木祖村郷土館
木祖村の郷土資料館です。薮原駅から徒歩10分。
木祖は、木曽川の源流があるので木曽の祖、という意味だそうです。
すぐ隣に木曽町があって、読みはともに「きそ」であるから大変ややこしい。どっちかもう少し譲歩できませんでしたかね。
ちなみに県内には他にも、「松川町(伊那)」と「松川村(安曇)」が全く別個で存在しており、私は混乱したことがある。
長野県の各自治体は神聖ローマ帝国の領邦君主ばりにいがみ合っているので、このように名称でも譲れない戦いが生じているのでしょうな。
しかしこの資料館、まず周辺に人の気配が殆どない。
館の名称を刻んだ塀もツタによって覆われていて、まぁまぁ廃墟感を醸している。
当然のように建物の玄関には鍵がかかっていた。中に入れません!
インターフォンがあるので押しましょう。隣に木祖村民センターがあって、そこの従業員さんが駆けつけてきます。
いちおうこの資料館は3月~12月まで、月曜以外開館ということになっている。
実態上は「客が来たら開ける」ってところですね。それもう休館日設ける必要ないのでは。
さて入館です。中は意外と清潔であった。掃除はしているのだな(失礼)
料金は300円です。
木祖村の特産は「お六櫛」。普通に櫛ですが、お六という女性に関わる伝承があるのだ。
妻籠の旅籠で働いていた美しい乙女だったが、“頭の病”を抱えていた。神社に詣でたところ「ミネバリの木で櫛を作って毎日髪を梳かせ」とお告げがあったのでその通りにしたら、病気は治りましたとさ。めでたしめでたし。
(板をのこぎりで切って櫛の歯を作っているところ)
まぁその伝承に基づくお六櫛がヒットしたので、周辺の村でも真似して製造してたら、本家に勝る勢いで産業化したってことですかね。
あと、お六がかかっていた「頭の病」ってなんだろう。精神病や脳卒中は櫛なんぞで治らんから、偏頭痛とか脱毛症だったのかしら。ストレス多そうだね、お六。
櫛を削るのこぎり。
さっきの写真でも見たが、割と大きなのこぎりで、わずか10cm幅の板を削って100本もの歯を作るのであるから高等技術である。
薮原宿は木曽路の主要な宿場町の1つであったので、善光寺や御嶽参りの人々が通行し、土産物で買っていったそうな。木曽路を歩くのは外国人に今ウケているから、お六櫛の再ブームもワンチャンあり?
櫛の神様というのもいて、薮原神社内にある八品社に祀られている。
もしや何処かの達磨寺や招き猫寺みたいに、使い終わった大量の櫛が並んでいるのではと期待して実際に行ってみたのだが、まあそんなことはなく普通に神社であった。
木立の中にあるので、涼しげで厳かな雰囲気のところであります。 資料館から徒歩10分ちょいの位置。駅からは20分くらい。
その薮原神社では毎年7月に祭りが行われ、獅子舞が登場するらしい。
19世紀初頭に掛かれたこの図絵にその模様が書かれているのだが・・獅子舞、巨大すぎやしませんかね。
いったい中に何人いるのでしょうか。もはやパビリオンではないか。
木曽川の支流で味噌川ってのがあるんですけど、その流域に植生する「味噌川草」は薬草として使われている。
シーボルトら西洋学者の手にもわたって世界に紹介され、「ネペタ・シュブリスシリス」という学名が付けられた。あれ、味噌川要素は無かったことにされてしまった。
唐笠連判状は、何らかの重大ごとを役人に秘めつつ皆で決断するものだと思いますが、この連判状は何に使われたか分らんそうです(脱力)
ヤマセミのはく製。すごい髪型しているな。ボウイの氷室?
これで館内はおしまいです。
最後に、これは正確には郷土館と関係ないのだが、すぐ隣りに木祖村商工会の建物があって森林鉄道の車両が置かれているのだ。
木材を伐採して車両に積んで運び出すもの。
貴重なものとは思うが扱いはだいぶ雑な感じで、窓ガラスは割れているし内部はこのありさま。バイオハザードで遺棄された町の有様かな?
なお森林鉄道は今でも木曽の上松町で走っており、乗ることができます。
というところでした。
たぶん年間5人くらいしか来客無い気がするので、いつ廃止になるか分らん施設ですから、興味がある方は今のうちに行っておこう。
おしまい
【交通手段】薮原駅から徒歩10分
【入館料】300円
【混雑度】★(だれもいない)
【滞在時間】30分
【URL】