徳富蘇峰記念館
徳富蘇峰記念館は、ジャーナリストの先駆け的存在でありながらA級戦犯容疑者でもある徳富蘇峰を記念する博物館である。
二宮駅から、閑静な住宅街を1kmほど歩く。
近くまで行くと、ところどころに案内看板が。
到着。
そもそも徳富蘇峰って誰?ということだが、
明治のジャーナリズム勃興の時代に、20代にして『国民新聞』(今の東京新聞)を始め幾つかの雑誌を創刊。
『坂の上の雲』の時代である。
当初は平民からの視点で報道していたが、日清戦争後の三国干渉で日本国の力の無さに悲憤し、国粋主義に転じていった。
戦前にあっては政権寄り、戦時中は軍部と結んで軍国主義の思想を喧伝し、この時代の言論の中心を成した一人といえる。
ばりばり左傾化してる今日の東京新聞と全く違うのは、この時代の反動からだろうか。
そんなわけで大戦が終わった後は、「いろいろ搔きまわしてくれたな」とGHQからA級戦犯容疑を掛けられる。まぁ高齢ってこともあって不起訴になったから、A級戦犯にはなっていない。
ただそのあとは病気もあり、表立った活動はなく、熱海に移って静かに執筆活動に勤しむこととなる。
門を抜けていくと、いきなり無機質な巨大施設が登場して面食らう。
ぽつんと佇む入口。
いきなりドアを開けようとしてはいけない、カギかかってるから。
チャイムを押して、中の人にあけてもらう。
記念館は1階の常設展と2階の企画展。
撮影可能。
徳富蘇峰先生のお写真。
まずは蘇峰の紹介ビデオを鑑賞。
20分くらい。
つよそう(こなみ)
常設展の展示品は、半分近くが蘇峰の蔵書であり、あとはその他所持品。
蔵書は付箋だらけである。
なんか仲悪かったらしいが、その後和解して、全集までそろえちゃった。
あと徳富蘇峰といえば、『近世日本国民史』。
戦前の56歳の時から書き始め、晩年の90歳で完成させ、全100巻。
読む方の身にもなってくれというレベルの大著である。
2階は企画展で、蘇峰の友人たちからの手紙や贈り物など。
戦前の論壇を沸かせた人物として、さすがに交友関係がめっちゃ広い。
この記念館には蘇峰宛ての手紙4万通以上が保管されているとのこと。
そんな大量の手紙、生前はどこにしまっていたのだろう。
すっかりイメージがハードゲイになってしまった同志社に在学していたけど、学生運動のごちゃごちゃで中退している。
それでも記念式典に出席しているのは、大学の創設者である新島襄を深く尊敬していたからだと思われる。
ちなみに、この記念館は二宮にあるけど、徳富蘇峰は別に二宮に住んでたわけじゃないらしい。
蘇峰の秘書をやっていた塩崎彦市氏が、蘇峰から大量の遺品を預かっており、それを自身の邸内に展示したとのこと。
蘇峰の記念館は、ここを含め全国で6か所ある。
記念しすぎである。
凄まじい影響力だな。
2013年には、くまモンも来館している。(写真は記念館HPから)
彼は熊本に関係なくどこにでも出てきてしまうので「またかよ」感があるが、
蘇峰は熊本出身なので、今回は的を得ている。
あと敷地内には梅園もあって、「神奈川花の名所100選」に選ばれている。
ひょっとしたら記念館よりこっちの方が有名なのかもしれない。
でも入館料700円はちょっと高いよなー
以上
【交通手段】二宮駅から徒歩15分
【入館料】700円
【滞在時間】40分
【混雑度】★(だれもいない)
【URL】