神奈川Cスポ探索日記

C級スポット探索日記

C級スポットを主に巡るブログです。C級スポットとは、「メジャーな観光地(A級スポット)・ちょっと変わった観光地(B級・珍スポ)ですらない、楽しめるかはその人次第の場所」という意味です。地域別カテゴリは最下段から。

紙の博物館

 

王子駅ちかくの飛鳥山公園にある紙の博物館です。

 

 

この地域には戦前に王子製紙の工場があり、国内市場をほぼ独占する国策会社だったが、敗戦後にGHQにより「大企業は散れ」と命じられて複数社に小分けされた。

ただ王子製紙の誇らしさを記録するため、史料室としてこの地に残したものである。

現在は公益財団法人化。

 

 

 

館内は撮影可能です。

受付で聞きました。

 

 

チケットは券売機制。

上に乗っているのは何だ。

 

 

入場料を払って、受付右手にある展示室へ。

建物は4F建てですが、ここは2Fです。

 

 

ここでは紙の製造工程の基礎知識を展示しているが、パネルおおいなぁ(嘆息)

 

 

壁の上方になにか貼ってありますが、世界最大級の幅である紙だそうです。

横幅です。933cmあるそうです。

写真が黄ばんでいるのは、館内の照明がそんな感じだからです。

 

 

さて紙の作り方。

木材から作られるわけだが、丸太そのまんま持ってくるのは面倒なので、基本はチップの状態にして輸送している。

 

 

スギもあるので、花粉症勢は激おこ待ったなし。

 

 

木材チップを輸入する専用船、の模型。

「新本州丸」という名前だが、担当航路はアメリカと釧路間だった。

本州行かないんですか(当然の疑問)

 

 

緑色の部分からチップを船倉にしまうそうな。

 

 

紙づくりに必要なのは木材の繊維であり、他のものは別に要らんので、分離します。

薬品と一緒に煮ることで、繊維以外の物質を溶かすことができる。

これを蒸解窯という設備で行っている。

 

 

薬品が左。煮たあとの廃液が右である。

廃液はまとめて燃焼するのだが、その際に発生する蒸気を利用して火力発電をし、製紙工場の電力として供給している。

 

 

この蒸解窯という設備が、想像以上に巨大である。

模型はスウェーデンの蒸解窯だが、高さ25mくらいある模様。

 

 

内部の略図もあるけど、読んで理解できる観覧者は居るんだろうか(反語)

 

 

取り出した繊維を洗浄して、パルプができました。

薬品を使ったので、通称「化学パルプ」。

 

元木材なので茶色なのだが、白いパルプは漂白しており、印刷用紙になる。

 

 

パルプは古紙からも作れます。

というか日本では原料の6割を古紙が占めている。

 

 

古紙の場合はパルパーというミキサー的な機械でかき混ぜてペースト状にします。

 

 

 

古紙はインクを含んでおり黒ずんでいるので、白に近づけたいときはフローテーターという機械にかける。

空気の泡でインクを浮かして除去するもの。

 

 

そして古紙パルプのできあがり。

黒い方はインク除去していないやつで、白い方は除去したもの。

 

 

薬品を使わずにパルプを作る方法もあります。

このグラインダーという機械は、丸太を豪快にすりおろしてパルプにする。

 

どこに、丸太セットするんだ?

下段中央の筒みたいなところだろうか。

 

 

ちがった。

 

 

この腕のところに入れるらしい。

腕は3本あるから、丸太3本まで同時にできる。

 

機械オンリーでパルプを作るため「機械パルプ」と呼ばれるが、木材に含まれている繊維以外の不要な物質までパルプになってしまうため、機械パルプで作る紙は長持ちしない質になる。

だから新聞紙に利用されるのが常。

 

 

各パルプを比べてみました。

色以外の違いが分かりませんねぇ(思考放棄)

 

 

そんでパルプを紙にしないといけない。

まずパルプを刃でずたずたにして、ささくれ状態にする。

これで繊維同士が絡まり、紙づくりがしやすくなる。

 

 

ペースト状のパルプを、ワイヤーに広げて、プレスしたりドライヤーしたりで水分を飛ばして乾燥させ、最後にリールで巻き取ったときには紙の完成です。

おめでとうございます。

 

 

模型。

ドライヤーは直径3m以上あるヤンキードライヤー。

アメリカにおける英国移民がティッシュ製造で使っており、英国移民の通称が「ヤンキー」だったので、こんな名前になっている。

 

 

 

実物。まさにヤンキー(適当)

 

 

 

模型もあります。長い。

 

 

紙も種類はいろいろあるが、使用するパルプが異なったり、最後に一作業加えたりするくらいで、基本的な工程は同じである。

 

 

紙パックの飲み物は紙の味が液体に溶け込んでしまうから不味い、と『美味しんぼ』に書いてあった。

 

 

切符などの磁気記録用紙は、紙に磁気性粉末を付けてある。

しかしなぜ飯田駅からの切符なんだろう。

 

 

シール。

 

 

初代過ぎて、もう見かけないイラストである。

 

 

機器に組み込まれている基板も、原紙は紙である。

樹脂や銅箔を紙に載せて加圧したもので、絶縁性・強度がある。

 

 

というのが製紙工程なわけだが、知識0の状態で見たので、理解するまでにだいぶ労力を費やしたのであった。

 

 

 

そもそもパネル展示でなくて映像で見せた方が早い気がするんですが。

 

やはり紙の博物館なので、展示も紙質で行うポリシーなんだろうか。

 

 

椅子まで段ボールで作る徹底っぷりである。

 

 

 

階段をあがって上の階へ。

 

 

 

映像がまたあるけど、下の階で見たのと同じやつだった。

下が混んでたら、ここで見ればよい。

ただこっちには椅子が無いけど。

 

 

繊維があれば紙は作れるので、いろんな繊維から出来た紙を置いています。

 

 

照明位置の関係で陰ってしまっすみま煎餅。

この紙は何から出来ているのかな。

 

 

バナナだった。

 

 

こっちは?

 

 

なんとゾウのフンである。

消毒されていて臭いもないそうだが、私は遠慮しておきます。

 

 

質問コーナー。

紙に書いてぶら下げておけば良いらしい。

やっぱり紙。

 

 

そのうち回答が展示されます。

やっぱり紙。

アンチ・ペーパーレス化だな。

 

 

あの変なキャラは、ペーパーマンというらしい。

紙要素を全く感じませんが。

 

 

ゾウのフンに喜んで質問する子供は多そうである。

フンの繊維から紙を作るには、それこそ大量のクソが必要になるので、ゾウだけでなく他の動物のクソもドバーッと集めるらしい。

 

 

このフロアを見終わったので、階段方面へ。

 

 

 

館長室がある。

 

 

館長室のすぐ正面はトイレだけど大丈夫なんですかね、威厳的な意味で。

 

むしろトイレにすぐ行けるから喜んでいるかもしれない、館長。

 

 

 

最上階の4Fでは、紙の歴史を扱っている。

 

 

みんな知ってるエジプトのパピルスは、パピルス草の繊維から作っている。

パピルスを描いたパピルス

 

 

パーチメントは動物の皮でBC2世紀頃から登場。

子牛の上質なものはヴェラムとも呼ばれた。

数があまりない貴重なものなので、重要文書に使われる。

 

 

メソポタミアでは粘土板。

エジプトからパピルスが伝わったり、パーチメントが登場すると、重い粘土板は誰も使わなくなった。

熱い掌返し。

 

 

これは貝多羅。

貝ではなく、ヤシの葉でつくった冊子である。

 

フナクイムシといい、「貝です詐欺」は結構あるようだ。

 

 

 

太平洋の島々では樹皮に書いており、これが中南米にも伝わって、マヤやアステカで使用されている。

 

 

いよいよ紙の誕生。

教科書では後漢の105年に蔡倫が発明したとされているが、実はそれより古い紙が発掘されており、蔡倫はパイオニアで無いことがバレてしまった。

 

 

日本では7世紀時点で既に製紙が行われており、伝来はもっと古いものと思われる。

平安時代には「紙屋院」という技術センターも発足。

 

 

和紙の原料は楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)という強固な繊維。

名前よめないって。

 

 

 

ちょうど企画展で、和紙の作り方の漫画を展示していた。

18世紀に島根で書かれたものだそうな。

 

原料となる木を蒸しております。

 

 

蒸した後は皮をはぎ、乾燥。

水に浸してまた皮をはぐと、白い皮が出てくる。

 

 

 

白い皮から不純物を除くため、煮ます。

木材チップを煮込むのと同じ作業である。

 

 

 

煮終わったら川ですすいで不純物を取り除き、現代でいうパルプの完成。

これを叩いてずたずたにし、繊維同士が絡まるようにする。

 

 

粘液を混ぜた水が入っている桶(漉き舟)に繊維をいれてシート状になるように広げる。

現代のワイヤーに広げるのと同じ。

 

現代であればこの状態でプレスして水分を絞り上げるが、ただこちらは紙1枚大の漉き桁で繊維をすくいあげる。

 

 

 

天日に干して乾かせば、完成。

めでたしめでたし。

 

なお紙漉き技術は口伝だったので、この解説漫画は大変貴重なものだそうな。 

 

 

繊維はこの棒で叩いておりました。

 

 

和紙はシーボルトが大喜びで海外に紹介するなどで評価も高かったが、明治時代以降は洋紙が取って代わるように。

地券など公的書類も洋紙となり、使用量ではダブルスコアの差をつけられてしまった。

 

 

しかし和紙の品質が良いことは変わりなく、無形文化遺産にもなったし。

エドウィンジーパンの素材に和紙の繊維を使うなど、変な方向でまた取り上げられるようになった。

 

 

これは1987年製だが、歌舞伎の衣装にも和紙が用いられている。

 

 

いろんな紙に触れるゾーン。

 

 

案の定、ところどころ破れているところがあるが、なに気にすることはない。

君が破りさえしなければ。

 

(西洋発の紙すき機械)

 

ところで西洋の方でも製紙技術は伝わっていたのだが、木材を使えるということを知らなかったので、ボロ布を使っていた。

15世紀に活版印刷技術が出来ると紙の需要が急増したので、ボロ布が足りなくなって必死に探す羽目になったらしい。

ボロ布バブル。

 

 

18世紀にフランス人レオミュールが、スズメバチが木材で巣を作っているのを見て、「木材の繊維で紙が作れるよ!」と皆に教えてあげたのだが、誰も構ってあげなかった模様。

木材を使った製紙が始まるのは、1世紀たった後であった。

 

まぁ冷静にスズメバチの巣を眺めている辺り、ちょっとズレている人だったのかもしれない、レオミュール君。

 

 

4階の展示も終わったのだが、1階がまだ余っているのだった。

 

 

 

石碑やら門扉がドカドカまとめられている。

 

 

ひときわ目立つ門は、明治時代に創設されたパピールファブリック社のもの。

近代製紙技術を持つドイツ人を招いて、京都に設立されたが、現在では工場閉鎖したので、あまった門扉をもらったのであろう。

 

 

1階は講義室になっており、紙漉き体験コーナーをやっている模様。

展示は特にこれ以上ないので、おわり。

 

 

入口に戻ってみたら、売られている段ボール机と椅子を発見した。

安くはないな。

 

以上。

 

【交通手段】王子駅から徒歩10分

【入館料】300円

【混雑度】★★★(一部屋に数人)

【滞在時間】2時間

【URL】

www.papermuseum.jp