安曇野市 天蚕センター
「天蚕」は、野外で行う養蚕のこと。
安曇野では江戸時代から行われていて、その糸で出来た製品の美しさは「繊維のダイヤモンド」と呼ばれているのだ。
戦争が原因で一時生産が途絶えてしまったが、伝統技術を維持するために天蚕振興会が発足し、そこが資料館をやっているのです。
最寄りの穂高駅からは5kmほど。
本数少ないが、あづみ野周遊バスで「vif穂高」停留所から徒歩15分で来ることもできる。↓ リンク
あづみ野周遊バス ~ 安曇野をお気軽に - 安曇観光タクシーは長野県安曇野・北アルプスへの観光タクシー会社です
あとは駅前でレンタサイクルですかね。
入場料は無料です。まずは天蚕の概要についてビデオを鑑賞します。10分くらい。
通常の養蚕は家の屋根裏とか屋内でやるんですけど(家蚕)、天蚕はそれと対照的に屋外でやるんですね。
利用する蛾の種類が異なるからだ。家蚕ではカイコガ科に属する蛾、通称「カイコ」を使ってます。天蚕ではヤママユガ科の蛾を用いるのです。
天蚕の特徴は、繭がグリーンになることです。繭って白いイメージしか無かったけれど、あれは家蚕特有なんですな。
天蚕ではクヌギの葉をよく食べるけれど、家蚕は桑の葉を食べるという違いも影響している、とガイドさんが言っておりました。
天蚕の繭から紡ぎだされる糸は光沢を放つ綺麗な緑色です。
しわも出来づらく、優美な見た目なので「繊維のダイヤモンド」と呼ばれているわけだ。納得。
そのヤママユガさんご本人の写真です。
繭づくりを始める直前くらいの姿ですが、デカい。かなりデカい。10cm近くある。モスラの幼虫か。
これが家の中を歩いていたら結構ビビると思いますね。
生まれて間もない姿がこちらです。一番上にいますね。
館内ビデオでは彼らが動き回る様を眺めることができます。
全身とげとげだけど、頭だけはとげが無いのだ。ズル剝けにしか見えません。
生まれて3日目くらいには1cmほどに成長してこんな姿になります。8月ころに生まれ、冬を迎えるまえにモスラ幼虫にまで成長するのです。
ビデオでは「どんどん成長して姿を変えていく幼虫は、自然の神秘を教えてくれるかのようです」ってなアナウンスが流れるんだけど、優美な絹糸の後でこれを見ると「不都合な真実」な気がしないでもない。
繭の大半は熱湯に落とされて昇天しますが、一部だけ成虫にさせます。翌年の天蚕を行うため、卵を作ってもらうため。
成虫の御姿がこちらです。やっぱりでかい。手のひらサイズはある。
なお5~9月頃までは実際に天蚕センター内で飼育しているので、リアルにヤママユガを見ることができます。ビデオだけで懲りる人が多い気がしますが。
繭から糸を取る作業は一部機械化もしているけれど、わりと手作業もする。
素手でやってたら指をガンガン切る気がするのですが、痛くないのだろうか。
さて完成品も展示されています。
天蚕の糸を一部だけ使った羽織ですね。
紫の生地の中に、幾筋か光っているところがあります。これが天蚕の糸。
ところどころに光沢を与えることで、普通の織物に高級感を出しているのです。
こちらは天蚕の糸だけで織ったという着物です。
何体の繭を使ったのかガイドさんに訊いたら、「1500体くらいじゃない」と言っていた。すさまじい屍の上に成り立っていてエジプトの王族感がする。
まぁ犠牲になっているのは蛾なのでシーシェパードも国際捕鯨委員会も何も言ってこないと思います。
あの着物いくらするんでしょうね。
同様のネクタイも売っているんだけれど、このサイズで60,000円なのだ。たぶんたくさん万円かかるのだろう(思考放棄)
最後にTシャツもありますが、こちらは2,000円でした。
おしまい。
【交通手段】穂高駅からバス
【入館料】無料
【混雑度】★★(他に2~3人)
【滞在時間】30分
【URL】天蚕センター|安曇野市天蚕振興会