C級スポット探索日記

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各地の資料館・博物館・珍スポを回り倒すのが趣味です。転勤族(神奈川→埼玉→長野)

茅ヶ崎ゆかりの人物館

 

 

茅ヶ崎にゆかっている人物を知るための資料館です。

入場料は200円。すぐとなりの開高健記念館と合わせると300円なのでセットでどうぞ。

 

2棟からなっており、正面にあるのが展示室。

左側のがイベント用の多目的館である。

 

 

 

開館は2015年2月と、ずいぶん新しい。まーた余計な箱モノを(略)

常設展は無く、すべて企画展である。半年ペースで内容を変えている様子。

というわけで以下書いている内容は、もう展示されておりませんがね。気にしないでクレメンス。

 

 

 

高田畊安 画像は茅ヶ崎市のチラシから)

 

戦前の結核病医師である高田畊安(たかたこうあん。1861-1945)と、彼が茅ヶ崎に建てた結核専門病院「南湖院(なんこいん)」についてである。

「タカダ」じゃなくて「タカタ」ですよ。ジャパネットのほうね。

 

高田は東京帝大の医師であったが、兄を結核で亡くしており、自身も感染しながら一命をとりとめている。

こうした経験から、結核の専門病院を都内に新設する・・のだが結核って空気感染だからご近所さんは嬉しくないわけです。引っ越し!引っ越し!さっさと引っ越し!

 

また患者の療養のためには良い自然環境が不可欠なので、こんな騒音おばさんと汚い空気の東京ではそもそも治療は難しいのだ。

なので当時ど田舎(直球)だった茅ヶ崎に分院として1899年「南湖院」を建設する。

 

 

(画像はウィキから)

 

上の画像は設立から27年たった1926年頃の南湖院空撮ですが、一面に立っているのは殆どが医院の建物で、それ以外は山とか野原であり、茅ヶ崎の都会っぷりが分かっていただけると思う。

 

ちなみに医院名はこのあたりの「南湖(なんごう)」という地名に由来するのだが、高田先生は濁音がなぜか嫌いであったらしく、「なんこう」と呼んでいたので、そのまま「南湖院=なんこいん」とされた。

きっと高田自身が「たかださん」と名前を間違えられまくったため、濁音に対するストレスマッハGOGO状態だったのかもしれない。

 

そんなんで始まった南湖院だが、高田はもともと国内での結核治療の第一人者であったため、けっこう上流階級の患者が療養に来たそうな。 

最初の患者は妻の祖母だったが、この人は勝海舟の妻であった。ほかにも国木田独歩ご本人、平塚雷鳥の親族、特高警察の課長、草野マサムネなどなど。

 

 

(治療の風景。画像はウィキから)

 

そういうわけで南湖院は知名度を高め、病院の規模も拡大。最初は5000坪でやっていたが、最盛期には5万坪もの巨大敷地を有していた。 

衛生面では細心の注意が必要となるため、洗濯機や乾燥機はわざわざドイツで購入、独自の下水処理施設を整備し、看護学校を設立して看護師の養育を強化した。

ついでに気候観測所まで建てているのは謎だが、きっと温度や湿度が患者の肺に影響するんでしょうね。

 

地方からも患者が受診に来たが、入院するための財力の無い者は周辺にある下宿に滞在した。医療従事者も多く居るから、自然と企業城下町みたいになり、ど田舎だった茅ヶ崎は発展していくのである。

つまり茅ヶ崎の今日の発展の礎は南湖院にある!のだそうです。

 

ところが1927年に鉄道省によって茅ヶ崎海岸が海水浴場に指定されると、地元住民は病院の存在を疎い、反対運動を始めるのだ。なんという手のひら返し。

高田先生は地元の説得を続けるも、1945年2月に死去。5月には海軍により南湖院は接収され、8月に終戦となると今度は在留米軍の駐屯地とされ、以後1956年まではキャンプ・チガサキとして利用される。

 

(現在の南湖院敷地内にあるかつての病棟)

 

キャンプ茅ヶ崎は1956年に接収解除されて戻ってきたのだが、終戦から10年、すでに結核治療技術は確立されて、このような療養所は不要な時代になっていた。

土地を引き継いだ高田家はしばらく貸別荘として収益源にしていたが、さすがに5万坪もある敷地はデカすぎるので、多くの部分を売り飛ばし、残りを老人ホームとして運営。

 

この施設は現存しており、敷地内にはかつての南湖院の病棟が残っていて見学もできるのです。

 ↓ これ

lovingcspot.hatenablog.com

 

 

 

ところで高田畊安はクリスチャンであり、病院でも礼拝を毎週やっていたのだが、イエスを「医王」と呼んでおり、「医王堂」というところで祀っていたらしい。

いろいろ混ぜ込み過ぎじゃないですかね。

 

クリスマスには「医王祭」というお祭りを開催して地域住民を招いていたのだが、総理大臣や高名な医学者なども多数参席しており、権力臭が突然ぷんぷんしてきますな。

観光地化させたい鉄道省をけん制するため、総理に何か働きかけてた?さぁどうだか(適当)

 

おしまい

 

 

【交通手段】茅ヶ崎駅から徒歩20分

      茅ヶ崎駅からバス5分「東海岸北五丁目」下車、徒歩5分

【入館料】200円(開高健記念館とセットで300円)

【滞在時間】20分

【混雑度】★★(他に2~3人)

【URL】

www.city.chigasaki.kanagawa.jp