C級スポット探索日記

C級スポット探索日記

各地の資料館・博物館・珍スポを回り倒すのが趣味です。転勤族(神奈川→埼玉→長野)

旧 林家住宅(岡谷)

長野県の諏訪と岡谷は明治時代に製糸業が盛んで、大きな工場が幾つもあったんですね。だからこの産業で大当たりした富豪が豪華な屋敷を建てているわけです。

ここもその一つ。林製糸所の経営者 林国蔵のもので1900年前後に建築されました。

岡谷駅からは徒歩5分と近いので良いですね。中央線も飯田線も本数が少ないので、待ち時間つぶしに最適である。屋敷と言っても、どうせ普通の古民家でしょ?そんなに観覧時間かからないだろう。

 

入口にはインターフォンがあるので、これを押して係員さんに見学したい旨を伝えてから入りましょう。

敷地内に入ると館がお目見え。あれ、思ったより大きくて立派だな。

入館料は580円になります。

 

館内ではガイドさんが付いて説明を受けつつ回ることになる。

んで回ってみて分かったが、館内かなり広い。さらに説明も細かく受けていると時間の経過があっという間です。私は1時間の電車待ちだったけれど、だいぶ駆け足で回ったからね。「時間潰しにちょうど良い」とか舐めた口きいてすみませんでした(敗北)

日進日露戦争の軍備は、絹製品の輸出で得た外貨でまかなったなどと言われるくらいに明治時代の製糸業は重要であった。というか他にろくな産業がなかったのだ。

製糸工場は岡谷の人々のみならず伊那や松本、飛騨高山からも出稼ぎが来ていたくらい巨大な働き場所であったし、電気やガスもその資本力で町に通るようになったので、「岡谷の人々は製糸業のオーナー一家に足を向けて寝られない」とガイドさん。

というくらい影響力を持っていた製糸工場オーナーの屋敷なので、金の掛け方が半端ない。

和室はどの部屋にも欄間があるが、宮大工の建築で凝りに凝った意匠となっている。

障子の上に彫られたコレとか珍しくて、まるで影絵のようでシャレオツ。

欄間には人の姿は普通描かれないのだが、それが描かれているのもポイントだそうです。

扉の取っ手も、部屋ごとに全て異なっているのだ。

これはトイレのもので、香辛料の模様。当時はトイレの臭い消しや防虫のために香辛料を置いていたそうなので、それを元ネタにしている。

茶室もあるんですけど取っ手はこれ。足?が妙に長いのが味わい深い。

トイレの手洗い場はこれだそうです。

ただの球体な灯篭にしか見えないんですが。

よく見ると、胴部から出ている竜の頭にひねるところが付いている。これ蛇口なのか。球体の中にあらかじめ水を入れておいて、これをひねって手を洗うのだ。

こんな感じで、何から何まで洒落ております。アイデアが素晴らしいが、いくら掛ったのかは怖くて聞けなかった。製糸商人おそるべし!

デザインだけでなく面白い機能も見ることができます。

この襖の柱の下、なにか付いてますね。

・・ボタンか?なんだかファミレスでよく見るようなやつだな。まさか・・?

そう、ファミレスで押すあの「ピンポ~ン」でした。

ボタンを押すと、女中さんがスタンバってる炊事場に音が鳴り響く。炊事場にはこんな装置があって、ボタンが押された部屋の番号が表示されるのだ。

なんという先進的システム。明治時代からあったとは驚きである。

この分だと林家の製糸工場の食堂には、ドライブスルーとか、くら寿司の皿に被せられているあの妙に開けづらいカプセルみたいなのもあったのかもしれない。

通路の上部にも意匠が施されています。

なんとクモの巣である。ここまでオシャレや先進性で押してきたのに、いきなり風変わりなデザインになった。どうした。ダレンシャンでも読み過ぎてクモの巣食べたくなったのか。

 

ガイドさん曰く、この通路の先に仏壇があるので、「仏壇のある部屋はあまり賑やかではいけない=人通りがないことを意味するクモの巣」ではないかとのこと。

でも仏さまも「クモの巣できるまえに参拝にこいや」って思うかもしれない?

2Fに来ました。来客をもてなす部屋で、柱やら何やら至る所に最高級の材料が使われているそうです。ここで商売相手と一杯やってたのではないかという説明であった。高価な部屋過ぎて杯を持つ手が震えそうである。

酒はきっと「神渡」か「高天」でしょうね(岡谷の地酒)

天井を見るととんでもないことになっていた。装飾が細かすぎる。

林家住宅1番の目玉で「金唐革紙」といい、天井と壁全面に作られています。

金色していないのに金唐革紙?って思いますが、もともとは金色してました。時の経過で剥がれてしまったようです。

これが復元したやつです。黒地に金の装飾が目いっぱい施されています。

金色に装飾された革が江戸時代に輸入されてきて凄い注目を集めたのだが、革なんてそうそう作れたもんじゃない(牛革だったそうだが、日本にそもそも牛が殆どいない)

じゃあ革じゃない代替品でどうにかしようと思い立ち、和紙で作ってしまったのだ。日本人の技術ハンパないな。

この技術は日本政府も後押しして万博に出展したりバッキンガム宮殿の装飾に使われるなど隆盛したが、現在では希少になってしまい、(たしか)9施設でしか見られないそうな。

技術者も1人だけになってしまったので、この人が居なくなったら誰も作れなくなります。じゃあちょっくら私が継承を(無理)

次に進むと、建物内なのに頑丈な蔵がある。普通は屋外にある気がしますけどね。

よほど大事な何かをしまっているのかと思ったら、「来客用の布団」とかだそうな。

どれだけ高価な布団なんでしょうか。ぜんぶ絹で作ったのかな。

最後ですが洋間もあるのです。

製糸工場は屋敷の隣に建っていたそうで、職場からお客さんを連れてくるとまずこの応接室に入るわけだ。

この部屋の隣は茶室があって、ビジネスの話を終えた後・もしくは話がうまくまとまらない時に茶室に招待してリラックスタイムにしたのかもしれない。そのまま2Fの和室に上がって宴会、相手が酔ったところで契約をまとめるとか(あくどい)

 

そんなこんだで見てたら、あっという間に時間が立つのでした。

90分以上は見込んでの来館をお勧めします。

 

おしまい

 

【交通手段】岡谷駅から徒歩5分

【入館料】580円

【滞在時間】60分

【混雑度】★★(他に2~3人)

【URL】旧林家住宅 - 岡谷市ホームページ