神奈川Cスポ探索日記

C級スポット探索日記

C級スポットを主に巡るブログです。C級スポットとは、「メジャーな観光地(A級スポット)・ちょっと変わった観光地(B級・珍スポ)ですらない、楽しめるかはその人次第の場所」という意味です。地域別カテゴリは最下段から。

お札と切手の博物館

 

お札と切手の博物館は、王子にある国立印刷局の博物館である。

 

 

国立印刷局の工場は全国に6か所あり、この博物館の隣に王子工場が位置している。

博物館自体は当時工場のあった市ヶ谷で1971年開館と結構な古さであるが、2011年にこっちに移転してきた。

 

んで印刷局が紙幣と切手の製造を所管しているので、お札と切手を一緒に展示しているわけ。

 

 

1Fはお札や切手の製造方法、2Fは歴史を扱っている。

まずは製造方法から。

 

(江戸時代のお札)

 

紙幣の作り方は版画の原理。

模様を描いた原版があり、それにインク・墨を付け、紙を押し付けて写し取る。

仕組み自体は簡単なもの。

 

 

あまりにも簡単だと、あっさり偽造されてしまうので、複雑な絵柄にしている。

まさに職人技。

 

そんな高度技術を用いて作られる原版であるが、紙幣製造のために版画され続けると、摩耗してダメになってしまう。

それが大きな問題であった。

 

 

 

それなら原版自体をたくさんつくればいいじゃない、ということになるが、原版複製技術が爆誕したのは19世紀になってから。

転写法という手段であり、金属で作った原版に、鋼鉄ロールを圧しつけて模様を写し取り、それをまた複製用板に圧しつけて、模様をつける。

話だけ聞くと簡単そうなので、なぜ19世紀まで待たねばならなかったのかと思われるかもしれないが、まぁ理由がいろいろあるのだろう(投げやり)

 

 

原版複製方法はもう一つ、電胎法というやり方があるのだが、これは電子でアレをアレすればアレになるんだって。

なるほど、完全に理解した。

 

 

よってもう原版崩壊による作り直しを気にせず、彫刻師は高度な原版を作製できる。

活躍したのはビュランという彫刻道具。

これで金属の原版をホリホリ。

 

 

やけに小さい道具だなと思ったが、刃の種類は豊富。

でもこんなキノコみたいな形で、手が滑らないだろうか。

 

(手彫りと機械彫刻のハイブリッドお札)

 

19世紀では機械による彫刻も登場。

幾何学的な紋様を幾重にも刻み、偽造の難易度はガンガンに上がった。

 

機械あるなら手彫り要らないのでは?と思うのだが、手彫りはロマンなのだろう、きっと。

 

 

原版作成とその複製技術が登場したら、あとはその板から紙に模様を印刷する技術である。

お札に凸を作ってそこにインクをつけて印刷する技術が伝統的だったが、19世紀以降は逆にお札に凹を作ってインクを流し込み印刷する方法。

 

凹版印刷の方が原版を細かく印刷できるらしく、また凹部分に入れられた沢山のインクを写し取るので、紙幣に多くのインクが載る。

載った部分はザラザラするので、触感で偽札を判別できるようになった。 

 

 

凹版印刷によって出来たザラザラを体験してみようコーナー。

 

 

きっとヒゲのあたりがザラザラしてるんでしょうね(確信)。

なおこの絵のタイトルは「陽気な酒吞み」だそうです。

そうなんでしょうね。

 

 

 

もっとも偽造防止という観点から、凹版印刷のみではなく、地紋印刷という手法を合わせて紙幣を製造しています。

 

地紋印刷の説明が館内に一切無かったのだが、この印刷手法は知ってて当たり前のものだということだろうか(焦)

 

この手法では、背景に大量のドットを埋め込んでいる。

ドットが小さければ目立たないが、大きくなると目に見えて模様を形成するというもの。

「複写禁止」とか用紙の背景に入っている場合があるが、あれはこの手法を利用している。

 

 

文字は凹版印刷、他は地紋印刷にしている紙幣。

 

文字だけが浮かび出て、あとは背景のよう。

その背景は大量の大小ドットの組み合わせでできている。

 

 

印刷の手法は、紙幣のみならず切手にも援用された。

これはさきほどの地紋印刷の一種、オフセット印刷のもの。

 

 

 

網上のドットを大量に配置して、ぴか~と配色しております。

 

 

こっちは凹版印刷の中の、グラビア印刷という手法。

 

 

 

ひし形をした「セル」を並べて形作っている。

セルは大小を自在にでき、そのためインクの量を調整しやすく、これまで以上により細かい色彩表現が可能になった。

高価な切手にはこの手法を利用している。

 

 

輪転機の模型。

 

 

いっぱいボタンがあるが、一番下のスタートを押すと、模型が動き出す。

他のボタンを押しても、ただ模型の該当部分が光るだけで、あとは微動だにしない。

 

まずは上段のボタンを押す→模型が動かないのを見てポカーン→ハッとしてスタートボタンを押す→模型が動き出して、安堵する

 

というのが見た感じ、観覧客の大半のパターンです(経験談

 

 

透かしは、13世紀のイタリアで始まったもの。

日本に入ってきたのは17世紀という記録がある

 

しかしこの透かし、「ツカレ」にみえるな。

きっと私が疲れているのだろう(老人)

 

 

紙幣の中で、紙の厚さが薄い部分を設ける。

紙が薄い=光を通しやすいので、その部分に模様を描いて光にかざせば、模様が浮かび出るという仕組み。

これを「白透かし」と呼ぶ。

 

一方で紙に厚い部分を設けて、そこを利用したのは「黒透かし」と呼ぶ。

 

(1885年のお札)

 

黒透かしがこれ。打ち出の小槌みたいなのが浮かんでいる。

 

なお「すき入紙製造取締法」という法律により、国立印刷局以外による黒透かしは禁止されている。

紙幣に利用されている技術なので、偽造防止のためということだろう。

そしてその一環か、黒透かしのやり方については殆ど展示が無く、ネット上でも情報が見つからない。

おお、こわいこわい。

 

 

 

白透かしはこれ。白トンボ。

こっちは禁止されていないので、一般人が透かしを作るときは白透かしを用いている。

ただし紙幣や収入印紙と同じ紋様の白透かしを作ることは、さっきの法律で禁じられています。

 

 

 

というのが製造方法でした。

展示を読むのが面倒な人は、上映されているビデオをみればいいんじゃないかな。

 

 

紙幣に仕掛けられている様々な策を体験できるコーナー。

 

 

いきなり日本の紙幣では無いのだが、海外ではポリマー(プラスチック)紙幣を採用している国がある。

紙幣用の紙を漉くときに、合成樹脂を混ぜることでこうなる。

 

丈夫で汚れに強いというメリットはあるが、静電気が発生しやすいらしい。

冬、お金さわれないじゃん。

 

 

こっから日本の紙幣。

まずは透かし。

真ん中に肖像画がもう一つ出てきている。

 

 

それだけなら有名な話だが、肖像画の横に線の透かしも入っている。

千円札は1本、5千円は2本、1万円は3本。

 

 

 

お札にマイクロサイズの文字が入っているので、それを顕微鏡で見るところ。

なお、このお札は私のです。

入場無料だからといって財布なしで来ると、このゾーンは楽しめないので注意。

 

 

 

顕微鏡でズームすると、たしかに微細な文字が入っている。

直ではただの線にしか見えないレベルだろう。

 

 

マイクロ文字はいろんなところに隠されています。

 

 

 

この中にお札を入れてボタンを押すと、ブルーライトが光ってお札の特殊照明インキが浮かぶというもの。

お札は自分のですよ(念押し)

 

 

 

いろいろ光ってますなぁ。

 

 

異なる角度から光を当てると、別の模様が浮かび上がるというもの。

これは箱の中にすでに札が入れられています。

給料日前で現金無いお父さんも安心。

 

 

5千円札の場合は3パターンある。

これと、

 

これと

 

これ。

この仕組みは知っている人、多いんじゃなかろうか。

 

 

 

1億円の重みを思い知れ、というもの。

まぁ10kgなんで、大したことないですね(富豪並感)

 

 

2Fでは紙幣の歴史を扱っています。

 

 

紙幣が最初に登場するのは、10世紀の中国(宋)で、交子と呼ばれた。

ただこの時点では、通貨と言えば金銀などの金属類であるため、交子は「金銀の預かり証」でしかなかった。

 

金銀を補完する立場というのは、20世紀に金本位制が廃止されるまで続く。

西欧でも17世紀に紙幣が出回るが、金銀を実際に持っていると盗難の恐れがあるので、手元に置くのはその交換券という考えである。

 

 

わが国最古の紙幣は16世紀の山田羽書。

伊勢神宮の付近の商人たちが、小銭預かり証として発行した。

 

 

 

江戸時代では金銀などの貨幣が本来の通貨であったが、各藩は独自に、金銀と交換できる紙幣=藩札を導入。

幕府的には「公式の通貨である金銀を使え」とお怒りであったが、財政に余裕のない藩は金銀を調達するために藩札を発行し続けた。

 

だから藩札はあくまでローカルルールであり、一瞬で無価値になる危険性があった。

実際に紙くずになったこともあり、そうなると当然人民は激おことなり、打ち壊し不可避。

 

 

さて、グーテンベルク活版印刷が15世紀に西欧で生まれると、紙幣はそれで製造していた。

しかし古い技術だから時間がかかる。

そこで1800年に出たのが、スタンホープ印刷機

 

 

 

やり方は活版印刷と同じ版画方式で、Aに原版・Bに紙をセットして畳み込み、上から圧することで印刷する。

この「圧する」のが、活版印刷では何度も原版と紙を押し付けねばならんので面倒だったのだが、スタンホープ印刷機ではその名も「スタンホープ・レバー」を引くだけで

あっさり出来るようになった。

 

印刷スピードは、活版印刷に比べて倍に!

でも機械の、それもレバーに自分の名前つけるのって、どういう気分なんでしょうね。

そして紙を挟むところの名称は「チンパン」、馬鹿にしてるんかワレ(逆ギレ)。

 

 

youtu.be

 

グーテンベルク活版印刷のやり方はこちら。

動画時間6分もあるので、それだけ活版印刷は時間がかかったことを示している(迫真)

 

 

 

 明治維新になりました。

とりあえず政府は全国の通貨を統一したいので、この「太政官札」を発行。

わが国最初の、全国流通する紙幣である。

 

しかし庶民は紙幣の使い方をそもそも知らなかったので、あまり広まってくれなかった。

ようやく広まった頃になると、今度は偽札が横行して大騒ぎ。

 

 

次は勝つ!ということで、政府は国立銀行を全国に153設置。

偽造だらけの太政官札なんかは止めて、国立銀行紙幣を導入。

しかし価値は暴落し、またしても機能しなかった。

 

この頃、まだ税制度が固まっておらず、政府の歳入が安定しないので、とにかく紙幣を発行することで支払いを行っていた。

それが西南戦争勃発により、戦費がかさんだ政府は紙幣を大量発行。

当然のようにインフレになっておしまい、ということ。

 

 

 

 

ところで太政官札が偽造されまくったように、日本の紙幣製造能力はぺーぺーだったので、明治初期は外国に発注していた。

しかし国家としてそれはどうなのかという話になったので、国産へシフトする。

 

1876年に東京大手町に工場ができ、1877年に出来た国産第一号が、この紙幣。

水兵が2人ならんでいる。

 

 

 

国産化にあたっては、イタリアからのお抱え外人キヨッソーネを中心に行われた。

1881年に初の肖像入り紙幣ができ、モデルは神功皇后だったのだが、イタリアンが製造したおかげで日本人というよりも、どこのメディチ家ですか感が強い。

 

 

 

1882年に日銀が設立、紙幣の発行権限を握る。

 

紙幣の名前も「国立銀行紙幣」から、「日銀兌換銀券」にかわった。

このときは銀本位制を日本は敷いていたので、銀と交換できる券という意味である。

1897年から金本位制になったので、それ以降は「日銀兌換券」とまた名称チェンジ。

 

しかしこのサイズの紙幣だと、よほど財布はデカかったと見える。

 

 

当時の肖像として紙幣に描かれた人たち。

天皇家を肖像とすることは恐れ多いので、天皇補佐した人をピックアップしている。

 

 

 

1927年、昭和金融恐慌が発生。

当時の大蔵大臣が「あの銀行潰れるって言っちゃったねぇ」と某国のサッカー協会じみた失言をかましたため、みんな一斉に銀行から預金を引き揚げる騒動が発生。

 

 

銀行から紙幣が消えて、お金の流通がぶっ壊れる危機だったが、政府は2日間全国の銀行を休業させ、その間に印刷工場を限界まで回転させて大量に紙幣を印刷し、紙幣不足を回避した。

 

あまりにも急いだので、紙幣の裏側は真っ白であった。

 

 

戦後、「紙幣に書かれる人物から天皇家関係を外すように」GHQから指示があり、肖像メンバーの入れ替えが行われる。

日本の開国・民主化に関わったり、勤勉の象徴が選ばれる。

ただなぜか聖徳太子だけは天皇家関係にも関わらず、禁止されなかった模様。

 

 

戦時中に大手町の印刷工場は破壊されてしまったので、しばらく紙幣の発行は民間へ依頼。

このとき発行された紙幣をA券という。

 

印刷工場が復活して、1950年から発行し始めたB券がこれ。

 

 

その後、印刷機を新調して製造開始したのがC券。

枠のデザインを取っ払っているのが特徴である。

これについて印刷局は「軽快で開放的で斬新だ」と自画自賛のコメント。

 

 

1984年からはD券シリーズ開始。

2000年には沖縄の守礼門をモデルとする2千円札が登場し、人物だけがモデルではないボーダーレス化をアピールした。

 

 

 

 

現在使われている野口英世樋口一葉は、E券シリーズにあたるそうです。

 

 

 

番外編。

イノシシが紙幣に登場していたことがあるそうな。

 

 

 

小さいが、たしかにイノシシが枠の片隅を走っている。

 

 

縄文時代にもイノシシの土像を作るなど、なぜか愛着を持たれている動物である。

じゃけん鍋にしましょうね。

 

 

世界各国の通貨です。

 

 

レートが書いてあるけど、イランおわってんなぁ。

 

 

 ベリーズはなぜか10ドルに金箔をはってしまった。

どうしたの?

 

 

 

ここで紙幣はおしまい。

あとは切手。

 

 

ただ小さくて見えづらいので、虫眼鏡が用意されています。

 

 

世界最古の切手、イギリスの「ペニー・ブラック

1ペニーで、黒いので、そんな名前。

ブラックって名前が格好いいですね(中二)

 

 

 

日本で最初の切手は1871年です。

 

イギリスもそうだが、切手の登場以前に郵便制度はすでにあった。

それを料金の一律化・前払い制の導入という形で、切手が登場したのである。

 

 

外国郵便用切手は、だいぶデカいっすね。

 

 

世界初の記念切手は、意外にもペルー。

広く流通する切手なので、宣伝・啓蒙効果を狙っての事らしい。

 

 

 

日本でも発行されています。

 

 

 

ナショナリズムを喚起するものが多いようだ。

 

 

シャレオツなグラビア切手。

 

 

関東大震災の直後に発行された切手は、外のギザギザが無い。

機械こわれてしまったのかしら。

 

 

ここからは変わった切手シリーズ。

注目したいのはハリポタではなくて、切手の端に書かれているforeverの文字。

これは郵便料金が変化しても、この切手で出せることを意味している。

 

 

 

切手でぬり絵をしております。

そんなにやりたいんですかね。

 

 

逆に真っ白な切手。

ただよく見ると、文字が書かれており、意味は「私たちの未来はまだ白紙」ということ。

なにいってんすかね(無慈悲)

 

これ2枚ともオーストリアです。

君らコーヒー飲み過ぎたんじゃないかな?

 

 

 

フィンランドはシールになっており、もうわかんねぇなこれ。

 

 

現時点で世界最大の切手がこれ。

てっきりブラジルの切手かと思いきや、ニジェールのらしい。

ワールドカップ出られるようになってから、作ったら良いんじゃないかな(提案)

 

 

コルク生産世界一ィなポルトガルは、コルクの切手。

お洒落ですねえ。

 

 

 

最後にトリニダードトバゴ

切手に種が付録でついている。

ハイビスカスティーに使うので、これで茶でも飲めということだろう

つ 茶

 

 

てな感じで、盛沢山でした。

ちゃんちゃん。

 

以上。

 

 

【交通手段】王子駅から徒歩5分

【入館料】無料

【滞在時間】120分

【混雑度】★★★★(すぐ横に人)

【URL】

www.npb.go.jp