八王子市夢美術館
八王子市にある「夢美術館」という大変メルヘンな名前の美術館に行ってきた。
この美術館では展示内容が1~3か月ペースで変わるようで、このときは↑のチラシの内容をやっていたよ。
とっくに終わっているので、宣伝にも何にもなりませんね、この記事(無能)
美術館は八王子駅から徒歩15分くらい。
ビルとかタワーマンションばかりがある通りであり、美術館らしき建物は見当たらない。
正解は、ビルの2Fに入居、である。
メルヘンチックな建物を予想して来たのに、よくみる都会的な光景で裏をかかれたでござる。
28F建ての高層ビルであり、上層階はUR都市機構が管理する賃貸住宅だってさ。
なんだかとても現実感がしますねぇ。
テーマとしては「暮らしの中の美術館」ということらしい。
高層ビルの購入費用を捻出するために仕事尽くしで、荒んでしまったタワマン住民の心を癒すためなのだろう(適当)
2Fへはエレベーターで上がりますよ。
ここが入口。
入館料は600円ですが、企画展ごとに変動があるようです。
(画像は公式HPから)
さてこのときの展示は「判じ絵」に関する物。
「判じ絵」とは江戸時代に庶民階級で流行したもので、↑の絵がそれ。
”がまがえる”が”茶”をたてている → 茶釜
と言う風に読む。
まぁ、なぞなぞである。
(画像は公式HPから)
こちらは桜の花。
だけれども、真ん中が消えている。
「さくら」の真ん中が無いので、「さら」と読む。
(画像は公式HPから)
これは「菜」が「屁」をしているので、「鍋」。
え、「なへ」じゃないのかって?
不足している濁点はイマジネーションで補うのですよ。
しかしきったない絵である。
庶民や子供が遊びでやっていたものだから、下品な方が受けが良かったのかもしれない。
江戸時代だからこそであって、文明開化後の明治じゃ受け入れられなかったのではなかろうか。
(画像は公式HPから。「歯」+さかさまの「猫」=「はこね」)
こういうナゾナゾ自体は平安時代からあったが、庶民のレベルまでそれが落ちてきたのは江戸時代になってからだそうな。
寺子屋など教育の仕組みが発生して、庶民でも文字が読めるようになったのが原因かもしれない。
判じ絵を商売とする連中も居たようで、朝に判じ絵の問題を各家に投げ込んでおいて、夕方になって解答を売るというやり方だった。
でも全然売れなかったんだと(寂)
「答えは知りたいけれど、金出してまで買わんわ」って感じでしょうね。
新聞のクロスワードパズルの答えが課金制だったら、現代でもそうなるわ。
(『年頭状絵かんがへ』。画像はおたより本舗HPより)
「判じ絵なんて簡単じゃないか」と思った人は、この文章を読んでみましょう。
年頭の挨拶状だが、ぜんぶ判じ絵だけで描いている。
(右上部分を拡大したものです)
上述の引用元ページによると、この行には
「かいれき(改暦)のぎょけい(御慶)もうしおさめそうろう(申し納め候)」と書いてあるらしい。
うーむ、一番上の貝とか牛とかところどころは分かるが、そこからこの文章を捻りだすのは無理ゲーである。
単なる謎々に留まらず、この絵が当時何を意味していたかをまず把握せねばならない。
また流行していた和歌や花柳界ネタも含まれており、様々な知識が無いと読み解くのは難しそうだ。
「判じ絵なんて簡単だ」とか言ってすみませんでした。
逆に言うと、当時流行っていた言葉や文化が映し出されているので、判じ絵は庶民文化研究の手掛かりになったりするよ。
(山東京伝による引き札。『煙草展覧会図録』より)
さっき「判じ絵の答えは売れなかった」と書いたけれど、判じ絵自体は人気です。
浮世絵師である山東京伝が、自分の店の宣伝のために引き札(広告チラシみたいなもの)を判じ絵で描いたら、めちゃめちゃ人気になって、店よりも引き札の方に注目が集まる展開になった。
出版費用かかってるんだから、店の方にも金を入れてクレメンス。
(小野恭靖『文字遊びの今昔』より)
あと判じ絵の一種?だとかで「どん字」という遊びがある。
文字と絵のコンビで考えよというもの。
例えばこの絵では「次」という字が書かれており、その下で鉢巻をした人(おっさん)が作業をしている。
答えは「男世帯(男一人の世帯)」。
「次」という漢字は、「姿」という字から「女」を削っている。
んで絵の方でも男一人で家事をしているので、男一人の世帯と言うわけ。
わからんわ!
そんな感じの、判じ絵展でした。
(公式HPより)
さて、この美術館では伝統的な芸術と言うより、若者受けしそうな内容を扱うことが多いらしい。
2019年7月からは「横山宏のマシーネンクリーガー展」を開催するよ。
一体なんのことだか分らんが、公式HPに乗っている画像みるかぎり、SF系の立体作品らしい。
ガンダム世代だけでなく、お子様にとってもアツい展示になるんじゃないですかね。
美術館さんサイドも若者側に寄って、新たな顧客層を開拓してもらいたいものである。
以上
【交通手段】八王子駅から徒歩15分
【入館料】600円程度
【滞在時間】60分
【混雑度】★★★★(すぐ横に人)
【URL】