中野陣屋・県庁記念館
長野県中野市の、陣屋跡 兼 県庁跡です。
飯山~千曲を結ぶ「谷街道」や、群馬県草津へ続く「草津道」などの街道があったという中野。
人の往来の多さに目を付けたのか、江戸時代には幕府の天領になっている。
そして天領当地の責任者と言えるお代官様の役所(陣屋)が置かれたのが、この土地。
草津に向かう道はどれもこれも「草津道」って言われるので、一体どの草津道を指してるんですかね。
たぶん現在の国道292号だと思うが、これは新潟県から続いている道なので、ケッコーな往来があったことが予想される。
よく磨かれたフローリングなので、靴を脱ぐべきか一瞬慌てたが、土足のままで構いません。
まずは入館してすぐ右手の部屋。
ここは常設展で、中野のこれまでの展開を説明している。
スタンプ台。
ただの記念スタンプと思いきや、役所の印だった。
江戸時代の陣屋以降、各時代の役所で使われていたものである。
押すだけで偉い気分になれそうな、壮大な印ですねえ(小人物並感)
現在の地形に、過去の建物の位置を示した模型。
ちょっと旗たてすぎじゃないですかね。
とりあえず思いつくところは立ててみた的な感じである。
さて江戸時代は天領として過ごした中野くんだが、明治時代になると信濃の天領は全て伊那県として括られることになる。
今でこそ中野も伊那も長野県になっているが、さすがに当時は「双方の距離が遠すぎる」と考えたようで、東北信は中野県として独立することになった。
なお中野県はあくまで旧天領なので、諸藩が所有していた部分は他の県になります。
だから飛び地がすごいことになってるな。
こうして1870年の10月に中野県が発足したわけだが、その直後に中野騒動なる暴動事件が起こる。
新しい県庁に赴任した高石という大参事(今でいう副知事)は近代的な課税制度を連発。
しかし幕末期からの混乱で生活が疲弊していた農民たちはこれに怒って蜂起。
富裕層の家を打ち壊し、県庁も焼き討ちにあってしまい、高石大参事は松代藩に匿われることになる。
いやーまさに大惨事ですねえ(どや顔)
こんな蜂起を新政府が見逃すはずもなく、速攻で鎮圧がなされ、死刑を含む罪人は150人程度。
しれっと拷問道具が展示されております。
まぁ一揆に走った農民たちにも同情すべきところはあるということで、市内には仏さんが祀られていますが、そんなことしらない子供たちの遊び場になっているとのこと。
一揆は収まったが、建物は灰になっちゃったし県民怖いしということで、翌年に県庁は長野に移されて長野県と言うことになりました。
中野県が存在した期間は僅か11か月。悲しいなぁ。
この騒動が無ければ今でも中野県となり、この地は発展して中野新幹線が通ってたりしていた可能性が微レ存。
まぁ長野市街と比べて余りにも山だらけなので、結局長野の方が発展してそうですが(直球)
よろい。
この辺は上杉家の所領だったのでその関係かと思いきや、友好都市である大分県竹田市から寄贈されたものらしい。
ズコー。
となりの資料室。ここからは企画展です。
このときは馬具コレクションということで、馬関係がぞろぞろ置かれている。
市民にコレクターが居て、その人から寄付されたものなんだと。
地元の人のコレクションをそのまま飾るなんて、平和なところですねぇ。
しかし寄付されたコレクションは3千点にも上るそうだ。
コレクターはすでに故人だが、石油店の経営者。
オイルマネー恐るべし。
コレクションよりもオイルマネーそのまま寄付してくれよ、と中野市役所が思ったかどうかは不明である。
これはたぶんコレクター自身の子供を遊ばせるために買ったものだと思うのだが、そこも馬で徹底している。
おまけに、コレクター本人が使っていた旅行かばんまで展示されている。
もう馬具ですらない。
あと来館者ノートが展示室入り口に置いてあったけど、ペンがまさかの筆ペン。
何十年ぶりに見ただろうか。
なにげにキュウリの置物も個性があって気になるところ。
1Fにはもう一部屋あるよ。
ここも企画展。
なんだか野球グッズが大量に並べられている。
だいたいは古いと思うが、大谷もあるな。
イチローが特に多いけど、別に中野の出身じゃないよなぁ。
これまた昭和っぽい野球グッズ。
野球カードは今でもあるかと思うけど、さすがにこれらはもう当たらないだろう。
映画撮影をこの付近でしたようで、その関係らしい。
この資料館はこうやって、地元の人の蒐集品を飾るのがメインなんだろうか。
そういえば中野県庁は焼け落ちてしまったわけですが、1936年に中野町役場が建設され、それがこの建物となっております。
新庁舎に移転した際に、資料館として残した模様。
さーて、2階にはなにがあるかなー?
ぜんぶ馬具だった。
寄贈されたコレクションは三千点あるんでしたね、ああそうですか。
1階に置いてあったのはほんの片鱗でしか無かったと知る。
鐙とか、本格的な馬具がぽこぽこ。
かの有名なベラスケスの絵の複製で、王子が主役だと思うのだが、たぶん馬目当てで買ったのであろう。
インドの馬タクシーで使われる鐙。
骨まで集めている。
酒器らしい。
黄色いつっかえ棒のところから注ぐのだろうか。
それ難しくないか?
人形ぞろぞろ。
ふにゃふにゃしてそうだが、笛。
アフリカの葬儀で使われる。
ギャグマンガ日和に出てきそう。
蹄鉄あつめてどうするんですかね。
馬糞石。
机の上に置いておくと、背後から襲ってくる輩を映して危険を教えてくれるという言い伝えがある。
別の馬糞石が「なんでも鑑定団」で30万の値を付けられていたが、ヤフオクで2000円くらいで売っているものもあった。
良い糞もあれば、悪い糞もあるのだろう(適当)
以上おしまい。
割と広めの館内で、他の資料館でやらないような展示物を自由にやっている印象であった。
次回の企画展も、きっと地元の人から何かネタを仕入れてきて、他郷からの観覧者をぽかーんとさせてくれるはずである。
【交通手段】信州中野駅から徒歩15分
【入館料】無料
【滞在時間】60分
【混雑度】★★(館内にもう2~3人)
【URL】