小さな蔵の美術館
甲府駅北口すぐのところに、「甲州夢小路」というオシャレ系カフェやギャラリーが並んでいる通りがあるのだけれど、その一角に美術館があります。
「小さな蔵」っていうから和風な小型ギャラリーを想定していたんだけれど、和風でもないし小さくもないし、そもそも蔵でも無いのであった。
アンティーク・ジュエリーを扱っているそうです。
甲州夢小路というストリート自体が、山梨の宝石商である(株)タンザワが運営しているものなんだけれど、そのオーナーが30年かけて集めたジュエリーを展示しております。
(1F展示室の様子。画像は甲州夢小路HPより)
館内は撮影禁止なので画像を引用しますが、展示室は照明抑えめで、ジュエリーのキラキラ感や彩りが映える仕様になっております。
ショーケースだけでなく仕切りもガラス多めになっているので、あまり障害物が視界に入らないという意味で部屋は広く感じ、ゆとりのある雰囲気である。
私はガラスに気づかずに頭ぶつけそうになりましたが。
入場料は500円だけど、この系統の美術館にしては安い方じゃないかな。
庶民もジュエリーに触れられるよう、貴重な機会を提供しているのだ(上から目線)
(画像は甲州夢小路HPより)
アンティークということで、18世紀~19世紀頃の品をメインに飾っている。
ほとんどは西欧やアメリカのもので、ティアラを始めアクセサリーやペンダント、ブローチの数々。
ちなみに館内ではティアラの貸し出しをしていて、頭にかぶって展示室散策が出来るよ。
いかほどのお値段か分かりませんが、もしスーパー高価だったら怖くて作品鑑賞どころではなさそうなので、知らない方が良いであろう。
(モーニングジュエリー。Wikipediaから)
多種多様な宝石類が展示室に並びまくっているわけだけど、気になったやつをピックアップ。
まずは「モーニング・ジュエリー」。
朝起きて着けるジュエリー・・ではなくて、”mourning”のほう。
亡くなった人を追悼・追慕するために身に着けるアクセサリーであり、19世紀英国で主に用いられた。
なおモーニング・ジュエリー、その亡くなった相手の髪の毛を編み込んだりする。
うへー。
(ジェットを用いたジュエリー。Wikiから)
モーニングジュエリーの代表格として「ジェット」という素材が使われる。
木が炭化して凝固した化石であり、光沢のある黒色なので、ビクトリア女王がお気に入りだったそうな。
もとは木だったとは思えない、驚きの黒さですな。
アンチ・ボールド。
(ジェットの原型。Wikiから)
なお加工前のジェットがこちら。
ただの塊だし、色も少し茶色に近い気がするが、磨くことでここから大変身。
私も見習いたいものですねぇ。
スコットランドのデザインは、やっぱりスコットランドだなと思う。
華美な宝石の展示で溢れている中、ごてッとした質感と重たさ。
屈強で頑健な戦士という、まさにスコティッシュである。
でもアイルランドとの違いを訊かれると分からないかもしれない。
海外のものだけでなく、国産もあります。
日本の誇る真珠ブランド ミキモトのティアラとネックレスは、他のジュエリー以上にサイズのあるケースで堂々と展示されていた。
ミキモトの製品は明治以降、皇族のご用達商品であったそうな。
館内にもミキモトの品がありますが、「皇族の使っていたものかも」と注意書きがあった。そんな当てずっぽうで良いんですかね。
ちなみに山梨県は、意外と宝石の産地であり、全国の出荷額2割を占めている。
山に囲まれているだけあって水晶が豊富に取れ、それを研磨して宝石にする技術が江戸時代に上方から流入し、明治以降の西洋化する社会の中でジャンジャン需要は上がっていったそうな。
ここを経営している宝石会社は戦後の起業みたいだけれど、そんな流れの延長線で興隆したのかもしれないねえ。
ただ展示品の中に、山梨産のジュエリーは無かった気がするけど。
郷土の企業として、一体これはどういうことかな?(陰湿)
(2F展示室。甲州夢小路HPより)
あと2Fは版画の展示室になっていて、岡本太郎や草間彌生をはじめ有名画家の作品の版画verを飾っています。
こちらは1Fとは異なり、特に派手な演出も無く、普通に壁に作品を展示しているシンプルさである。
このときは「元気が出る版画展」という企画展だったんだけれど、岡本太郎や草間彌生で、果たして元気が出るのでしょうか(疑念)
前者は爆発しすぎているし、後者はなんだか幻惑世界に連行されそうですが。
以上
【交通手段】甲府駅から徒歩5分
【入館料】500円
【滞在時間】30分
【混雑度】★★(他に2~3人)
【URL】