光風荘(湯河原の2.26事件現場)
歴史の授業でお馴染み「2.26事件」は、右翼の軍人が高橋是清 大蔵大臣をはじめ政府重鎮を殺害したクーデターです。あれ東京の話なんですけど、実は湯河原の温泉旅館でも襲撃事件が起こっていたのだ。その現場である光風荘が現存しているのです。
概要
光風荘は、老舗の高級旅館「伊藤屋」の別棟です。東京に近い温泉地 湯河原は、政財界のお偉いさんが療養しにくるところ。伊藤屋もそういうお客さんが集まっていたようです。
何で2.26事件の現場になった?
殺害対象の政府要人が宿泊していたからです。内大臣の牧野伸顕。
内大臣は天皇の補佐的な仕事をするそうです。だから天皇と距離が近い。牧野伸顕は親欧米派と見られていて、これが右翼クーデター団の気に食わなかった。陛下にふざけたことを耳打ちするな!って感じですかね。
当日なにがあった?
銃撃戦。
右翼軍人8名が光風荘に押し寄せ、さっさと牧野を射殺してトンズラしようとしたのだ。しかし牧野側に強力な助っ人が居たことで話は急展開に・・。
銃撃戦の詳細
2月26日の午前5時、牧野の泊まる光風荘に、襲撃隊8名がやってきました。隠密に暗殺してさっさと帰りたいところ。
「電報でーす!」と光風荘の玄関前で叫ぶ襲撃隊。午前5時に電報って偽り方としてどうかとも思うが、とにかく家人が出てきて玄関を開けてくれれば良い。銃を突き付けて「牧野を出せ!」と言えば済むのだから。
護衛隊が強すぎた
しかし襲撃隊にとって不運だったのは、この日護衛に付いていたのが皆川義孝 巡査だったことだ。
(皆川巡査。画像は湯河原町HPから※リンク切れ)
この人が映画『コマンドー』のシュワルツェネッガー並みに強くて、侵入してきた襲撃隊2名を瞬時にボコボコの瀕死にさせてしまった。
ビビってパニックになった襲撃隊は、光風荘を取り囲んで機関銃で蜂の巣、さらには放火して皆殺しにかかる。・・あのう、暗殺って何でしたっけ?展開がダイハードになっている。
さすがにこんなオーバーキルみたいなことされたらシュワルツェネッガーもブルース・ウィルスも生きていられない。皆川巡査はここで息絶えてしまった。
麻生太郎は命を救われた?
しかし皆川巡査が奮闘している間に、牧野伸顕や家族たちは脱出して難を逃れたのだ。
この家族の中に、牧野の孫である和子という女性が居たのですが、九州の麻生財閥へ嫁いでおり、授かった子供が太郎。あの麻生太郎です。
というわけで皆川巡査が牧野一家を救わなければ、この人は誕生していなかったかもしれない。命の恩人ですな。え、誕生しなくても良かった?(※当ブログは政治的に中立です)
襲撃者の末路
2.26事件の首謀者たちは、アホな政治家たちから国を守るヒーローとして最初もてはやされていましたが、天皇陛下が「なにしてくれてんねん!」と怒りのお気持ち表明をされたあとは、一転して逆賊扱いになり、処刑されていきました。
(河野大尉。画像は湯河原町HPから※リンク切れ)
光風荘事件の指揮者である河野寿 大尉はむごたらしい最期を迎えています。事件で負傷し、軍の病院に入院(軟禁状態)だったのですが、見舞いに来た兄弟が「一家の恥だから、せめて自殺しろ」と果物ナイフをこっそり差し入れたのだ。
そのナイフで腹を切ったのだが、果物ナイフなんて小さいし切れ味悪いので、上手い具合に切腹できず、何時間も苦しんだあげくに失血死したという。なんと痛々しい。
ちなみにこのナイフ、光風荘内に展示されています。ちょっと見学者が呪われそうだから止めてほしい(真顔)
光風荘の展示室について
展示内容
(光風荘の展示室。画像は湯河原町HPから・・だがリンク切れ。切れてばかりだな)
・・まぁ、以上の内容が光風荘にいるガイドさんから聞けるわけですよ。だから知識なしで行っても大丈夫だし、逆に予習済みの人は細かい話をガイドさんに訊くとよいです。
展示物は、さきほどの河野大尉が切腹したナイフのほか、コマンドー皆川巡査が愛用した万年筆、当時の新聞、あと麻生太郎による寄稿文があった気がする。
放火されたのになぜ建物が残っているのかって?たぶん直したんでしょう、旅館だし。血痕とか火炎放射の跡はさすがにありません。
アクセス
湯河原駅から「奥湯河原」か「不動滝」行きのバスで10分程度、「公園入口」停留所で下車すぐです。
バスの検索はこちら → バス停時刻表検索|箱根登山バス
開館日
土日祝日のみです。開館時間は10時~15時(最終入館14時30分)。
平日は事前予約が必要で、1週間前までに申請となっています。
でも2月26日は平日でも開けるそうです。アニバーサリーですね、不穏きわまりないが。
駐車場
光風荘には無いです。すぐ南に下ったところにある湯河原温泉観光協会の建物にはあります。中には郷土資料館もあるので、光風荘のついでにそちらへも寄ればアリバイは完璧ですね! 【資料館の記事↓】
料金
無料なり
【滞在時間】1時間
【混雑度】★(誰もいない)
【URL】湯河原町 | 光風荘