C級スポット探索日記

C級スポット探索日記

各地の資料館・博物館・珍スポを回り倒すのが趣味です。転勤族(神奈川→埼玉→長野)

フォッサマグナミュージアム

f:id:wandercspot:20200328174551j:plain

新潟県糸魚川~静岡まではフォッサマグナの西端にあたる「糸魚川-静岡構造線」が走っています。地理の時間で習うフォッサマグナ、もはや何のことだか記憶喪失してしまった方のために学びなおすことが出来るのです。

また糸魚川は日本の“国石”ヒスイの産地であり、全国各地で見つかっている縄文時代の勾玉の故郷となっています。

 

 

アクセス・入館料

アクセス

糸魚川駅のアルプス口から路線バス「美山公園・博物館線」で10分、終点がフォッサマグナミュージアムです。時刻表は博物館HPのアクセスページから見られます。平日は4本しか無いですが、休日はお昼を除いて1時間に1本。

入館料

500円です。

 

展示1 日本の国石ヒスイを知ろう

f:id:wandercspot:20200328175000j:plain

館内は大まかに、ヒスイゾーンとフォッサマグナゾーン、鉱石ゾーンに分類できます。

けっこうボリュームがあり、じっくり見てると1時間以上はかかるのでバスの時間に気を付けましょう。

f:id:wandercspot:20200328174624j:plain

ヒスイは縄文時代に全国各地で勾玉にされているのが有名ですね。他に用途あるのか?現代では宝飾品・パワーストーンとして用いられているようです。

国内には数か所の産地がありますが、量・質ともに糸魚川が圧倒的に優っているらしい。博物館の公式HPでは「鳥取や長崎のヒスイは宝石にはならないまでも、なかなかキレイ」と、小馬鹿にしてるの隠しきれてなくて面白いです。

f:id:wandercspot:20200328174546j:plain

(画像は公式HPより。博物館の近くの遺跡で発掘されたヒスイ大珠)

中国では金よりも重宝されており、わが国でも古代には各地で見られたヒスイですが、奈良時代を最後にぱったり出土しなくなったそうです。みんな飽きたのだろうか。

そのため「日本にはヒスイの産地は無くて、大陸から輸入してた」説が主流になっていました。

しかし1930年代にここ糸魚川での発掘調査でおよそ1200年ぶりに出現。調査開始から2日目で見つかったらしい。早いよ。

f:id:wandercspot:20200328185056j:plain

ヒスイは地下30km~80kmの地中深くで出来るのでそのままだと地表に上がってこないのですが、この蛇紋岩が運んできたのです。蛇紋岩は他の岩石より軽いので地表に上がりやすく、その際にヒスイや他の岩石を乗っけてくるそうな。なのでヒスイが世間デビューした恩人であります。

ただ蛇紋岩、セメントや石材の材料として使われるんですが、アスベスト含んでいるらしい。扱っていた造園業者が肺癌を起こして労災認定される案件が起こっております。ヒスイにとっては恩人でも人類にとっては敵ですな、訴訟不可避。

f:id:wandercspot:20200328174717j:plain
f:id:wandercspot:20200328174700j:plain
f:id:wandercspot:20200328174643j:plain

ヒスイは素人目には判別が難しい。色は基本的に緑なんですが、色んな鉱物を含んでいるために黒になったり青くなったり白くなったりと、カラーバリエーション豊富すぎます。上に貼った3枚は全部ヒスイです。

 

展示2 フォッサマグナを思い出そう

f:id:wandercspot:20200328174806j:plain

地理の授業で絶対やってるんですが全く思い出せませんね(鼻ほじ)。

まぁ日本列島の成り立ち映像とか説明展示を見て思い出すと良いです。

f:id:wandercspot:20200328175030p:plain
f:id:wandercspot:20200328175024p:plain

(画像は公式HPより フォッサマグナと日本列島 | フォッサマグナミュージアム

しかしミュージアム内の説明パネルよりも公式HPの説明ページの方が分かりやすい図を使ってるんですよね。なのでこれを用います。博物館の意義ェ、、

日本列島成り立ちの四コマです。大陸から分離した後、モナカみたいな割れ方して東日本と西日本に分かれちゃったんですね。隙間となった海に土砂が入ったり隆起して埋め立てる形になりました。この埋立地フォッサマグナ

f:id:wandercspot:20200328175034p:plain

(画像は公式HPより フォッサマグナと日本列島 | フォッサマグナミュージアム

なのでフォッサマグナは1本の線ではなくて、埋立地一帯です。その西端が「糸魚川ー静岡構造線」で、東西日本を地質学的に分かつ断層になっているそうな。

地学がサッパリな方(=私)への重要ポイントは、フォッサマグナの地層が隆起したとき、ここに南北を貫く火山帯が出来たということです。富士山や浅間山、焼岳など。中部日本の山岳環境を作り出した原因の一つと考えてよいのかな。

f:id:wandercspot:20200328174833j:plain f:id:wandercspot:20200328192954j:plain

(若い時と晩年のナウマンさん)

このフォッサマグナを見出したのが、明治のお抱え外人ナウマンです。若干20歳で来日、10年弱かけて日本全体の地形と地質を調査したパイオニア的存在とのこと。当時の日本には伊能忠敬が作った地図しか無かったので、そこから科学的な研究を進めるには気の遠くなる労力がかかったに違いない。髪にも影響するわけですわ。

f:id:wandercspot:20200328174820j:plain
f:id:wandercspot:20200328174845j:plain

そんなナウマンの功績をたたえて、彼の書斎をなんとなくイメージしたコーナーを設けてあります(自宅の再現では無いらしい)。

本人の所持品も展示されているのですが、なぜか「ナウマンの先妻ゾフィーの使用したコップ」まである。要る、これ?

 

展示3 化石に鉱石

f:id:wandercspot:20200328174943j:plain

あとはヒスイにちなんで、鉱石や化石の展示ですね。海外のものも含まれています。

模型みたいに保存状態が良いのはアメリカでペルム紀に生きたシームリア。体長50cm程の小さいワニだそうな。

f:id:wandercspot:20200328174929j:plain f:id:wandercspot:20200328174734j:plain

1枚目は三葉虫。ぞろぞろと行列しており、人にとっては可愛らしく、また人によってはウギャーとなることでしょう。2枚目はムールロニアという巻貝ですが、どうみてもカタツムリです。この子は糸魚川で採れました。

f:id:wandercspot:20200328175012j:plain

あとはヒスイ以外に、世界の面白い石を大量に展示しています。全部で数百点くらいあったと思う。

石や地学に興味のある人なら数時間吹き飛ぶレベルの、濃度が高い博物館でした。

おしまい

 

【滞在時間】2時間

【混雑度】★★★(ちらほら)

【URL】

fmm.geo-itoigawa.com

谷村美術館、玉翠園

f:id:wandercspot:20200328115822j:plain

新潟県糸魚川にある美術館です。まったく美術館の外観に見えませんね。『007』でジェームズ・ボンドの敵キャラが中で豪遊してそうである。シルクロードの遺跡をモチーフにしており、内部は石の洞窟になっていて仏像彫刻が立ち並ぶというアジア系異国情緒あふれる空間になっております。

同じ敷地内には玉翠園なる閑静な日本庭園があり、セットで楽しめます。

 

 

アクセス・入館料

f:id:wandercspot:20200328115616j:plain

アクセス

糸魚川駅から路線バスです。市街地巡回線という路線があり、西まわり系統だと10分、東回り系統なら15分で着きます。美術館HPのアクセスページに時刻表が載っています。

西回り系統も東回り系統も2時間1本しかないのですが、まぁ合わせれば1時間に1本だし、多少はね?バス停の周辺は何も無いので、帰りの時間は気を付けたいところ。

 

入館料

500円です。

なおここから1kmのところに「翡翠園」なる大規模庭園があり、セットで800円(時間の都合で今回は行けませんでした)

 

谷村美術館

f:id:wandercspot:20200328115629j:plain

さて入場口を通ると、打って変わった風景が広がるので驚きます。ここはシルクロードです(断定)。手前の砂利敷きは中央アジアの砂漠を見立てているようですね。西遊記の世界です。ごつごつした岩の壁が荒涼感を纏っております。

f:id:wandercspot:20200328115658j:plain

各部分で天井の高さがまったく合っておらず、丸型だったり角型だったりと珍妙さをあちこちに加え、造形的には長いこと眺めていられる面白さ。

赤坂離宮の改修をしたり箱根や高輪のプリンスホテルを設計した名建築家 村野藤吾によるものです。現在の横浜市役所もこの人ですが、2020年に全面移転予定で取り壊しになるみたいです。谷村美術館の希少性がますます上がりますね(そうじゃない)

外観を存分に眺め終わったら館内に入ります。内装は中国の石窟寺院をイメージしており、白いざらざらの壁が天井まで高くそびえていて、天窓から差し込む光の先には仏さまがいらっしゃいます。天に召されてしまいました(完)

という感じで館内の雰囲気も見事なものですが撮影禁止なので、美術館の公式Twitterでお楽しみください。

館内にいる仏さまは、彫刻家 澤田政廣が製作したもの。外観も内部もこれで完全に石窟寺院ですね。

澤田は熱海出身の芸術家で絵画や陶芸もでき、その地元には記念美術館があるのですが館内に長嶋茂雄の像を展示しているらしい。巨人ファンかよ!失望しました。

 

外観から分かる通りですが、館内はさほど広く無いです。ゆっくり見ても所要20分~30分ですかね。

 

玉翠園

f:id:wandercspot:20200328115741j:plain

美術館を見終えると、順路はそのまま隣の玉翠園に向かいます。ここは日本庭園ですが庭を歩ける回遊式では無く、外から眺める鑑賞式です。それも建物の中から窓越しに見渡すようになっています。

館内では抹茶やドリンクを販売しているので、館内でのんびり鑑賞してねという趣旨のようです。

f:id:wandercspot:20200328115727j:plain

昭和最高の造園家の一人 中根金作が携わっています。目の前には植栽や広大な池が広がっていますが、そこに注がれている小川は借景されている背後の山々から流れ込んでいるように感じられ、物語の壮大さとともに「ここ日本海沿いの町だよなぁ」と現在地を見失いそうになるので要注意です。海鮮じゃなくてキノコや鹿肉が食べたくなったらアウトです。

f:id:wandercspot:20200328115756j:plain

館内では他に、美術館建築時の参考模型や当時の資料、村野藤吾を解説する雑誌などが展示されています。
バスの時間を逃してしまって1時間待ちになったら、ここで庭園を眺めながらぶらついていると良いでしょう。

おしまい

 

【滞在時間】60分

【混雑度】★★(他に2~3人)

【URL】

gyokusuien.jp

 

上越市立水族博物館うみがたり

f:id:wandercspot:20200326202848j:plain
上越市直江津にある水族館です。新潟県って市営の水族館が3つもあるんですね。魚好きやね、君ら。

屋外の展示通路をペンギンが普通に歩いていたり、イカばっかり集めた誰得な水槽があったり、レストランが何故かアルゼンチン料理を出していたりと、市営にも関わらず期待させる要素をたくさんもっております。

 

 

アクセス・入館料

f:id:wandercspot:20200326202114j:plain

最寄りはJRの直江津駅です。1.5kmで徒歩15分。路線バスは無いです。駐車場は600台くらい停められる巨大容量なので安心。

周辺は中学校やショッピングセンターなど思いっきり町中であり、水族館な雰囲気が全然ない中でいきなり現われます。

入館料は1,800円。

 

展示1 レストラン(サメとアルゼンチン料理)

f:id:wandercspot:20200326202156j:plain

それ展示じゃないだろって思われるでしょうが、お腹が減ってしまったのだからしょうがない。館内のレストランで腹ごしらえです。入場口のすぐ脇にあるので、入館券買わなくても入れます。

アルゼンチン料理を主に扱っているらしい。なぜ新潟でアルゼンチン?答えはあとでわかります。

f:id:wandercspot:20200326202130j:plain

しかしアルゼンチン料理よりも気になるものを見つけてしまった。サメ料理!

上越ではサメを食べる文化があるそうです。そもそもサメ出るのか、この辺。エチゼンクラゲじゃなくて?

ちなみにパニーニはイタリア料理です。早速アルゼンチン関係なくて笑ってしまう。

f:id:wandercspot:20200326202142j:plain

サメのパニーニを注文しました。500円。

イメージ写真のとおり皿に盛りつけられてくるのかと思いきや、レジのお姉さんに「はいっ」って手渡しされて、思わず( ゚д゚)としてしまった。元気いいなお姉さん。まぁかぶりつくにはこのスタイルの方が適しているかもしれない。サメだけに!(このあとジョーズに食われて亡くなりました)。

味は・・ちょろっとジビエっぽい臭みがあった気もしたが、肝心のサメ肉はフライになっている上にマヨネーズがトッピングされていて普通のパニーニになっているので、サメを食べてる感はあまり無いですね。ジビエ大好きマンには微妙かもしれませんが、料理としては美味しいです。

 

なおメニュー見た感じ、料理の種類はあまり無いんですよね。

がっつり食事系だとパスタが3種類(約1,000円)と、アルゼンチンの国民料理(らしい)チキンカツレツorポークカツレツ(1,500円)の計5種類。あとはお子様ランチに、デザートやポテトとか。

アルゼンチン人、食かたよってるなー。そりゃマラドーナも太るわけだわ。

 

展示2 イルカショーやイカの大群

f:id:wandercspot:20200326202229j:plain

食事を終えたら入館券を買って突入します。

エスカレーターで3Fまで上がると、日本海が一面に見渡せるテラスの登場です。開放感があって心地いいですねぇ。

真下に広がっているのは足湯じゃないです。水槽です。転落したら下の方で泳いでいるイワシの餌にされます。

f:id:wandercspot:20200326202314j:plain
f:id:wandercspot:20200326202244j:plain

隣のプールではシロイルカくんが、餌と勘違いして黄色いブイを齧っていたり、飛び込み方を間違えてアシカみたいにバタバタしてました。君なにしとるの?

f:id:wandercspot:20200326202359j:plain

しかし水中では飼育員さんの言うことをちゃんと聞くようです。バンドウイルカと違って飛んだり跳ねたりはしませんが、大きな体でダイナミックに水中をゆらゆら泳いでおります。

1日に16kgくらいのエサを食べており、人間にして茶碗100杯分のごはんだそうです。燃費悪いってレベルじゃねーぞ。飼育員さんが取り出すイカやら(確か)アジやら、ばんばん丸飲みしまくっていました。

f:id:wandercspot:20200326202329j:plain

バンドウイルカ君もいます。屋外プールでショータイム開催していますが、タイミング悪くて終了直後に着いてしまった。

こちらのイルカ達も威勢がよく、プールの端の方で跳ねては最前列のお客さんに水しぶきを浴びせまくっていました。夏だったら絶対たのしい。

f:id:wandercspot:20200326202456j:plain
f:id:wandercspot:20200326202414j:plain

イルカゾーンを通過して、次々と魚たちを見て行きます。

浅瀬で海藻がたくさん育っている「ガラモ場」は、隠れ場所やエサ場として最適なので多くの魚が集まっております。ぎょぎょぎょ。

f:id:wandercspot:20200326202441j:plain

しかし常にハッピーでは無いようです。仰向けになっている魚がいるぞ。それも完全に腹が食い破られて白い肉が見えてしまっていますね。他の魚たちが大喜びでつつきに来ていました。水族館で共食いとは、ひやりとする現実を見せつけてくれます。

(餌として投げ込まれた魚にしては大きすぎる気がする)

f:id:wandercspot:20200326202511j:plain

水族館で孵化したトラザメの赤ちゃんだそうです。全くサメには見えませんね。人へは危害を加えないので、ペットとして飼育できるんだそうな。

これは私のカンですが、恐らく先ほどのパニーニの正体は彼らでは無いと思います。

f:id:wandercspot:20200326202640j:plain

眼が瓶底メガネみたいなのはメイタイシガキフグ。アホな顔してますねぇ(直球)。しかし背中にはびっしりと棘が生えていて「俺に触るとケガするぜ」を演出。危険な男は魅力的ですねぇ。

f:id:wandercspot:20200326203117p:plain

メイタイシガキフグ【セブ産】 海水魚ショップ やどかり屋 より)

検索してみたら普通に通販で売られていた。税込み8,000円。意外と安いな!しかも売り切れになっている。買う人いるのか・・。海の世界は深いですねぇ(上手いこと言った気分)

f:id:wandercspot:20200326202710j:plain

次の水槽ではブルーライトな背景の中に白い何かがふわふわ浮いています。巨大化したクリオネか?

f:id:wandercspot:20200326202724j:plain

なんと全部イカでした。アオリイカスルメイカ。丸焼きやシャリの上に乗って出てくる姿はお馴染みですが、これだけ何十匹も生き生きと泳いでいる様を見れるのはなかなか無いかもしれません。

たいへん幻想的でもあり、ゲテモノ感もあり、ある意味この水族館で最大のハイライトになっております。そしてあなたはスシローに行きたくなります。

 

展示3 ペンギンだらけの展示通路

f:id:wandercspot:20200326202903j:plain

さて最後に、この水族館最大の目玉であるペンギンゾーンに入ります。屋外に設置された通路を歩くのですが、ペンギンがそこら中に放たれていて、間近で観察できるのだ。

f:id:wandercspot:20200326202848j:plain

このくらいの距離です。ロープから先には入ってはいけませんが、手前まで近づいてもペンギンたちはどこ吹く風。慣れてるなぁ。

彼らの方から人間用の通路に立ち入って来たりしますからね。

f:id:wandercspot:20200326202931j:plain

このゾーンのコンセプトはアルゼンチンにあるペンギン保護区「プンタトンボ」だそうです。そこではペンギンの生息域の中に見学通路をとおして、ペンギン集落の中を歩いて観察することが出来るんだとか。

それを小規模ながらも上越で再現してるわけですね。だからレストランでアルゼンチン要素があったのか。

f:id:wandercspot:20200326202947j:plain

なお飼育頭数としては世界屈指の多さを誇るそうです、うみがたり。通路脇にあるプールでは所狭しとペンギン軍団が泳ぎまくっております。ガラス越しでは無く、それも間近で見られるとは新鮮ですねぇ。

f:id:wandercspot:20200326203101j:plain

しかし面白かったのは、このペンギンたち、名前じゃなくて番号で呼ばれてるんですよね。館内のペンギン紹介コーナーで登場するこの子も「No.241」と名付けられている。囚人か。これもきっとアルゼンチン式なんでしょう。

 

おしまい

 

【滞在時間】3時間(食事含む)

【混雑度】★★★★(すぐ横に人)

【URL】

www.umigatari.jp

 

日本スキー発祥記念館

新潟県上越市の高田は、明治時代末にオーストリアの軍人レルヒ少佐が赴任して日本に初めてスキーをもたらした土地だそうです。そのためスキーの歴史と広がりを学ぶ発祥記念館が建っております。

 

 

アクセス・入館料

アクセス

えちごトキめき鉄道南高田駅から2km、高田駅からは2.5kmです。記念館は金谷山という場所にあるので、往路は上りになります。徒歩だと30分かかる。帰りは下りなので25分くらいでしょうか。

私は行きはタクシーを使いました。南高田駅には居ないので、高田駅からです。1,500円弱ですね。

 

入館料

460円です。

 

展示1 スキーをもたらしたレルヒ少佐を知ろう

館内は撮影可能となっております。右手にいるおじさんが、そのレルヒさんです。

 

テオドール・エードラー・フォン・レルヒ少佐。オーストリア・ハンガリー帝国の出身です。1911年42歳の時に、ここ高田の地に赴任して日本の軍人にスキー指導を始めました。

この時代、日露戦争の勝利に衝撃を受けた西欧各国が日本に軍事視察団を送り込んでおり、レルヒ少佐もその一人だったのですが、スキーの名手であることを聞きつけた陸軍省が指導を頼んだそうです。

Embed from Getty Images

日本では1902年、雪山訓練中の歩兵が遭難してほぼ全滅するという「八甲田雪中行軍遭難事件」が起こっていました。行軍参加者210名中199名が死亡する、世界登山史でも最悪レベルの事件です。

そのため日本陸軍ではスキー技術向上が必須と考えていたようです。

そんなレルヒさんのスキー教室が始まりましたが・・ん?何だこれ。1本の棒だけ握って走っておりますが。スキーをやる前にアイスホッケーでも始めるのだろうか。斬新な指導の仕方ですねぇ。

いいえ、これがオーストリア式のスキーなのです。我々が知る今日のスキーはノルウェー式だそうですが、あれは平地を滑走するのに適しているそうな。

一方でオーストリアでは急斜面の山々が多く、方向転換することが多いので、ストック1本の方がやりやすいのです。レルヒ少佐はノルウェー式・オーストリア式どちらも滑れたそうですが、高田の地形を考えてオーストリア式を採用したのだと。

 

にしてもオーストリア式、、動きがコミカルですねえ。スキー場でこんな足の動かし方している人みたことないよ。

なおレルヒ少佐は翌1912年には高田を去って北海道へ向かうのですが、後任で来た山口少佐は「ノルウェー式の方が良いのでは」とあっさり方針転換。日本全国でもノルウェー式が主流となりました。

居なくなった瞬間に方針ひっくり返されるとは、レルヒ氏への同情を禁じ得ない(涙)。

 

展示2 踊れるゆるキャラ「レルヒさん」

しかし高田の人々はスキーをもたらしてくれたレルヒ少佐へ愛着を抱き続け、こうして記念館が出来ているわけです。

さらにはゆるキャラ「レルヒさん」も登場、、本人とのイメージが違い過ぎて遺族に怒られないか、これ。

そんなレルヒさんと見る日本スキー発祥100周年ビデオが館内で放送中。1911年に高田に赴任したので、2011年で100周年だったんですね。スキー普及の流れが分かりやすくまとめられています。

ただこのビデオ、終盤がちょっと狂ってるのよね。スキーの歴史紹介が終わって「これからも上越市は発展し続けていくでしょう」という行政お決まりセリフが流れて終わりかと思ったら。

とつぜん音楽が流れ始めて、子供ダンサーとレルヒさん着ぐるみが登場して踊りだしたのだ。音楽には歌詞までついていて「滑れるヒー」「あそべるひー」とノリノリで女性ツインボーカルが熱唱してくれます。・・なんなんだこれは。

ビッグバンすら起こってしまった。これもう(スキー関係あるか)分かんねぇな。

レルヒさん着ぐるみ、身長270cmあるらしい。デカすぎだよ!道理で踊っている時に頭がぐねんぐねんしているわけである。

また映像中、スキーをしているレルヒさんが登場するので、運動神経はガチャピン並みだと思われます。

 

展示3 民間にスキーを普及させたプロペラ髭

またの名を長岡外史といいます。レルヒ赴任時の師団長で、スキーを軍人だけでなく民間人にも習得させ、雪国高田における移動手段として確立したのだ。おかげで郵便の配達員や電線の管理員など、移動が多い商売の人には大変なメリットになったとか。

すべては髭のなせるわざである。

民間人への普及を目指すにあたって、まず将校夫人の指導から始めたそうです。なので彼女らは民間人スキーヤー第一人者になりました。意外と先進的な長岡外史くんである。

レルヒと並んで高田の人々の敬愛を集めたという長岡ですが、銅像が館内にやたらあるんですよね。デスマスクまであったからね。よほど敬慕されていたんでしょうねぇ。まぁ顔が面白いから、って理由がもしかしたらあるかもしれませんが。

 

展示4 スキー誕生史、高田のスキー業界発展など

あとはスキーの世界的な発祥や歴史、時代ごとのスキー板、日本における更なるスキーの普及とオリンピック出場などが展示されています。

高田ではスキーが移動手段・日用品となったのでスキー産業が興隆し、1965年にはスキー道具の全国生産4割を占めたそうです。

「東洋一」と称されたジャンプ台まであったそうですが、1995年で営業終了し、現在は解体されています。なんでも地すべりする地層の上に建ててしまっており、人身事故はなかったものの時おり崩れていたらしい。今だったら大問題だな、、

スキー場は記念館の近くにもあるのですが、スキー人口の減少&温暖化で産業自体が今後も厳しそうですね。現にこのときも全然雪が無かったしね。

 

このままだとレルヒさんのアイデンティティが無くなってしまうので、ダンスで見せた身のこなしの軽やかさを活かし、「アマゾン川でピラニアと戦う」「ナイル川を泳いで横断する」など、ふなっしー路線を確立させておくとよいと思います。

 

おしまい

 

【混雑度】★(誰も居ない)

【滞在時間】60分

【URL】日本スキー発祥記念館 - 上越市ホームページ

 

村内美術館(家具と絵画のコラボ)

これなんだと思いますか。アフリカの楽器?キノコ?

正解は椅子でした。分かるか!どうやって座るねん。

そんな面白い椅子やゴージャスな家具を、絵画と一緒に展示している不思議な美術館です。

 

 

 概要・アクセス・入館料

概要

村内美術館は、八王子の家具店である村内ファニチャーアクセスが運営しています。

もとは会長が蒐集した西洋画を展示する小さい美術館だったそうですが、世界の名作家具や椅子まで集めだし、「日本初の家具と絵画のコラボレーション」という強烈な個性を獲得しました。それコラボできるものなの?

 

アクセス

八王子駅北口から無料シャトルバスが出ています。予約は不要です。バス停の位置は公式HPに載ってます。

1時間に1~2本出ているので、満席で乗車できないなんて事態はまず無いかと思います。乗車時間は15分程度。

美術館は建物の最奥部、階段を上ったところにあります。建物自体は思いっきり村内家具店ですので、ショップ部分を突っ切ってくることになります。

ちょっとでも周辺の家具に興味を示すような素振りを見せたら、セールスの方に捕まってしまうのではないかとヒヤヒヤしながら来たのは内緒です(意識過剰)

 

入館料

600円です。

 

展示1 おもしろ椅子の数々

展示室は前半部分が家具&椅子、後半は芸術品がメインです。

家具&椅子ゾーンは撮影可能です。椅子は座って良いものとダメなものがありますので、座っていいものはどんどん座って元を取りましょう(?)

デンマークスコットランド出身の世界的デザイナーが製作したもので、スタイリッシュでおしゃれな作品が並んでおります。やはり家具は北欧なんでしょうか。

まぁしかしデザインが面白い=座りやすいかどうかは別問題な気がしますな、背もたれ痛そう(KY発言)

冒頭にも貼った、ノルウェーのデザイナーであるオプスヴィック氏による作品。「自由な使い方を受け入れてもらいたい」というメッセージを込めて、製作期間はなんと20年も掛ったそうな。

なお本人推奨の座り方はこれだそうです。・・どう考えたって落ち着かないでしょう。うたた寝しようもんなら滑り落ち、各部位にパチンコ玉のように顔をぶつけながら床まで転落すると思う。自由と死は隣りあわせなんですね(遠い目)

美術館入場口の外にあったものですが、巨大なジャイアントロッキングチェアです。

右に置いてある普通のサイズの椅子と比べると、どれだけ巨大かが分かります。たぶん3人くらい載せられると思う。

世界に10脚しか無いそうだ。むしろなぜ10脚も作ったのか・・

世界遺産登録で話題になったル・コルビジェは椅子もデザインしていたようです。背もたれがリクライニングする仕組みになっています。

あれ、意外と人間にやさしい仕様ですね。建築家は見た目の良さだけでなく、使い勝手も考えるということでしょうか。いや、デザイナーもそうだと思うのだが。

おもしろ作品が立ち並ぶ中で、どうみても普通な椅子も登場します。しかしこれ、ニューヨーク近代美術館の収蔵品らしい。デパートのレストランの待機列に置いてありそうだが。

蒸気で木を柔らかくしてカーブを作り出している点が重要だそうです。以上です。

 

展示2 ゴージャス家具と芸術作品

椅子の次は家具の名作劇場です。こちらは面白というより、壮麗で豪華な作品が並んでおります。残念ながら座ることはできません。庶民には手が届かないのです。

和風の家具もあります。3つのタンスは会津の良質な桐を使用し、職人が10年かけて完成させた最高級品です。婚礼用だそうですが、こんなの持ち込まれたら相手の家が恐れおののいてしまう。私はニトリIKEAにしておきます。

ゴージャスな婚礼道具には、ゴージャスな屏風もセットでどうぞ。見ていてこんなに落ち着かない屏風もなかなか無いと思いますが。

あとは芸術作品になります。撮影不可のものが殆どですが、数点はOKです。

絵画がメインだけれども、エミール・ガレの花瓶がありました。

ルノワール『ガブリエルとジャン』。この絵は館内に無いですが、似たテーマのものはあります)

西洋画はミレーやルノワール、キスリングといった近代画家が並んでいました。風景画や日常の一コマを切り取った作品が多めでしたね。

ゆっくり鑑賞できるよう、展示ゾーンにはソファが置かれています。座り心地がとても良いです、さすが家具店。さっき見てきたヘンテコ椅子たちとはわけが違います。

(マナブ 間部『夢No.2』)

一方で日本人画家の作品は・・先ほどまでのゆったりした雰囲気とは一転してアバンギャルド感が満載です。どうしてこうなった・・。他には智内兄助・池田茂雄といった面々の絵画がありました。

  

というわけで、面白イスと牧歌的な西洋絵画と奇抜系日本絵画が並んでいる美術館でした。美術館が得意でなくとも、変わった家具を見たい方は楽しめると思います。

あとなぜか出口のところに、巨人の原監督のサイン色紙や松井秀喜のバットが置かれていました。阪神ファンの方はここで突然ストレス急上昇して脳溢血する恐れがありますので気を付けよう。

 

おしまい

 

【滞在時間】60分

【混雑度】★★(他に数人)

【URL】村内美術館 | 家具と絵画のコラボレーション