その手前にあるのは望遠鏡か?
のぞいてみよう。
望遠鏡じゃなかった、発掘当時の写真を3Dチックにみられる機械だった。
これはすごい湿地っぷりですね。
遺跡全体はさすがに大きいので、そのうち一部を展示しているそうです。
さて、地下室おしまい。
1F展示室。
鹿の剥製。
「お父さん」と書いてある辺り、この3体は家族という設定らしい。
家族ごと剥製にしてしまうとは、なんとむごたらしい・・(迫真)
ガイコツぞろぞろ。
300万年前のアウストラロピテクスくん。
100万年前の、ホモ・エレクトゥス。
バイキンマンの手下くらいには近づいてきた。
そしてホモサピエンスになりました。
1万8千年前のものです。
偉そうにメダルになっているこの人が、ここのキャラクターだそうで。
シックな感じの展示室。
2万年前の仙台の状態です。
当時はまだガンガンに最終氷期だったので、水が凍って海面は低い位置にありましたとさ。
だから仙台湾は干上がっております。
松島もこの通り。
あぁ松島や(涙)
発掘された樹木を比べてみよう。
これは、自然に黒くなった樹木。
こちらは、火を受けて黒くなった樹木。
さあ、違いが分かりますか?
分かりませんねぇ(小並)
顕微鏡でみてみよう。
燃えて黒くなった樹木の場合。
自然に黒くなった場合。
こうやってみると確かに違う。
こういう差異を押さえつつ、遺跡で発掘した樹木がどちらに該当するかを決めていく。
こちらの図では、焚き火の位置(中央の赤い部分)に対して、石器(黒点)がどの位置で発掘されたかを示している。
なぜか東側が圧倒的に多い。
べつに東優位主義があったわけではなくて、このとき東風だったから風上側に居て石器仕事をしていたのだろう、という整理になっている。
やたら細かいところであるが、こうやって状況証拠から一つ一つ小さい推論を積み重ねていくのが考古学なのだろう。
発掘された石器の中には、山形方面で採れる石材があったとか。
当時はまだ物々交換なんて無いと思われるので、わざわざ現地にまで採取にいったのだろう。
生活圏ひろいですねえ、徒歩4時間以内なら自分の庭とか言い出すレベル。
山形まで取りに行った石材がこちら。
仙台とは違うのだよ、仙台とは。
見つかった石の破片をパズルみたいにつなぎ合わせて、元の石の形を知るという、気が遠くなる作業も考古学ではやるようです。
地味な作業が多いので、ちょっとカッコつけて飾ってみました。
石器の端々を顕微鏡で見れば、何のために用いたかということまで把握できるらしい。
肉きり・皮切り・骨削り。
しかしさっきからこの絵はなんなんでしょうね。
次の展示室。
遺跡では「トミザワトウヒ」なる植物が発掘されたが、これは現代では絶滅してしまったそうな。
比べてみよう。
うーん、トミザワトウヒのほうが焦げてますね??
こういうのいらないから(半ギレ)
発掘された木の根っこ。
さっきも地下で見ましたが、もう見せたくてしょうがないんでしょうね。
鹿のフンも発掘されている。
普通であれば鹿のフンはすぐ乾燥して白くなるのだが、やはりここは湿潤な環境であったため、乾燥せずに黒いまま残っていたようだ。
だから、なんなんすかね、この絵は。
フンに人格まで与えておる(驚愕)
変な絵を見たので、気分転換にどうぞ。
ジオラマっぽいものが出てきた。
ボタンを押すとホログラムで人が現れた。
旧石器時代人なのだろう。
焚き火をして、石器を打ったり、道具を直したりしている。
旧石器時代人の1日、みたいなシナリオ。
でもこれ、さっき地下で見たビデオでも同じような内容だったんだよなぁ。
もうちょっと変えても良かったんじゃない、シルバー巻くとかさ。
展示室はこれでおしまいです。
旧石器時代人にしてはシャレオツですね。
腰巻一丁とかじゃないのか。
顔はめ看板は、やたら勢いのある感じ。
左上の人は鼻が長い海賊団にでも居そうですね。
外には広大な植物園が広がっております。
「氷河期の森」というタイトルで、まさに2万年前にこの地に生息していたであろう樹木を植林して、再現しているというもの。
散策もできます。
2万年前の森林の再現とはいえ、絶滅済みのものもあるので、その場合は似通っている植物を代打で起用している。
さきほどのトミザワトウヒの場合は、種類が似通うアカエゾマツを北海道から取り寄せており、予算が心配である。
池もありますが、水質についてはお察しください。
庭園を抜けると、入口方面に出ます。
これにておしまい。
以上。
【交通手段】長町南駅から徒歩10分
【入館料】460円
【滞在時間】90分
【混雑度】★★(館内に2~3人)
【URL】