C級スポット探索日記

C級スポット探索日記

各地の資料館・博物館・珍スポを回り倒すのが趣味です。転勤族(神奈川→埼玉→長野)

松本市美術館

 

得体のしれないオブジェが立ち並んでいるのは松本市の市立美術館。

水玉模様で分かる人は分かると思うが、草間彌生が松本出身なので、この人の作品を多く展示している。

草間だけを大きく扱った常設展があるし、ほとんど毎年ペースで拡大展も行われている。

 

 

 松本の市街地を歩いていると突然こんな光景が表れるのだから、何も知らずに行った人はまずビビるであろう。

ヨッシーストーリーパックンフラワーのステージである。

 

 

www.shinchosha.co.jp

 

美術館に行くにあたって自伝を読みましたので、以下はこれを参考にしてます。

厳密な引用をしているわけではないので、正確なことを知りたい方は実際に読んでみてクレメンス(責任転嫁)

 

 

草間の作品は幼少期に見た幻想が元ネタという話。

実家は裕福な種苗業で、家の周りに花畑があったそうな。

 

普通ならメルヘンでハイジな方向に行く気がするのだが、草間の場合は「スミレの一本一本が人間の顔をして話しかけてくる」という幻想体験をしている。

そのスミレの顔が可愛らしければよかったんでしょうが、たぶんオッサンだったんじゃないか。花畑で無数のオッサンに取り囲まれて凝視される。ああ、そりゃ怖いわ。

 

これらパックンフラワーも、ただの植物ではなく独自の顔もとい意思を持って蠢いており、人間をも脅かす存在だという表現なのかもしれない。

同じく松本にルーツがある岩崎ちひろは、幼少期に花壇に親しんだために可愛らしい画風になったが、この差はどういうことなんでしょうか(困惑)

  

 

さらに草間の家庭は、父親が放蕩者・母親はヒステリーという「混ぜるな危険」の限界家庭であり、幻想について相談できる相手が居なかったのが辛かった模様。

その恐怖を払拭するお助けグッズが、草間の代名詞である水玉。

とにかく水玉で画面を埋めまくれば、自分も嫌いなものも何もかもその中に埋没して消滅するから、消えてしまえば怖くなどないのだ。はっは。

 

1mmくらいは分かるが、残りの5億光年くらいはよく分らん。

まぁひとまず、水玉は草間にとっての「怖いもの」を埋め尽くして消す手段という面があると思っておこう。

博物館も水玉だらけですが、これも怖かったのかな?

 

 

水玉は至る所に描かれております。大盤振る舞いだな。

自販機の飲み物にはさすがに付いておりません。

 

 

ゴミ箱やベンチにも。

 

 

内部は美術館なので撮影出来ませんが、入場受付に置いてあるこのオブジェだけ撮ることが出来た。

『考えるかぼちゃ』というタイトル。かぼちゃ好きねぇ。

花は嫌いなのにカボチャは平気なのかという疑問が浮かぶが、草間曰くカボチャは「醜い」ので許すということらしい。もっとも醜いだけでなくて、飾らない容姿や逞しさが加点ポイントだそうな。

 

美術館では常設展のほかに企画展もやっているのだが、草間の作品は常設展でやっているのでその分のチケットだけ買えば足りる。

常設展のみだと410円、企画展を含めると800円程度かな。

 

 

(常設展示室。美術館HPより。特集展示「草間彌生 魂のおきどころ」 | 松本市美術館

 

展示室はこのように絵画を飾る通常のものがまず1つ。

大判ものが多くて、さらに草間は紙の隅々まで描き込みまくっているので、高いところに展示されている絵の上部部分まで細かく見ていると首が攣ります。

ソファに座って休み休みしながら見ませう。

 

(画像は美術館HPから 特集展示「草間彌生 魂のおきどころ」 | 松本市美術館

 

展示のメインは2004年~2007年までつづけた『愛はとこしえ』。

連作物で10点以上あったと思う。

 

タイトル通り「love is forever」を表現しているんでしょうけど・・これは一体なんなんでしょうか。

中央にはムカデのような感じで目玉が並んでおり、毛虫なのかミミズなのか鼻のか眉毛なのか分らん物体が至る所に置かれている。

どういうこと、どこに愛の要素があるの?汝のムカデを愛せよってこと?

 

なおこの絵はまだ描かれてる要素が多い方である。

他には、無数の目玉しか書かれてない絵・人の顔っぽいものがひたすら並べられている絵というのもあった。

観客の大半は( ゚д゚)となるか、「へぇすごいわねえ(棒)」という感想を残し、2分くらいで次の部屋に進んでいった。

 

(画像は美術館HPから 草間彌生 魂のおきどころ | 松本市美術館

 

ただ展示品は絵画だけではなく、巨大なオブジェも何点か。

この部屋は一本の通路で両側が鏡張りになっており、白い水玉をあしらった赤い棒がたくさん生えている。鏡にそれが映って無数に広がっていく趣向。

 

棒は草間作品によく登場するのだが、これ陰茎の象徴らしい。

裕福な家庭でお嬢様として育てられた草間は、男性と関わる機会がほとんどなく、ある意味男性恐怖症であった。なので水玉の出番です。

 

そんな嫌いなものをわざわざ沢山生やして、さらに鏡で増殖させなくても良い気もするが。まぁ陰茎の花畑を皆まじめな顔して通っていると考えるとコミカルである。

あなたもこの無限空間の中に一つの水玉として埋没し、消滅して、それで宇宙を形作るのだ。陰茎とともに。

 

 

他にも鏡だらけのミラーボールルームとか、ドでかいカボチャのオブジェとか様々置いてあるので、草間ワールドに興味のある人には有意義な時間になるであろう。

常設展示は他にも、地域出身の書画や風景画など複数の部屋があり、全部見ると結構な量になる。私は疲れてしまったのでその辺かっとばしてしまったが。すまんな。

 

 

ところで前掲の自伝には、草間がアメリカで行ったパフォーマンスなども書いてあるのだが、中には凄まじく破廉恥なものも。

ニューヨークの大都会の中で全裸にしたモデルを登場させるとか、公然と乱交パーティーを開催するとか。そんなんだから警察のお世話にもしょっちゅうなっているのだが「お前らは芸術を分かっていない」の一言で全てぶった切る強者ぶり。「日本の画壇は私のことを理解していない」と大変お怒りであったが、これはちょっと擁護できんな(こなみ)

 

 

おしまい

 

【交通手段】松本駅から徒歩15分、バス5分

【入館料】410円(常設展)

【滞在時間】120分

【混雑度】★★★★(すぐ横に人)

【URL】

matsumoto-artmuse.jp