C級スポット探索日記

C級スポット探索日記

各地の資料館・博物館・珍スポを回り倒すのが趣味です。転勤族(神奈川→埼玉→長野)

新しき村美術館

 

ここは毛呂山町にある、「新しき村」です。

何を言っているのか分からないかもしれませんが、ここは新しき村なのです。

新しい!

 

(公式HPより)

 

真面目に話をすると、明治~昭和にかけて活動した小説家 武者小路実篤が提唱したコミュニティです。

自ら住居を建て、食べるものを作り、自然の中で和気あいあいと自給自足な生活をしつつ、芸術的な創作活動も行おうというもの。

 

最初は宮崎県にて1918年から15人の村民により始められたが、そこがダム建設で水没してしまうことになり、1939年に毛呂山町に移ってきた。

なんで毛呂山にしたのかは、知らん。

分かったら追記します。

 

2018年時点でも、8名の村民が居住しているとのことである。

 

 

そのコミュニティの中に、武者小路実篤による絵画を展示する美術館があるので、そこに行った。

武者小路は小説家であるが、作品の中に絵画の話が頻繁に出てくるほどの愛好家であり、自身も製作していた様子。

 

 

ところで美術館の行き方なのだが、徒歩で行く場合、グーグルマップだと「武州長瀬駅から徒歩40分」と出る。

これは罠である!ワナ!

 

まずは上のマップで、Aの地点まで行ってほしい。

A地点の南側にうっすらと点線が続いていると思うのだが、これが農道となっていて、美術館まで繋がっている。

おそらくこの農道は私有地(新しき村の所有地?)であって公道では無いからマップ上出てこないのだろう。

 

 

美術館側もその問題は把握しているのか、武州長瀬駅からの道中、ところどころに案内看板が出ております。

しかし毛呂山町キャラの名前「モロ丸くん」、もうちょいどうにかならんかったかね(嘆息)

 

 

上掲マップのA地点はここです。

一瞬進入をためらう農道ですが、看板は指さしているから堂々と通りましょう。

 

 

周囲は完全に現代的な住宅街と化しているが、ここからは田畑風景である。

村の建設当初は、こんな風景がずっと広がっていたのかもねえ。

 

 

農道を抜けて、普通の道路っぽいところに出た。

道は二手に分かれているのだが、正解はこちら側です。

 

 

 

林の中を抜けていくと、最上部に載せた写真のところへ出ます。

武州長瀬駅からは20分程度。

40分も掛かりませんがな、グーグルマップめ。

 

 

美術館の外には像が飾られているが、村人による作品なんだろうか。

 

なお会員については、村に実際に居住する人々のほか、「居住はしていないけれどお金は出資する」村外会員もおります。

作品は村外会員によるものもあるそうだ。

 

 

ニワトリくん。

村は最盛期で60名の居住会員がおり、養鶏で3億円もの収入を稼いだ時期もあったそうな。

 

 

では中に入りますか。

入場料は200円。

 

 

門の上部には武者小路の揮毫が。

ググったところ論語の一説のようで、「(学問を)楽しむ者は、一番上達する」的な意味があるそうな(意訳)

 

 

楽しむ以前に、扉しまってるし中が暗いから、そもそも開いているのかどうか不安なんですが。

とりあえず貼り紙が出ているので、遠慮なく開けます。

 

受付の人もちゃんといました。

絶対居ないと思ってた(直球)

 

 

内部は美術館部分と、資料室部分に分かれているようです。

まずは資料室から。

 

 

本棚が4台ほどあり、ぎっしり本が詰まっています。

さすが、創設者の全集は揃えてるね。

 

 

全集にも色々なパターンがある様子。

というか、本棚のうち7割くらいは武者小路の著作で埋められている感じであった。

 

 

他の本も読みましょうね。

武者小路がハマっていたトルストイとかドストエフスキーがあるよ。

ロシアでは、文学があなたを愛好する!

 

 

宮崎時代を含めると、1918年から100周年を経過したわけだ、めでたい。

しかし村民の高齢化も進み、人数も減ってきてしまった。

 

そして ↓ の記事にある村民のインタビューを読むと、なんだか消えゆく感じがしますねぇ。

 

withnews.jp

 

 

 

とはいえ熱意がある村民もいた様子。

この棚には、武者小路のどの作品がどの本に載っているかを示す、索引カードが入っています。

 

 

武者小路の作品は、小説だけでなく随筆や感想、他の作家のための推薦文など細かいものも含めると、12,000点にも及ぶらしい。

書きすぎだよ。

 

それら全てについて索引カードを作っちゃった。

気合入り過ぎだよ。

 

 

奥にはTVコーナー。

 

 

壁に掛けられているのは、ゴッホのひまわりの複製。

村外会員である実業家が本物を買い求めてくれたそうだが、その本物は戦災で焼失してしまった。

絵の写真は撮ってあったので、それをもとに復元したという。

 

しかしギラギラしていて恐ろしいヒマワリである。

「花壇にこんなヒマワリが居たら嫌だ」大賞にノミネート。

 

 

ビデオはご自由にご鑑賞くださいとあるんだけれど、肝心のビデオが無いよ。

 

 

メモ書きをなんで壁に貼ってるのかと思ったら、これ武者小路の筆だった。

 

ちなみに武者小路自身は、33歳で宮崎の村を始めたときは居住していたが、40歳で離村して以降、一度も住んでいない。

だから毛呂山の方は、村外会員に留まっている。

あんた言い出しっぺでしょうが。

 

なので村外会員として、時たま居住会員に手紙を送っており、それを残してあるというわけ。

資料室は以上。

 

 

(公式HPより)

 

美術館の方は撮影禁止な気がしたので、画像でお楽しみください。

武者小路による絵画が20点ほど、遺品が10点ほど飾られていたかな。

遺品は徳利とかお茶碗だった、だいたい皆そうだよね。

 

調布市武者小路実篤記念館HPより)

 

武者小路の絵画はこんな感じ。

たしか全部が静物画だったと思う。

野菜や花を、背景真っ白でまんま描いていて、そこに詩句を加えてある。

 

(同上)

 

特にカボチャや玉ねぎが多かったな、気に入ってたのだろうか。

館内には志賀直哉であったり、画家 中川一政からのお褒めのコメントも掲載されている。

 

中川によると、「端正で正面からかいて」いるのが良いのだそうな。

確かに、真正面からどっしりと向き合ってる感じがするよね。

小学生ってこんな絵描くんじゃないかな

 

 

以上。

 

【交通手段】武州長瀬駅から徒歩20分

【入館料】200円

【滞在時間】30分

【混雑度】★(誰もいない)

【URL】

atarashiki-mura.or.jp