鏝絵 天香館
茅野駅前を歩いていたら「こてえ」なる文字が大きく書かれた建物?
「こて」って、左官工事のコテのことかしら。
そして私の知っているテンコーはプリンセス天功しか居ないんですが、一体なんの施設なんでしょうか。
入口にデカデカと描かれている絵を見ると、どうやら絵画を扱っている様子。
「鏝絵(こてえ)」とは文字通り、左官のコテを用いて漆喰で形を作り、それに着色して描く絵画。
その道で有名な左官職人 小川天香という人物が茅野出身ということで、ここに美術館が出来ているそうな。
入館料は500円。
撮影可能だってよ、太っ腹。
見た感じ、けっこう新しめの建物である。
入場して最初に目につく特大サイズの波乗り観音(たぶん違う)。
浮き彫り状になっているので立体的になり、絵と言うより彫刻のように見える。
ボリューム感があると、豪勢な感じがします。
天香さんの半生については館内で流れているビデオで学習できます。
鏝絵自体は奈良時代から寺院などで見られるそうなのだが、絵と言うより装飾品という扱いだったらしい。
それを江戸時代中頃になって「伊豆の長八」こと入江長八が昇華させ、絵画として人気が出た。
天香はその長八に憧れて左官職人を目指したが、既に長八は没していたので、江戸にいる長八の弟子に師事しようと上京。
左官職人になるためではなくて、鏝絵描きたいから左官屋になるという、この時点で絵画大好きマンである。
建築士としても一流になり、生涯は1878-1950で、明治の西欧化が進んでいた時代だから千葉県庁や帝国劇場など西洋建築に携わる傍ら、絵師として腕を磨いた。
鏝絵では成田山や上野寛永寺に絵馬を奉納しており、そんな大寺院を相手に出来るくらいだから、左官界では屈指の人物であろう。
というわけで鏝絵の数々をご覧ください。
西洋建築に携わっていたけれど、絵の方は花鳥風月というか、伝統的な日本画が題材になってますね。
野に放置のドクロ。
兵どもが夢のあと。
泳ぐ魚も躍動感をもって表現されています。器用だね、ギョギョ。
左の魚はなんでイナバウアーしてるのかが気になりますが。
全国各地で天香さんは鏝絵を描いてるようですが、どれも戦前の話なので、多くの作品が失われてしまっているそうな。
だからここに多数作品が集まっているのは、かなり貴重なのかもしれないねえ。
展示室の一部には、茅野の郷土資料もあります。
・・これも郷土資料なのかな?
茅野市出身の海軍航空部隊の人が居たそうで、その関連ネタのようです。
戦闘機の形式はこれ。
というか、ディアゴスティーニかよ!
創刊号に付いていたのかな?
そんな感じで、滅多にお目にかかれない鏝絵をドカドカ見ることが出来るのでした。
カフェもやっているようですが、開店時間は限られているようなので、要確認。
以上。
【交通手段】茅野駅から徒歩5分
【入館料】500円
【混雑度】★(誰も居ない)
【滞在時間】40分
【URL】公式サイト無し